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BTC育成調教技術者養成研修第37期生が開講式

  • 2019年04月03日(水) 18時00分

15歳から20歳までの16人が馬の世界へ


 4月2日、浦河のBTC診療所にて育成調教技術者養成研修第37期生の開講式が行われた。この日、浦河は未明まで降り続いた雪が5センチほど積もり、一面銀世界の朝を迎えた。本州からはるばるこの研修にやってきた若者たちにとっては、おそらく当惑させられるような寒さと雪景色であったことと思われる。

 今期37期生は16名。ここ数年、この研修では志願者の減少が課題になってきており、今期はとりわけ、これまで(たぶん)前例がないほどの研修生確保に苦労したと聞く。

 第一次募集の締め切りが昨秋。しかし、その時点で合格者が12名にとどまり、その後、年明けまで二次募集の期間を設け、より多くの若者の応募を待つことになった。その結果、4名が二次募集に応じ、計16名にまで増員できたというわけである。定員は22名となっており、本来ならばそれにできるだけ近づけるように調整したいところだが、かつてのように試験を経て選抜できるような時代ではなくなっているのが実情だ。

 さて、開講式は午前11時半より始まった。16名がひとりずつ名前を呼ばれると「はい」と返事をして立ちあがり、居並ぶ関係者や来賓に紹介された。男子10名、女子6名という内訳で、出身地は北海道が4名の他は本州、四国、九州とバラバラである。年齢は最年少が15歳、最年長でも20歳で、最も多いのが今春高校を卒業したばかりの18歳で計10人を数える。

生産地便り

研修生たちの真剣な眼差しがうかがえる開講式の様子


 北海道以外の出身地別では東京都が3名、その他は各府県より1名ずつである。岩手県、千葉県、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、徳島県、福岡県などとなっている。

 改めて開講式にあたり配布されたパンフレットを見て、今期は15歳で入所してくる若者が3名いたことに驚かされた。うち1名は、以前に友人から「今度、私の知人が入るので宜しく」と話を聞いていた男子である。東京都出身のその男子は、身長こそ普通だが、小顔でスリムな体型の、競馬学校騎手課程を受験した方が良いのではないか、と思われるような若者であった。

 彼は「ようやく自分が打ち込める対象を見つけられたので思い切って北海道に来てみようと決心しました」と語っていた。その彼だけではなく、早くも15歳で自身の将来を見定め、馬の世界に飛び込む決意を固めた子が3名もいることに感動すら覚えた。

 式典はまず大平俊明・BTC理事長の式辞に始まり、その後、松浦英則・日高振興局長、池田拓・浦河町長、蘆原永敏・JRA日高育成牧場副場長からそれぞれ16名に向けて激励の祝辞が贈られ、滞りなく予定時刻に終了した。

 開講式の後は隣室に会場を移しての昼食会である。ここでは研修生に付き添ってきた保護者や開講式に参列した来賓などが一堂に会し、それぞれ親交を深めるとともに、個別に研修生たちと会話する機会が得られる。

 また中間で、1人ずつ研修生が自己紹介をするコーナーもあり、慣れない手つきでマイクを握りながら、氏名、出身地、そしてこの研修に際しての抱負などを披露した。

 続いて現場で研修生を教育する研修担当職員たちが、それぞれ37期生に対して研修を始めるにあたっての心構えや留意点などを手短に語った。

 その中で、1人の教官が前期36期生について触れる場面があった。昨春、この研修に入講した36期生は22名いたが、うち半年経たずに6名が退所し、残りの16名が来週修了式を迎えようとしていること、そして1年間の研修を前半と後半に分けると、馬に接した経験のない研修生が多い分だけ、明らかに慣れるまでの前半の方がより辛く負担に感じる部分が多いことなどを語り、それを乗り越えて欲しいと激励するのであった。

 研修部門のトップである中込治・BTC業務部次長は「まず、ハキハキと返事をしてほしい。はい、と相手にはっきり聞こえる声量で返事をすること。それが研修の第一歩です」と話した。騎乗訓練が一年の大半を占める研修なので、教官の指示がきちんと聞こえているかどうかを確認する上でも、返事をきちんと返すことは基本中の基本である。それができなければ、場合によっては事故や怪我の元になってしまう。

 ともあれ、さっそく今日から37期生の研修がスタートした。今後4月10日までは1期先輩の36期生について様々な作業手順などを学びながら過ごす。10日に36期生が修了式を迎え、この研修所から旅立てば、そこからはいよいよ自分たちだけの1年間の研修が本格的に始まる。

 いずれまた今期37期生の研修風景を取材して来ようと思っている。

生産地便り

37期生の集合写真

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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