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【無料】今週末に迫ったドバイワールドCデー展望

  • 2019年03月27日(水) 12時00分

アーモンドアイに負ける要素は見つからないが…


 今週土曜日に迫ったドバイワールドCデーから、日本でも馬券発売のある4競走を展望したい。

 まずは、マテラスカイが出走するダート1200mのG1ドバイゴールデンシャヒーンから。過去の傾向から見ても、北米調教馬が圧倒的な強さを発揮しているのは、ダート1200mという競走条件を鑑みれば致し方のないところで、そんな背景を持つ競走に北米から2年連続チャンピオンスプリンターに選出されているロイエイチ(セン7)が参戦しているとあっては、この馬が軸となるのが道理である。

 この馬が本格化した5歳以降、12戦して唯一連対を外したのが3着に敗れた昨年のドバイゴールデンシャヒーンという事実が、唯一の懸念材料だが、昨年はスタートで立ち遅れるという短距離戦では致命的なミスを犯しており、それでも勝ち馬から頭+3/4馬身差まで追い込んだのは、この馬の底力のなせる業だろう。

 今季初戦となった前走G2パロスヴェルデスS(d6F)も、ほとんど馬なりのまま4馬身差で楽勝。競馬を主催するエミレイツ・レーシング・オーソリティ(ERA)は、この時のパフォーマンスレイトの120をオフィシャルレイティングとして発表しているが、同馬は昨年秋のG1BCスプリント(d6F)を制した際にレイティング124を得て距離コラムSで世界首位に立っており、現状ではこの馬と他馬との間には力の開きがあると見ている。

 2着争いは混戦で、インペリアルヒント、エックスワイジェット、プロミシズフルフィルドの北米勢3騎に、前哨戦のG3マハブアルシマール(芝1200m)で上位に来たドラフテッド、テイトキーあたりまで、馬券的には手を広げるべきかと思う。マテラスカイには、5着だった昨年より1つでも上の順位を目指してほしい。

 続いて、アーモンドアイ、ヴィブロス、ディアドラの3頭が出走する芝1800mのG1ドバイターフだ。

 前哨戦が行われたスーパーサタデー(3月9日)を現地メイダンで取材したが、会う人が皆、「今年のワールドC開催はアーモンドアイを見るのが楽しみだ」「アーモンアイのジャパンC後の様子はどうだい?」「なぜシーマクラシックではなくドバイターフなの?」と、アーモンドアイの話題を口にした。アーモンドアイの2019年緒戦が、世界のホースマンにとっての大きな関心事になっていることは間違いなく、その期待を裏切らない超絶パフォーマンスを見せてもらいたいものだ。

 レイティング的にも、アーモンドアイと他馬との間には8ポンド以上の開きがあり、彼女が普通に走れば負ける要素は見当たらないと思う。唯一気懸かりな点があるとすれば、レース後の彼女に時折「熱中症」らしき症状がみられることだ。日没後は急に涼しくなるのがドバイの気候だけに、ドバイターフの発走時刻19時20分までに、どうか現地の気温が下がってくれと、祈るばかりである。

 相手は、3頭出しで包囲網を仕掛けてくるゴドルフィン勢で、中でも、前哨戦のG1ジェベルハタ(芝1800m)を含めて今季ここまで重賞3連勝中のドリームキャッスルには厳重なマークが必要だろう。また、アウェイでの戦いにやたらに強いヴィブロス姐さんの、現役最後の奮闘にも注目したい。

 続いて、レイデオロ、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードの3頭が出走する芝2410mのG1ドバイシーマクラシックだ。

 いずれもG1のタイトルを手中にしている日本勢にとって最大の敵となるのが、ゴドルフィンのオールドパーシアンだろう。3歳時から期待の高かった馬で、昨年のロイヤルアスコットを舞台としたG2キングエドワードVII世Sでは、その後G1愛ダービー(芝12F)で2着になるロストロポーヴィチらを退けて優勝。昨年8月のG2グレートヴォルティジュールS(芝11F188y)でも、後にG1メルボルンC(芝3200m)を勝つクロスカウンターを2着に退けて優勝と、上質の成績を残していた馬だ。

 4歳を迎えての更なる成長を感じさせてくれたのが、前哨戦のG2ドバイシティオヴゴールド(芝2410m)で、超がつくスローペースになった中、直線で馬群が壁になって進路がないという致命的とも思われた不利がありながら、最後の1Fで矢のような末脚を繰り出して差し切り勝ち。あのレースが半年の休み明けで、叩かれた上積みがあるとすれば、日本馬にとって容易ならざる敵となる。

 ましてや、ここに廻る可能性もあったクロスカウンターを、ゴドルフィンは最終的にG2ドバイシティオヴゴールドに差し向けたから、ここはオールドパシアンで勝てるとの目論見が、ゴドルフィンにはあるはずだ。

 馬券的には、オールドパーシアンから日本馬3頭で良いと思うが、もしも紛れがあるとすれば、レーシングヒストリーが前走同様のスローペースに持ち込んで逃げ粘った時だろう。

 最後に、日本からケイティブレイブが出走するダート2000mのG1ドバイワールドCだ。

 今回馬券が発売される4競走で最も難解なのが、ここだ。戦いの構図としてみれば、地元UAE勢vsダートの本場・北米勢となっている中、今年の北米勢にはチャンピオン級の馬はいないから、そうなると地元勢から入るのが筋か。では地元勢では、昨年に続く連覇を狙うサンダースノウなのか、G2アルマクトゥームチャレンジのラウンド1と2を連勝しているノースアメリカなのか、前哨戦のG1アルマクトゥームチャレンジのラウンド3を圧勝したキャペザーノなのか。

 更に言えば、読みづらいのが展開だ。G2アルマクトゥームチャレンジのラウンド1と2をいずれも逃げ切っているノースアメリカと、前哨戦のG1アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド3を逃げ切ったキャペザーノが、ともにハナを主張するのか。先行抜け出しで勝ったこともあるキャペザーノは、ここでは控えるのか。

 いろいろと迷うのだが、馬券の軸としては、昨年も前哨戦のG1アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド3では負けて、本番では一変したサンダースノウが、もっとも信頼性が高い気がする。

 北米勢では、よい末脚を持つヨシダ、混戦に強いイメージのあるガネヴェラらが、争覇圏にいるように思う。

 最終的な結論は、週末にnetkeibaのサイト上で発表する予定ですので、ぜひそちらをご参照ください。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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