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出世レースを制するのはヒラボクラターシュか、グリムか/名古屋大賞典

  • 2019年03月13日(水) 18時00分

未来のスターホースを見つけたいレース


 3月14日(木)名古屋競馬場で行わる『第42回名古屋大賞典』。過去10年の代表的な勝ち馬はスマートファルコン、エスポワールシチー、ニホンピロアワーズ、ホッコータルマエ、アウォーディー、ケイティブレイブとビッグネームがずらり。

09年覇者スマートファルコンはJRA所属馬として引退までに重賞19勝の日本記録を打ち立てた(写真は2012年川崎記念出走時、撮影:高橋正和)


13年覇者ホッコータルマエはGI/JpnIを10勝する名馬へと成長(写真は16年JBCクラシック出走時、撮影:高橋正和)


17年覇者ケイティブレイブは今月30日に行われるドバイワールドカップに出走する(写真は19年川崎記念出走時、撮影:高橋正和)


 中でもスマートファルコン、ホッコータルマエ、ケイティブレイブは4歳でこのレースを制したのちにGI・JpnIタイトルを奪取。飛躍のきっかけとなったレースの一つと言えます。そんな“出世レース”に、今年もまた楽しみな4歳馬が出走。まず注目の2頭をご紹介しましょう。

 前走・佐賀記念を制し重賞初制覇を飾ったヒラボクラターシュ。3番手からの競馬で、逃げた1番人気テーオーエナジーを4コーナーで交わし、最後まで食い下がったリーゼントロックとの大接戦をクビ差しのいで1着。勝ちタイム2分5秒7はピイラニハイウェイ(2012年)、ホッコータルマエ(2013年)と同じタイレコード。雪のために中止となり、代替開催となったJRA・東京競馬の影響で、当初の鞍上・福永祐一騎手から直前に急きょ乗り替わりとなった岩手の山本聡哉騎手にダートグレード競走初制覇をプレゼントしました。

前走の佐賀記念で重賞初勝利。勢いに乗るヒラボクラターシュ(写真は19年佐賀記念優勝時、提供:佐賀県競馬組合)


 山本騎手は「福永騎手から馬の癖などを教えてもらいました」と、勝利騎手インタビューで“共に勝ち取ったタイトル”であることを語っています。今回は改めて福永騎手とのコンビで出走。福永騎手は一昨年ケイティブレイブでこのレース勝っているのも心強く、重賞連勝を狙います。

 グリムはレパードSと白山大賞典を制している重賞2勝馬。特に古馬との初対戦となった白山大賞典は、ハイペースの逃げで2着に5馬身差をつけレコード勝ち。続く浦和記念でも2着を確保。前走・名古屋グランプリでは3着でしたが、勝った同世代のチュウワウィザードは次のレース・東海Sでインティに迫る戦いぶり(2着)。

 今回のメンバーなら十分巻き返しが狙えそう。名古屋グランプリから手綱を握っている武豊騎手と再びのコンビ。2016年アウォーディーでこのレースを制している名手が気分良く走らせることができれば、白山大賞典の快勝劇が再現される可能性も。

レパードSでヒラボクラターシュに先着したが古馬になって再び対決(写真は18年レパードS出走時、撮影:下野雄規)


 上記の2頭は昨年8月のレパードSでクビ差の大接戦を演じていて、その際は1着グリム、2着ヒラボクラターシュ。今回も前に行くグリムがそのままゴールを切るのか?ヒラボクラターシュが差し切るのか?久々となる同世代のライバル2頭の対戦が楽しみでなりません。

 アナザートゥルースは前走・アレキサンドライトS(中山・1600万下)を勝ってオープン入りしたばかり。ダートグレード競走初参戦。地方競馬も初めてと未知数の部分は多いですが、ここまで13戦5勝・2着5回【5-5-0-3】と堅実な成績でコツコツと上り詰めてきた5歳馬。いきなり上位争いに加わる底力を秘めているかもしれません。

オープン入り初戦ながら果敢に重賞挑戦するアナザートゥルース(写真は19年アレキサンドライトS優勝時、撮影:下野雄規)


 前走・仁川Sを勝って臨むテルペリオン。早めに先頭に立った後もブリンカー効果があったのか、そのままの勢いで勝利。福島や小倉などJRAの小回りコースでの勝利もあって初参戦の地方競馬にも対応できそうですが、こちらもダートグレード競走は初めて。どこまで戦えるか試金石になりそう。

小回りコースが得意なテルペリオンは面白い存在(写真は19年仁川S優勝時)


 キクノルアは2走前・招福S(中山・1600万下)を勝ってオープン入り。前走・仁川Sでテルペリオンの12着に大敗。案外の結果でしたが、これまでも着順を落としたあとに一変するケースがあり、軽視は禁物。

前走は大敗したものの巻き返しを狙うキクノルア(写真は19年招福S出走時、撮影:下野雄規)


 地方勢での筆頭はマイタイザン。26戦17勝【17-0-4-5】、昨年は6戦5勝・3着1回という素晴らしい成績を収めた兵庫の年度代表馬。12月の園田金盃、前走・梅見月杯(名古屋大賞典のトライアル)といずれも逃げて現在2連勝中と、今回の地方勢の中では抜き出た存在。とはいえ同脚質が揃ったJRA勢相手にどこまで自分の競馬ができるか、厳しい戦いになりそうです。

地方の最有力候補としてJRA勢に挑むマイタイザン(写真は19年梅見月杯出走時、撮影:谷口浩)


 JRA勢の上位争いになりそうな今回の名古屋大賞典。なかでもヒラボクラターシュとグリム、2頭のレパードS以来の戦いに注目!未来ある4歳馬たちの今後の躍進を夢見て、決着を見守りたいと思います。

※次回の更新は3月20日(水)18時。翌日に高知競馬場で行われる「黒船賞」のコラムをお届けします。

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埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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