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【無料】後継種牡馬の争いと言えるかもしれない一戦/大阪杯

  • 2019年03月30日(土) 18時00分

連続激走のあと、オーバーホールと再鍛錬に成功


 日本の種牡馬界をリードする2頭の傑出したサイアーの、それぞれの初年度産駒が4歳に達した以降のランキングは、昨2018年まで次のようになる。

キングカメハメハ...2010年1位、2011年1位、2012年2位、2013年2位、2014年2位、2015年2位、2016年2位、2017年2位、2018年2位
ディープインパクト...2012年1位、2013年1位、2014年1位、2015年1位、2016年1位、2017年1位、2018年1位

 ディープインパクト(17歳)より2年早く種牡馬となったのはキングカメハメハ(18歳)。10、11年と連続して総合種牡馬成績1位だったが、ディープインパクトの産駒登場とともに、現在は7年連続して2位。ディープインパクトの独走はあと2-3年どころか数年は続きそうである。

 今年の大阪杯の出走馬14頭には、キングカメハメハの名前が血統図に登場する馬が「8頭」いる。一方、ディープインパクトの名前が出現する馬は「5頭」。(サンデーサイレンスの血は全14頭に入っている)。同時に、ディープインパクトと、キングカメハメハ、2頭の血を引く馬が2頭いる。

 カメハメハの血を持つ馬が多いのは、たまたまであると同時に、2年早く種牡馬となったので、後継種牡馬ロードカナロア(11歳)、ルーラーシップ(12歳)の産駒がもう古馬のオープン馬に育っている。後継種牡馬争いでリードしている。

 ディープインパクト(父サンデーサイレンス)は、あまりに同じ血を持つ牝馬が多いため、サンデーサイレンス系を中心にほとんどの牝馬との交配が可能なキングカメハメハに比べ、後継種牡馬競争では分が悪いともいわれている。キングカメハメハ牝馬を味方にしたワグネリアンの例はあるが...。

 長い目で見れば良血の輸入牝馬との産駒を主力にするディープインパクトが不利などということはまったくないが、山のようなGI馬を輩出しているのに、父を超える産駒はともかく、父と同ランクの産駒は意外に少ない心配もささやかれる。

 今年の大阪杯は、もうベテラン種牡馬になりつつあるディープインパクトと、キングカメハメハの、今後を見据えての勢力図争いの色彩があり、後継種牡馬(いかに影響力を次代に継続できるか)の争いと言えるかもしれない。

 昨秋の連続激走のあとのオーバーホールと再鍛錬に成功、4歳時より馬体に鋭さを加えたキセキ(父ルーラーシップ)の巻き返しに期待したい。天皇賞(秋)の自身の中身は「59秒4-57秒6」=1分57秒0。2000m通過1分57秒2だった驚異のレコードのジャパンCの自身の内容は「59秒9-(23秒5)-57秒5」=2分20秒9。

 粘っただけでなく、それなりのペースで行きながらともに後半1000mを57秒台でスパートしたキセキの2000m適性は高い。途中の通過記録を合わせると、2000mを「1分57秒2以内」で乗り切ったことが3回もある。スピードにやや死角のあったルーラーシップは、母の父ディープインパクトを味方につけ、先行しながらも後半スパートできる産駒を送ったともいえる。同じ父キングカメハメハのロードカナロアが、母の父にサンデーサイレンスを持つ牝馬を最高の味方にし、アーモンドアイを送り出したのと同じように。

 自分の形にならなかった有馬記念2500mと異なり、ここならマイペースの可能性が高い。先行抜け出し型のダノンプレミアムが不在の組み合わせも展開有利。

 4歳ブラストワンピース(母の父キングカメハメハ)が最大の強敵。今度は強気に動くと思えるエアウィンザー(父キングカメハメハ)を伏兵の筆頭にしたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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