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少なくとも「一強」ではない!/桜花賞

  • 2019年04月01日(月) 18時00分

■桜花賞(G1・阪神芝1600m外)フルゲート18頭/登録28頭


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口


 一昔前は「桜花賞といえば波乱」などというイメージだったが、1〜3番人気がそのまま上位を独占した昨年のように、近年は堅く決着する傾向が強まっている。とはいえ、未完成の3歳牝馬限定戦だけに、馬場や流れひとつで波乱となる可能性はあるはず。というわけで、7番人気以下に限定したデータを、まずはご紹介したい。

 前走での条件別にいくつかデータを出しているが、まず気付くのが好走パターンがけっこう偏っていること。例えば前走で出走していた競馬場だが、人気薄で上位に食い込んだ馬はすべて、前走でも阪神で出走していた。同様に、前走4コーナーを2番手以内で回っていた馬や、前走での上がり3F順位が2位以内だった馬も全滅。これなら、人気薄での激走候補を高確率であぶり出せそうだ。

 3つの条件をあげているが、「出走可能かつ7番人気以下になりそうな登録馬」でこれらすべてをクリアするのは、シェーングランツ、ジュランビル、ホウオウカトリーヌ、メイショウケイメイの4頭だけ。そしてこの中で「前走チューリップ賞組」であるのは、シェーングランツだけである。

 穴馬以外に関して詳しくは後述するが、とんでもなく「差せる」レースであることや、内枠である馬番1〜6番に入った馬が絶不調であることなども、予想する上で必ず押さえておきたいポイントだ。


【コース総論】阪神芝1600m外 Bコース使用

・コースの要所!

★人気薄の激走率が意外に高いコース。7〜9番人気や10〜12番人気は要警戒。
★外枠の信頼度が低めで、回収値やギャップ値も低調。評価は少し下げたい。
★最後の直線が長く差し優勢のコース。上がり上位馬の成績もかなり優秀だ。





 バックストレッチの「中央からやや2コーナー寄り」地点からスタート。そこから緩やかな上り坂を駆け上がりつつ、外回りコースに進入する。このようなコース形態もあり、序盤から激流となるペースはきわめてレア。ゆったりしたペースで中盤まで流れて、勝負所から一気にラップが上がるような、緩急の大きな流れとなりやすい。

 まずは人気別。1番人気は勝率33.3%と成績優秀で人気サイドの信頼度も悪くないが、活躍が目立つのは7〜9番人気や10〜12番人気など、「ボチボチ来るゾーン」の穴馬。13番人気以下の超穴馬になるとサッパリなのだが、人気薄の好走率自体はけっこう高い。強力な買い材料のある穴馬ならば、積極的に買う価値アリだ。

 次に枠番だが、「基本的には」外枠の信頼度が低めのコース。なぜ「基本的には」と強調するかといえば、コースデータとレースデータで傾向が大きく異なるからである。こういう場合はデータ母数の多いコースデータのほうが正しい場合が多いのだが、桜花賞の場合は脚質面とも密接な関係があるようで、扱いがやや特殊。「コース全体では外枠の信頼度がちょっと落ちる」程度で捉えたほうがいいと思われる。

 最後の直線が長い外回りコースらしく、脚質については差し優勢。この時点で先行勢と中団待機組の成績が拮抗しているのだから、クラスが上がれば上がるほど差し優勢の傾向が強まるのは目に見えている。4コーナー13番手以下からでもけっこう馬券絡みがあることや、上がり上位馬の好成績も、それを裏付けるもの。末脚のキレ味が高いレベルで要求されるコースであるのは、間違いない。

【レース総論】桜花賞(G1) 過去10年

・レースの要所!

★連対馬の75.0%が3番人気以内と人気サイド優勢。7〜9番人気も優秀な内容。
★コースデータとは異なり内枠が極端に不振。中枠である馬番7〜12番に注目。
★後方待機組が最も強いという特殊なレース。速い上がりが使える馬は特注!
★継続騎乗する関西騎手と外国人騎手が強い。騎手も馬も西高東低の傾向か。








 レースの平均配当は、単勝918円、馬連3452円、3連複1万6772円。イメージ的にはもっと高そうだが、やはり近年は荒れていない。阪神ジュベナイルF→チューリップ賞というこの路線のメインストリームが、すべて阪神芝1600m外で行われているのだから、当然といえば当然と言えるかもしれない。人気別にみても、連対馬の75.0%が3番人気以内と人気サイド優勢。ただし、7〜9番人気は決して侮れない内容だ。

 前述したように、コースデータと思いっきり傾向が異なるのが枠番別成績。内枠の成績が極端に悪く、馬番1〜5番に限ればトータル[0-1-1-46]で連対率2.1%、複勝率4.2%という惨状である。昨年2着のラッキーライラックなど好走例もあるにはあるが、ここまで成績が悪いと手を出しづらいのは事実。対照的に絶好調な、中枠である馬番7〜12番に入った馬は、かなりプラスに評価したい。

 そして脚質面だが、こちらも極端な結果が出ている。差し優勢どころか「追い込み優勢」といっても過言ではないレベルで、4コーナーを13番手以下で回った後方待機組が、トータル[5-4-3-35]で複勝率25.5%をマーク。後方にいた馬がここまで上位に食い込んでくるレースは、桜花賞だけだ。当然ながら末脚のキレは超重要で、速い上がりが使えるのは大きな武器。内枠が成績不振である要因がコレだ。

