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あの馬を「力一杯」買うべきレース!/高松宮記念

  • 2019年03月17日(日) 18時00分

■高松宮記念(G1・中京芝1200m)


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口




 春のスプリント王決定戦である中京・高松宮記念。その攻略のカギとなりそうなデータはいくつもあるが、真っ先に取りあげたいのが「前走馬体重」について、である。阪急杯などのトライアルを叩いて出走してくる馬がほとんどだが、このレースの好走馬に共通するのが、前走での馬体重増減が「プラス体重」であること。掲載しているデータをご覧の通り、前走がマイナス体重だった馬と比較すると格段に好成績なのだ。

 馬体重関連では、スプリント戦らしく「馬格」が必要とされるのも特徴。前走馬体重で比較しても、前走479キロ以下馬がトータル[1-0-3-46]であるのに対して、前走480キロ以上馬は[8-9-6-88]と、後者のほうが期待できるのは明らか。つまり、ある程度以上の馬格を有する馬が、少し余裕残しの馬体でトライアルに出走していた──といったパターンが狙い目なのである。

 あとは、詳しくはレースデータの項で解説するが、「前走での人気や着順が今回の成績に直結する傾向が強い」というのも、高松宮記念の大きな特徴。具体的にいえば、前走4番人気以内であることや、前走5着以内であることが、勝ち負けに求められてくる。前走での低評価や大敗からアッサリ巻き返してくるようなケースは考えづらいレースだ。また、枠番の影響が大きく、内枠が有利であるのも覚えておきたい。

 今回の「データ特注馬」は、女傑レッツゴードンキ。「前走での馬体重が480キロ以上かつプラス体重で、前走が4番人気以内かつ5着以内」という条件をオールクリアしている。ちなみに中京での過去9回、これらすべての条件をクリアしていた馬の成績はトータル[7-4-4-4]で勝率36.8%、連対率57.9%、複勝率78.9%という素晴らしい成績。単勝適正回収値192.7、複勝回収値176と爆発力も文句なし。力一杯買いたいパターンといえる。

【コース総論】中京芝1200m Bコース使用

・コースの要所!

★人気サイドが強いが、内容が優秀なのは1番人気ではなく2〜3番人気のほう。
★ハッキリと外枠が不利なコース。馬番13〜18番は相応の割引が必要不可欠。
★スプリント戦らしく前有利。最後の直線は長いが逃げ切りもけっこう多い。




 バックストレッチの中央あたりがスタート地点で、直後は緩やかな上り坂。最初のコーナー進入までにしっかり距離があるが、3コーナー手前から4コーナーを回りきるまでがすべて下り坂であるため、道中のラップはおのずと速くなる。さらに、最後の直線は400m以上と長く、急坂も待ち構えているので差しも十分に届く。高松宮記念でも、後方から追い込んだ馬が何度も馬券に絡んでいる。

 まずは人気別成績だが、基本的には上位人気馬が強いコース。1〜3番人気や4〜6番人気などは、信頼度の高さはもちろんのこと回収値ベースの数値も優秀だ。ただし、注意したいのが「1番人気がそれほど強くはない」という点で、2〜3番人気のほうが勝利数が多いという逆転現象が起きている。イレギュラーではあるが、「1番人気はやや疑って2〜3番人気を素直に信頼」といったスタンスがいいか。

 続いて枠番データ。中京のコース改修直後はやたらと外枠が強かったりしたのだが、現在ではすっかり外枠不利に。勝率、連対率、複勝率のいずれもハッキリと低く、さらに回収値ベースの数値やギャップ値まで低空飛行となると、外枠の不利を疑う余地はない。内〜中であれば問題ないが、外枠である馬番13〜18番に入った馬については、相応の割引が必要不可欠。人気馬でも過信は禁物といえる。

 最後に脚質だが、こちらはハッキリと前が優勢。4コーナー先頭からそのまま押し切った馬も多く、先行勢と中団待機組とでは信頼度や回収値にかなり大きな差が出ている。とはいえ、形態や流れから考えても差しは届くコースで、クラスが上がって序盤〜中盤の流れが厳しくなればなるほど、差し優勢へとシフトしてくる。もっとも、このあたりは出走メンバーの組み合わせ次第だろう。

【レース総論】高松宮記念(G1) 中京過去9回

・レースの要所!

★1〜3番人気馬は強いが、それ以外はバラバラ。意外に順当決着傾向が強い。
★コースデータほど外枠不利ではないが勝率は低め。内枠を高く評価したい。
★勝ち馬のほとんどが先行勢。コースデータ以上に先行勢優勢なので要注意。
★5歳馬が中心で高齢馬は割引。7歳以上で勝った2頭はマル外と海外遠征組。








 レースの平均配当は、単勝542円、馬連3163円、3連複1万594円と、イメージよりも低水準であるのに驚いた。昨年の3着馬ナックビーナスのように、ふたケタ人気が激走したケースもあるのだが、その頻度はけっこう少なめ。3番人気以内馬がトータル[7-6-6-8]で複勝率70.4%をマークしているように、意外に順当決着傾向が強いレースなのである。極端な穴狙いは避けたほうが賢明だろう。

