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叔父に短距離重賞を5勝したカラヴァッジョを持つサトノゴールド

  • 2019年04月03日(水) 12時00分
《2歳》

●オーヴァル(牡 美浦・古賀史生 父ヴィクトワールピサ、母トーセンファースト)

 母トーセンファーストは現役時代に新潟芝1000mで1勝を挙げた。2代母エスペラーダはエイシンオスマン(11年ニュージーランドトロフィー-GII)の半姉で、3代母ゲルニカは南米アルゼンチンでG1を4勝した名牝。

 本馬は母の父にクロフネを持ち、Haloを4本、Mr.Prospectorを3本併せ持つ配合構成。スピードがあり競走に前向きで、早めに仕上がるタイプ。短い距離でも行けそうだ。

●カクシン(牡 栗東・森秀行 父Malibu Moon、母Switcheroo)

 母Switcherooの半兄I Spent Itは2歳時にアメリカでサラトガスペシャルS(米G2・ダ6.5f)を勝ち、東海岸ニューヨーク地区の重要2歳戦であるホープフルS(米G1・ダ7f)で2着と健闘した。本馬の父Malibu MoonはA.P.Indy系の主力種牡馬の一頭で、ケンタッキーダービー馬Orbをはじめ多くの一流馬を出しており、日本ではオーブルチェフ(11年全日本2歳優駿-Jpn1)の父として知られている。

 本馬は「A.P.Indy×Mr.Prospector」の組み合わせから成るMalibu Moon≒Pulpit 1×4という大胆な配合だが、前出のI Spend Itはまったく同じパターンのSupercharger≒Pulpit 2×3なので問題ないだろう。仕上がりの早いダート向きのマイラー。

●ゴルコンダ(牡 美浦・木村哲也 父ヴィクトワールピサ、母ゴレラ)

 母ゴレラはビヴァリーD.S(米G1・芝9f)、サンドリンガム賞(仏G2・芝1600m)など仏米で4つの重賞を制し、ムーランドロンシャン賞(仏G1・芝1600m)2着、BCマイル(米G1・芝8f)3着、アスタルテ賞(仏G1・芝1600m)3着など格の高いG1でも上位に食い込んだ。母にはSir Gaylord 4×4という瞬発力に秀でた素軽いクロスがあり、日本向きの適性も感じる。

 4分の3兄ネオウィズダム(父ネオユニヴァース)は芝で5勝を挙げ、オープンクラスまで出世した。本馬は芝向きのマイラーで兄同様の活躍を期待したい。

●サトノゴールド(牡 栗東・須貝尚介 父ゴールドシップ、母マイジェン)

 父ゴールドシップは現役時代、皐月賞(GI)と菊花賞(GI)の二冠を制したほか、有馬記念(GI)、宝塚記念(GI)2回、天皇賞・春(GI)など中長距離で華々しい実績を残した。「ステイゴールド×メジロマックイーン」という、三冠馬オルフェーヴルとまったく同じ組み合わせから誕生している。現2歳世代が初年度産駒。109頭に種付けをして79頭が誕生し、78頭が血統登録されている。

 母マイジェンは北米で9戦4勝、ギャラントブルームS(米G2・ダ6.5f)を勝った。その半弟にフィニークスS(愛G1・芝6f)、コモンウェルスC(英G1・芝6f)など短距離重賞を5勝したCaravaggioがいる。この2頭の母Mekko HokteはHoly Bull≒Relaunch 1×2。この異様な配合が活力を生み出すことに成功しているのではないかと思われる。

 父がヨーロッパ型のステイヤー血統で、母方にスピードが欲しいタイプだけにこの配合は悪くない。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

●ヒバリ(牝 栗東・加用正 父エピファネイア、母エトピリカ)

 父エピファネイアは新種牡馬。現役時代にジャパンC(GI)、菊花賞(GI)など4つの重賞を制し、日本ダービー(GI)では落馬寸前の不利を受けながら2着に食い込んだ。リオンディーズ(15年朝日杯FS-GI)、サートゥルナーリア(18年ホープフルS-GI)の半兄で、母シーザリオはオークス(GI)やアメリカンオークス(米G1・芝10f)などを制した名牝。繁殖牝馬としても3頭のGI馬を産んでおり希代の女傑といえる。

 本馬は今年の2歳世代が初年度産駒で、221頭種付けして161頭が誕生し、うち157頭が血統登録している。母エトピリカは現役時代に芝短距離で4勝を挙げ、準OPまで出世した。初子のディアボレット(父ディープブリランテ)は現2勝で上のクラスを狙えるのでまずまずの成績。

 エピファネイアを交配して誕生した本馬はサンデーサイレンス4×3のクロスを持っている。父の産駒はこのパターンがかなりの数にのぼり、成功すれば今後の種牡馬生活の弾みとなるので楽しみだ。母がスピードタイプなのも好感が持てる。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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