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【無料】同厩舎の先輩ダノンファンタジーを彷彿させるリアアメリア

  • 2019年03月27日(水) 12時00分
《2歳》

●クラヴァシュドール(牝 栗東・中内田充正 父ハーツクライ、母パスオブドリームズ)

 母パスオブドリームズはアメリカ産の輸入繁殖牝馬。ヴァージニアオークス(米G3・芝9f)を勝ったExcitedの全妹で、現役時代に米7戦1勝の成績を残した。2代母Path of Thunderの全姉にブリーダーズCディスタフ(米G1・ダ9f)、ラブレアS(米G1・ダ7f)など7つの重賞を制したSpainがいる。

 母はStorm Bird 3×4だが、母にNorthern Dancerの強いクロスを持つハーツクライ産駒は走っているので好ましい。Storm Birdは相性良好で、この血を持つハーツクライ産駒はウインバリアシオン、ゴーフォザサミットなどが出ており、連対率21.4%、1走あたりの賞金額223万円はハーツクライ産駒全体の18.2%、195万円を上回る。芝向きの中距離タイプ。

●ジャスパーシャイン(牡 栗東・森秀行 父Violence、母Golden Made)

 アメリカ生まれの外国産馬。2018年のキーンランドセプテンバーイヤリングセールに上場され、森秀行調教師により10万ドルで落札された。父Violenceは現役時代にアメリカで走り、キャッシュコールフューチュリティ(米G1・ダ8.5f)、ナシュアS(米G2・ダ8f)を勝つなど4戦3勝の成績を残した。父系はMedaglia d'Oro→El Prado→Sadler's Wellsとさかのぼる。種牡馬成績は上々で、2018年のセカンドクロップサイアーランキングで首位となり、2019年の種付け料は前年の2万5000ドルから大幅アップの4万ドルとなった。

 母Golden Madeは米33戦11勝。ダート短距離が主戦場で、ステークス2着の成績がある。本馬はMr.Prospector 4×3を持ち、完成の早いスピードタイプだろう。芝・ダート兼用。

●リアアメリア(牝 栗東・中内田充正 父ディープインパクト、母リアアントニア)

 母リアアントニアは米14戦2勝。2歳秋に10頭立ての9番人気で出走したブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズ(米G1・ダ8.5f)で2位入線となったが、繰り上がりで優勝となった。3歳時はサンタアニタオークス(米G1・ダ8.5f)やスピンスターS(米G1・ダ9f)で2着となっている。

 母の父Rockport Harborは11歳の若さで死亡したため産駒数は多くないものの、リアアントニアの他にMajestic Harbor(14年ゴールドカップアットサンタアニタS-米G1)などを出し、日本に輸入されたラインアンジュが芝短距離で準オープンまで出世するなど悪くない成績を残した。母の初子リアオリヴィアは2戦してまだ勝っていない。

 本馬はその全妹。母方にUnbridledを持つディープインパクト産駒は連対率27.7%、1走あたりの賞金額353万円。これは同産駒全体の24.1%、326万円を上回る好パターン。DanzigとMr.Prospectorの組み合わせを持つディープインパクト産駒は成功しており、Bertolini(ジェンティルドンナやドナウブルーの母の父)と配合構成がよく似たPolish Numbersが入るのもいい。

 シルクホースクラブで牝馬ながら7000万円という値付けだったのでよほど馬のデキがいいのだろう。すでに栗東に入厩しているので、昨年、同じ中内田厩舎から早期デビューし、2歳女王に輝いたダノンファンタジーを彷彿させる。芝1600〜2000mがベスト。

《3歳》

●スパークルガール(牝 栗東・牧浦充徳 父ハーツクライ、母ルヴァーガール)

 母ルヴァーガールは現役時代にロックフェルS(英G2・芝7f)を制した。その父Alzaoは名牝ウインドインハーヘア(ディープインパクトの母)の父として知られている。ハーツクライとAlzaoの相性は抜群で、タイムフライヤー(17年ホープフルS-GI)、アドマイヤミヤビ(17年クイーンC-GIII)といった活躍馬が出ている。

 母方にAlzaoを持つハーツクライ産駒は連対率24.7%、1走あたりの賞金額253万円。これは同産駒全体の18.2%、195万円を上回る。全姉ネオザミスティックは2勝、ガーリッシュハートは1勝だが、馬のデキ次第ではもっと上を目指せるだろう。

●ドリームライクエマ(牝 栗東・矢作芳人 父Frankel、母Nausicaa)

 母Nausicaaは現役時代にアメリカでミエスクS(GIII・芝8f)で3着となった。「Diesis×Blushing Groom」なので洋芝向きの中距離タイプ。父Frankelは大種牡馬Galileoの最高傑作で、現役時代はイギリスのマイル路線を中心に走って14戦全勝(G1は10勝)の成績を残した。

 ヨーロッパではCracksman(17、18年英チャンピオンS-G1、18年コロネーションC-英G1、18年ガネー賞-仏G1)、Without Parole(18年セントジェームズパレスS-英G1)、Call the Wind(18年カドラン賞-仏G1)などを出し、日本でもソウルスターリング(17年オークス-GI、16年阪神ジュベナイルフィリーズ-GI)、モズアスコット(18年安田記念-GI)、ミスエルテ(16年ファンタジーS-GIII)が重賞を勝った。

 本馬はBlushing Groom 5×3というクロスを持っているが、Frankel産駒でこのクロスを持つ重賞勝ち馬はQueen Kindly(16年ローザーS-英G2)、Rostropovich(17年愛フューチュリティS-愛G2)、Finche(17年ユジェーヌアダム賞-仏G2)など少なくない。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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