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【騎手のGIコース解説】ヴィクトリーで逃げ切り!田中勝春騎手が皐月賞の中山2000mを解説

  • 2019年04月07日(日) 18時02分
GIドキュメント

▲2007年の皐月賞など中山2000mでこれまで重賞6勝を挙げている田中勝春騎手(撮影:下野雄規)


皐月賞の舞台となる中山内回り芝2000メートルについて解説してくれるのは田中勝春騎手(48)。ヴィクトリーで制した2007年の皐月賞を始め、バランスオブゲームのGII弥生賞(2002年)、セキテイリュウオーのGIII中山金杯(1993年)など、この舞台で重賞6勝を挙げている。コースの特徴やジョッキー心理などについて話を聞いた。

(取材・文=東京スポーツ・藤井真俊)


テン乗りで仕留めた大金星は、イメージとは違う展開に…


――ヴィクトリーで制した2007年の皐月賞。当時はテン乗りでしたが、どのような作戦を練っていたのですか?

田中勝 レース映像を見て、引っ掛かりそうな馬だなとは思った。でも外枠(8枠17番)だったでしょ? 外めの2、3番手で折り合えればいいなと思っていたんだ。

――しかし、実際には2コーナーから先頭でしたね。

田中勝 うん。行っちゃった(笑)。でも結果的にはあれで良かったんだと思う。そう切れるタイプではないし、3番手以下は離れていたけど、そこまで速いペースでもなかったから。結局2番手につけた正海(松岡=サンツェッペリン)とワンツーフィニッシュだったでしょ。まあ上位人気の馬が、勝負どころで踏み遅れて助けられた面もあったけどね。最後はハナ差。レース直後は正直、負けたかと思ったよ(苦笑)。

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▲「ほんとは2、3番手で折り合えばと思ってたんだけど逃げちゃった(笑)」(撮影:下野雄規)


――2003年の皐月賞はサクラプレジデントに騎乗してアタマ差の2着でした。

田中勝 こっちはほとんど思った通りに乗れたんだけど…。4コーナーもうまく捌けたし。ただ結果的には動くのが少し早かったのかも。前の馬がタレてきそうだったので、そのぶん早めに動かざるをえなくて。でもネオ(ユニヴァース=1着)がいたところは、普通なら開かないと思ったんだけどなあ。

――ゴール過ぎには、勝ったミルコ・デムーロ騎手に頭をポカリと叩かれる有名なシーンがありました。

田中勝 あれなあ。何だったんだろうな(苦笑)。まあ色々と残念なレースだったよ。

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▲会心の騎乗もアタマ差2着と惜敗した2003年 デムーロ騎手に頭を叩かれたのは「何だったんだろうな(苦笑)」(撮影:下野雄規)


「一筋縄じゃいかないから難しいけど、乗ってて面白いよ」


――同舞台で多くの重賞を勝っていらっしゃいますが、攻略のポイントを教えてください。

田中勝 難しいよ(笑)。小回りコースで、流れに影響されやすいから。直線が短いので一見、前有利に映るけど、みんながそう思って早めに動いていけば、後ろの馬にチャンスが生まれる。ケースバイケースだよね。

――馬場状態によっても変わってきますか?

田中勝 もちろんそう。インコースが悪かったり、全部悪くなっちゃったり。あとはひと昔前の中山は馬場が結構硬めで、前が良く残っていたんだけど、今は柔らかくてクッションが利くようになった。すると行った馬だけでは決まりづらくなったよね。

――となると今は差し有利?

田中勝 それが中山のひと筋縄じゃいかないところ。さっきの話とも被るけど、みんなが「行ったら残れない」と思うと、ペースが極端に遅くなったりする。すると前が残っちゃう…みたいな。そういう意味で本命馬には厳しいコースと言えるのかもしれない。人気がなくて、決め打ちをするような馬には、うまいことハマることもあるけど、本命馬ではそうはいかないし、流れに左右されやすいよね。だから結構荒れることも多いでしょ?

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▲今年も同舞台で勝利(撮影:下野雄規、写真は3月3日の未勝利戦)


――確かに皐月賞は3連単100万円超え(2007年、2017年)など、時にとんでもない配当が出ます。

田中勝 でも個人的には中山は乗ってて面白いんだよね。人気の無い馬に乗っていても「もしかしたら…」って思えるから。どうしても東京のような広いコースは紛れが少ないし、人気馬が多少の不利を受けたって、能力で挽回しちゃう。

――皐月賞のようなGIレースと、その他の重賞や条件戦では違いますか?

田中勝 厳しさが全然違うよね。とくに1コーナーの入りが厳しくて、ここが1番のポイントと言ってもいい。内を狙う馬、外に出したい馬、それぞれの思惑がスタートから1コーナーまでに凝縮されるわけだから。ボートレースでいう“第1ターンマーク”みたいなもんだよね。まあ本当にガチャガチャするし、ここをいかにうまく捌けるか重要。そういう意味で枠順もカギになるよね。揉まれたくない馬なら外枠がいいし、スタートが速くて前に行きたきゃ内がいいし。あとはゆったり走るのか、ピッチ走法なのかでも、希望の枠は変わってくる。

――なんだか色々な要素がありすぎて難しいですね…。

田中勝 だからさっき言ったでしょ。難しいって(笑)。

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