 前走距離別では、前走でも芝1600mで出走していた組が他を圧倒。フィリーズレビュー組など、前走芝1400m以下戦出走馬はやはり厳しい。ここは素直に、チューリップ賞組やクイーンC組などを狙ったほうがいいだろう。騎手についてはG1らしく「継続騎乗>乗り替わり」という傾向で、「関西所属騎手×継続騎乗」のパターンが馬券絡みの半数を占めた。ただし外国人騎手は例外で、こちらは乗り替わりでも非常に強い。

 最後に、結果との因果関係が説明できない、オカルトやアノマリー系のデータである。桜花賞は「毛色が黒っぽい馬」が妙に弱いレースで、黒鹿毛や青鹿毛といった毛色の馬の成績はイマイチ。ならば芦毛が強いか──と思いきや、こちらも弱い。強いのは鹿毛と栗毛の馬で、昨年は上位を独占。あとは、前走での馬番が偶数か奇数かで信頼度に雲泥の差が出ているというのも、ちょっと面白い。迷ったら「前走奇数馬番」がオススメだ。

【血統総論】


 コース適性の高い種牡馬の産駒が多数エントリー。過半数を超えてしまうのは承知の上で、今回は6種牡馬の産駒をプラス評価の対象とした。実績断然ディープインパクト産駒や、単勝適正回収値が132.0と猛烈に高いロードカナロア産駒の強さはイメージ通りだが、回収値ベースの数値やギャップ値が優秀なバゴ産駒やマツリダゴッホ産駒も侮れない。血統面からみると、けっこう混戦模様という印象である。

★桜花賞・総論×各論

 さあ、今年もクラシックの時期が到来だ。前哨戦のチューリップ賞を快勝と、順風満帆な2歳女王ダノンファンタジー。阪神ジュベナイルFでは惜敗するも、クイーンCでその力を改めて証明したクロノジェネシス。朝日杯フューチュリティSで牡馬を向こうに回して1番人気に推されたグランアレグリアなど、出走メンバーはまさに粒ぞろいだ。

 注目はやはり「枠番」だ。内枠の成績がメチャクチャ悪いのは解説した通りなのだが、今の阪神芝はおそらく、内側のほうがいい馬場バイアス。コレによって内枠不利の傾向が相殺されるのか、それともやはり内枠が不利なのかは、正直なところ何とも言いがたい。単純な能力比較よりも、展開読みや馬場読みに苦労しそうな一戦となりそうである。

 28頭が登録しているが、賞金や権利を持っている馬が回避するとの報は現時点では入っておらず、収得賞金900万円の馬はおそらく出番なし。1150万円のメイショウショウブがギリギリ出られるかどうかと思われる。それだけ賞金を持っている馬が多いというのは、層の厚さの裏付け。ハイレベルなレースが期待できそうだ。

 トップ評価は素直にダノンファンタジー。デビュー戦ではグランアレグリアの後塵を拝する結果となったが、以降は4戦全勝で内容も文句なしである。能力の高さとコース適性の高さの両方を証明済みで、逆転できるような新興勢力も見当たらないとなれば、フツーに勝ち負けだろう。不安材料も、内枠に入って折り合いを欠いた場合にどうなるかくらいのもの。前哨戦をキッチリ使えている点も、高く評価したい。

 人気サイドではもう1頭、クロノジェネシスを上位に評価したい。阪神ジュベナイルFは最後方から追い込むも届かず2着という結果で、レース運びなどに惜しい点がいくつもあった。その後のクイーンCでも中団から強いレースを見せているように、能力に関してはダノンファンタジーとほぼ互角とみている。展開や枠番ひとつで逆転可能で、大阪杯を制して勢いに乗る北村友騎手の手綱さばきにも期待したい。

 そして穴馬では、冒頭で「特注データ穴馬」にあげているメイショウケイメイシェーングランツの2頭が上位評価組だ。チューリップ賞組であるシェーングランツのほうを上に取るべきかもしれないが、メイショウケイメイは「オカルト&アノマリー系データ」でどちらも条件をクリアしているのが魅力的で、爆発力に関してもこちらのほうが期待できそう。中枠に入った場合には、どちらもかなり力を入れて買いたい。

 以下はアクアミラビリス、グランアレグリア、ジュランビル、ノーワンという評価の序列。今の桜花賞が極端な荒れ方をするとは思えないので、あくまで現時点での予定ではあるが、上位に評価した人気の2頭と、穴馬として推した2頭を組み合わせたフォーメーションなどで勝負したい。


■総論×各論・先々週の馬券回顧



ついカッとしてやった(#^ω^)ビキビキ

 実際ここは、メチャクチャ自信があったワケですよ。で、「一気に取り返しちゃる!」なんて煮えた頭で考えた結果がコレでござる。レッツゴードンキさん、もう少しスムーズに前を捌ければ……って、それでもたぶん馬券はハズレなんですけどね(号泣)。内枠有利とは解説しましたが、それでもさすがに手が届かねえッス……。

※コース&血統データは2015年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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