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まもなく64歳、森下博騎手の記録

  • 2019年04月09日(火) 18時00分

期待がかかるだけに復帰が待たれる


 いま、地方競馬で日々、更新し続けられている記録がある。川崎の森下博騎手による、最年長騎乗記録だ。

 南関東では、この3月限りで船橋の石崎隆之騎手(1956年1月29日生まれ)が免許を更新せずに引退となったが、森下騎手は石崎騎手より8カ月ほど早い1955年5月4日生まれ。来月には満64歳となる。もちろん地方競馬では現役最年長だ。石崎騎手が引退したことにより、1956年9月7日生まれの的場文男騎手が現役で2番目の年長となった。ちなみに、森下騎手と的場騎手は地方競馬教養センターの騎手候補生として同期だった。

 森下騎手は、昨年こそ2着が5回あったものの勝利を挙げることができず、今年1月31日、トキノパイレーツに騎乗して勝利した多摩川オープンが、2017年8月28日(大井)以来約1年5カ月ぶりの勝利。そしてこの勝利が、2012年5月6日に金沢の山中利夫元騎手が達成した62歳9カ月25日という記録を1年近く更新する、63歳8カ月27日という、地方競馬における最年長勝利記録となっている。そして冒頭の通り、森下騎手は騎乗するたびに最年長騎乗記録も更新し続けている。

喜怒哀楽

地方競馬現役最年長の森下博騎手。5月4日に満64歳を迎える


 一方で的場騎手は、佐々木竹見さんの記録を超えた通算最多勝記録に加え、地方競馬における最年長重賞勝利記録を更新している。直近の重賞勝利は、2018年9月19日にシュテルングランツで制した東京記念で、62歳と12日。ここ何年か、常に「自身の持つ記録を更新し続けている」という枕詞がついている的場騎手の最年長重賞勝利記録だが、前述のとおり、森下騎手がトキノパイレーツでオープン特別を制したことで、最年長重賞勝利記録が森下騎手によって更新される可能性が出てきた。

 期待されるのは、条件的に5月15日の川崎マイラーズ……だったのだが、4月5日の川崎第2レースで、森下騎手はレース中に落馬負傷。川崎競馬の発表によると、第12胸椎圧迫骨折と診断され、しばらくの入院加療が必要となるようだ。騎乗していたトキノプラチナは1番人気に支持されており、3コーナーの勝負どころで位置取りを上げ、まさに先頭に立とうかというところでの落馬。再度の最年長勝利記録の更新も期待された一戦だっただけに、なんとも残念だった。

 果たして、5月15日の川崎マイラーズの開催に森下騎手は復帰できるのかどうか。仮にそこに間に合わないとしても、8月22日のスパーキングサマーカップ(川崎)あたりも、トキノパイレーツには絶好の舞台と思われる。森下騎手には、なんとか元気になっての復帰を願いたい。そして重賞の最年長勝利記録更新も期待したいところ。

 1月31日の勝利のあと、「もう少し記録を更新できれば」と話した森下騎手だが、一方で「乗っても今年一杯かな」とも話していた。

 的場騎手は今年9月7日で63歳。森下騎手が仮にこのまま勝たないとしても、的場騎手が森下騎手の最年長勝利記録を更新するのは来年6月以降ということになる。最年長騎乗記録となると、森下騎手が引退したあと、それを的場騎手が更新するのは1年4カ月も先。そもそも森下騎手のほうが先に引退すると決まっているわけでもない。

 46年も前に一緒に騎手としてデビューし、もはやレジェンドといってもいい同期のベテランによる、おそらくはその後しばらく更新されることがないであろう、さまざまな記録更新の争いに注目だ。

※記録等は地方競馬全国協会で確認できる1973年4月以降のもの。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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