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【騎手のGIコース解説】初GI制覇は2002年の桜花賞 池添謙一騎手が阪神芝1600mを解説(無料公開)

  • 2019年03月31日(日) 18時01分
GIドキュメント

▲大舞台に強い池添謙一騎手 初GI制覇は2002年の桜花賞でした(C)netkeiba.com


GI恒例・コース解説のこのコーナー。実際にそのGIを勝ったことのある騎手やその舞台が得意な騎手にコースの特徴を解説いただきます。桜花賞コースを解説していただくのは一昨年、テン乗りながらレーヌミノルで制覇した池添謙一騎手。池添騎手自身もGI初制覇は桜花賞と、とても縁のあるレースです。当時は旧コースでの施行ながら13番人気アローキャリーでの優勝で、「武豊騎手から伝言メモに残しておきたいくらい嬉しい電話をいただきました」と言います。さらに話はコース解説にとどまらず、桜の開花状況まで…。騎手目線から見た阪神1600mはどんなコースなのでしょうか。

(取材・構成:大恵陽子)


実力が出やすく、外差しの利く馬場


――2017年にレーヌミノルに騎乗し、桜花賞を制覇されました。レースで同馬に騎乗するのは初めてでしたが、好スタートを決めましたね。

池添 騎乗するのは桜花賞が初めてでしたが、レーヌミノルは元々スタートが速い馬だと分かっていたので、いいポジションでレースをしようと思っていました。スタートをしっかり出てくれると、自分の取りたいポジションを取りやすいですよね。

――そのまま逃げ馬について行くこともできるくらい好スタートでしたが、ついてはいかず4番手からレースを進めました。

池添 そのままの位置取りというか、急がせもせず抑えもせず、あの馬のリズムに合わせて走ったのがあの位置取りでした。何のストレスもなくあのポジションが取れたと思います。

――3コーナーでは逃げるカワキタエンカが後続を離していました。ペースはいかがでしたか?

池添 平均ペースより少し速いくらいで流れていました。逃げる馬や2番手につける馬によって流れって全然変わってくるんですが、この時に関してはペースを引っ張ってくれたのはよかったと思います。それに、馬場状態も少し緩かったですよね。

――前日は雨が降って重馬場で、桜花賞当日は9Rから稍重に回復しました。

池添 力が結構いる馬場だったので、あまり前を追いかけすぎないようにしました。レーヌミノルは前走のフィリーズレビューで早めに先頭に立って気を抜いたところがあったと聞いたので、追い出しはギリギリまで我慢しようと思っている中での3〜4コーナーでした。前で飛ばしている馬が何頭かいましたが、しっかりコーナーを回りきってひと呼吸置いてから追い出そうと思っていました。

――直線では馬場の真ん中あたりを通っていました。2開催連続開催の7週目で、前週からBコースに替わっていましたが、内外の馬場状態はいかがでしたか?

池添 この時は緩い馬場で内目が少し掘れていたので、いい所を通ろうと選びました。この時期は開催を重ねて馬場は悪くなってきています。Bコースに替わりますが、使うごとに外差しが効く馬場傾向になってくると思います。

――追い出すタイミングに工夫のいる馬で、どの辺りから追い出しましたか?

池添 内回りとの合流点くらいから追い出す形だったと思います。前走がヨレていたのと気を抜いていたところがあったので、ムチを持ち替えて気を抜かせないように見せムチをしながら直線は追っていました。
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▲レーヌミノルで制した一昨年は稍重での開催 絶妙な進路取りも勝利の要因に(C)netkeiba.com


――桜花賞のように外回りで直線が長く坂のあるコースと、直線の短い平坦コースでは追い出すタイミングは変わってきますか?

池添 やはり変わってきますね。阪神の1600mは直線が長いですし、追い出すタイミングによって結果がガラって変わってくるんじゃないかと思います。

――外回りコースは馬の実力が出やすいとも聞きます。

池添 ホントそうだと思います。初めてGIを勝ったアローキャリー(2002年桜花賞)の時に今のコースだったら、どうなっていたのかな?って思います。あの時はいいメンバーが揃っていて、人気もしていなかったですからね。

――13番人気で、当時のコースでは不利とされた外枠(7枠15番)でしたね。

池添 旧コースはおにぎり型でスタートしてすぐにコーナーに入るので、外枠が少し不利でした。ゲートをしっかり出てくれないといいポジションを取れなかったので、スタートは大事でしたね。もちろんそれは今のコースでも大切なことなのですが、どちらかと言うと今のコースではリカバリーできる部分があると思います。

――アローキャリーでは外枠ながら好スタートを決めて2〜3番手のインを取りに行きました。

池添 スタートが速い馬だったので、ポジション取りは上手くいきました。インで我慢して、旧コースの基本的な乗り方ができたのかなって思います。直線も長いわけじゃないので、乗り方によって勝負できるコースだったと思いますし、アローキャリーの時はそれを上手く生かせられたかなと思います。

――ジョッキー的には乗りがいもあったでしょうね。

池添 そうですね、めちゃめちゃありましたし、アローキャリーで桜花賞を勝ってGI初制覇を遂げた日、ユタカさん(武豊騎手)から電話がかかってきて、「おめでとう。阪神の1600mコースの完璧な乗り方や」って褒めてくださったんです。めちゃめちゃ嬉しかったです。伝言メモに録音しておきたかったくらい(笑)。もうホント、その言葉は忘れられないですね。

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▲武豊騎手も「完璧な乗り方や」と絶賛 アローキャリーで制した2002年(C)netkeiba.com


――すごい!それはホント、宝物として残しておきたいくらい嬉しい言葉ですね。
さて、改めて今の阪神1600mコースの特徴をまとめていただくと…

池添 仕掛けもそうですし、力通りに結果が出るコースかなと思います。レーヌミノルに関しては稍重も味方したかなと思います。良馬場だったら、キレ味ある馬にもしかしたらやられていたかもしれませんし、すべてがうまくいったレースでしたね。

――ありがとうございます。ちなみに、桜花賞と言えば毎年向正面の桜の開花状況がファンの間では話題に上るのですが、ジョッキーも見るのですか?

池添 見ますよ!高松宮記念の日もユタカさんとモニターで阪神のコースを見ながら「全然、桜咲いてへんな〜」「桜花賞くらいがちょうどじゃないですか?」って話をしていました。外ラチ沿いにあるので、馬場を歩いている時に「綺麗やな」ってみんなで話したり、「もう散っているな」「桜花賞まで持ったらいいのにな」って喋っています。

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