 次に枠番データ。コースデータでは外枠不利の傾向が強かったが、レースデータになると少しはマシな結果となった。とはいえ、馬番13〜18番はトータル[1-4-3-45]で勝率1.9%、単勝適正回収値32.8と、2〜3着にはくるが1着は期待薄。唯一の1着馬も馬番は13番と、やはり外枠がいいとは言えない。コースデータとレースデータの両方で優秀な内容を残している、内枠を重視するスタンスを推奨する。

 脚質については、コースデータ以上に先行勢が優勢。差せるコースや差せる流れであっても、トップクラスになると簡単には止まらない──ということだ。勝ち馬のほとんどが4コーナーを6番手以内で回っている先行勢で、中団からの競馬で差し切ったのは2013年のロードカナロアだけ。「ロードカナロアでなければ差し切れない」とも言えるわけで、いかに先行勢がよく粘っているかを物語っている。

 年齢別成績では、トータル[5-3-3-30]で複勝率26.8%をマークしている、5歳馬の活躍が目立っている。全体的に若い馬のほうが強いレースで、7歳以上の高齢馬については少し割り引いて考えたほうがよさそう。7歳以上馬はトータル[2-0-1-43]と2頭の勝ち馬が出てはいるのだが、1頭は香港から遠征したエアロヴェロシティで、もう1頭は南半球産のマル外であるキンシャサノキセキと、ちょっと例外的な存在なのだ。

 前走人気と前走着順別でのデータからは、前走での低評価や大敗からの「巻き返し」がきかないレースであるのが見て取れる。前走での人気が6番人気以下だった馬、前走着順が6着以下だった馬はいずれも低調な成績で、ほとんど狙う価値ナシ。騎手関連データでは、継続騎乗組のほうが高信頼度であることや、関東所属騎手の成績がイマイチである点などが目立っている。

【血統総論】


 種牡馬別では、今回はディープインパクト産駒だけをプラス評価の対象とした。スプリント戦で強いという印象のない種牡馬で、実際に1着よりも2着のほうが多いように取りこぼしも目立つのだが、これだけ出走数があって連対率30.0%をマークしているのは立派。その他が一長一短で、とびっきりコース適性の高い種牡馬が存在しないというのも、ディープインパクト産駒が強さを見せている理由のひとつかと思われる。

★高松宮記念・総論×各論

 ファインニードルの引退により、王座不在となっている短距離戦線。その座を目指す楽しみな「新星」が、ここは人気を集めそうだ。京阪杯、シルクロードSと短距離重賞を連勝中のダノンスマッシュに、素晴らしい内容でオーシャンSを逃げ切ったモズスーパーフレア、阪急杯組の上位馬であるレッツゴードンキとロジクライなど、いかにも混戦模様というメンバー構成。馬券的にもかなり楽しめそうである。

 トップ評価は、冒頭の特注データでも推しているレッツゴードンキ。7歳と高齢であるのが割引材料だが、それ以外はズラリと買い材料が並ぶ。前走の阪急杯で、好位追走から結果が出せたというのも大きな収穫。一昨年、昨年といずれもこのレースで2着だった女傑が、三度目の正直で大きなタイトルを手にする可能性は大いにある。長くこの路線で結果を残してきた実績馬が、新興勢力を打ち負かすのを期待する。

 二番手評価にダノンスマッシュ。前走馬体重が474キロと、480キロに満たないという点が割引材料となる程度で、こちらも買い材料はかなり多い。ロードカナロア産駒らしい軽快なスピードの持ち主で、スッと好位が取れるセンスのよさも強調材料。重賞での活躍が目立ち始めた北村友騎手も、このあたりでビッグタイトルが欲しいところ。自然体でこの馬の競馬ができれば、結果はついてくる。

 三番手評価にナックビーナス。こちらは前走がマイナス体重だったのが割引材料となっているが、わずかマイナス2キロ。先行力の確かさや短距離戦線での実績は言うまでもなく優秀で、この混戦模様ならば十分に台頭可能だ。2戦連続でモズスーパーフレアの後塵を拝する結果となったが、今度は中山ではなく中京。展開ひとつで詰められる程度の差で、やはり侮れない存在といえる。

 以下はモズスーパーフレア、ロジクライ、アレスバローズ、ショウナンアンセム、ダイメイプリンセス、ミスターメロディ、ペイシャフェリシタという評価の序列。あとは、影響が大きい「枠番」というファクターがどうなるか次第である。あくまで現時点の予定ではあるが、ここはレッツゴードンキから流す馬券で勝負したいところ。相手には適度に人気薄を散りばめるような買い目で、オイシイ配当ゲットを目指す。


■総論×各論・先々週の馬券回顧



内枠の人気薄が来たけれども(#^ω^)ビキビキ

06プールヴィルの好走は読めても、なかなか01ノーワンには手を出しづらい……。弥生賞もそうでしたが、前走新馬&未勝利組がクラシックトライアルで好走するケースって、ホント珍しいはずなんですよ(言い訳)。内枠や、芝1600mからの数少ない距離短縮組だったことを考えると買えなくは……いや、それでもギリギリ手が届かん気がする。

※コース&血統データは2015年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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