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桜花賞馬グランアレグリアの全弟ブルトガング

  • 2019年04月10日(水) 12時00分
《2歳》

●アルムブラスト(牡 美浦・高橋文雅 父リアルインパクト、母ヴァンフレーシュ)

 母ヴァンフレーシュはビッグアーサー(16年高松宮記念-GI)と同じく「サクラバクシンオー×Kingmambo」という組み合わせで、2歳時にカンナS(OP・芝1200m)を逃げ切ったスピード馬。初子のウインドスケール(父ダイワメジャー)は現在1戦未勝利で、本馬は2番子となる。

 父リアルインパクトは現役時代に安田記念(GI)とジョージライダーS(豪G1・芝1500m)など4つの重賞を勝った一流馬で、名繁殖牝馬トキオリアリティーを母に持つので種牡馬としても期待できる。トキオリアリティーはアメリカのスピード血統で構成され、母方の奥にも同種の血が流れているので、仕上がりの早さとスピードに秀でた競走馬となりそうだ。2歳夏のローカル戦から能力全開。

●クローストゥミー(牡 美浦・木村哲也 父リアルインパクト、母マチカネチコウヨレ)

 半兄にマチカネニホンバレ(09年エルムS-GIII/父シンボリクリスエス)とサトノティターン(19年マーチS-GIII/父シンボリクリスエス)がいる。母は不出走ながらマチカネキンノホシ(00年アメリカJCC-GII、00年アルゼンチン共和国杯-GII)の半妹で、2代母Alysbelleは米年度代表馬Alyshebaの全妹にあたる良血。優れたポテンシャルを秘めた血だ。

 ただ、産駒の競走成績や「Deputy Minister×Alydar」という配合からもアメリカンタイプのダートホースなので、父が芝重賞を4勝したリアルインパクトでもダート寄りに出てくる可能性が高いと思われる。仕上がりは早く2歳時から頭角を現す。芝短距離であればスピードで押し切れるが、クラスが上がれば本来の適性に合うダートのほうが良さそうだ。

●シルヴェリオ(牡 栗東・池添学 父ハーツクライ、母シルヴァースカヤ)

 母シルヴァースカヤはデインスカヤ(シックスセンスやスペルバインドの母)の半妹で、現役時代にミネルヴ賞(仏G3・芝2500m)、ロワイヨモン賞(仏G3・芝2400m)など8戦5勝の成績を残した。繁殖牝馬としてはシルバーステート(5戦4勝で現種牡馬/父ディープインパクト)、ヘンリーバローズ(2戦1勝で休養中/父ディープインパクト)のほか、チューリップ賞(GIII)4着馬ヴィルジニア(父Galileo)を産んでおり能力が高い。

 また、母方にSilver Hawkを持つハーツクライ産駒はツルマルレオン(13年北九州記念-GIII)やグレイル(17年京都2歳S-GIII)が出ており悪くない。母の欠点は丈夫さに欠けること。シルバーステートもヘンリーバローズもありあまる素質に恵まれながら脚部不安に泣いている。本馬はそうした点が出なければ重賞級だろう。

●ブルトガング(牡 美浦・手塚貴久 父ディープインパクト、母タピッツフライ)

 桜花賞(GI)をレースレコードで制したグランアレグリアの全弟。母タピッツフライは北米で24戦7勝。ジャストアゲームS(米G1・芝8f)、ファーストレディS(米G1・芝8f)などを制した芝の一流馬で、前者を勝った際のタイムは1分32秒34と速かった。2012年のファシグティプトンノベンバーセールでノーザンファームが185万ドルで落札。来日後、2年連続で産駒ができなかったが、3年目にようやく誕生したのが全姉グランアレグリア。その翌年に誕生したのが本馬だ。

 母は2018年3月に死亡したため産駒はこの2頭しかいない。母の父TapitはA.P.Indy系のトップサイアーで、14年から3年連続で北米リーディングサイアーの座につき、2019年の種付料22万5000ドルは現在北米第2位。

 「ディープインパクト×Tapit」は、デビューした7頭中5頭が勝ち上がり、グランアレグリアのほかにアルーシャ(18年クイーンC-GIII・3着、19年京都牝馬S-GIII・4着)が出ており、連対率は34.6%と優秀だ。馬体重は500kgを超え、前肢の繋ぎは姉よりも余裕がある。テンションが高くならなければ2400mまでこなせる。

●レインカルナティオ(牡 美浦・小西一男 父ルーラーシップ、母リビングプルーフ)

 クイーンC(GIII)を勝ったテトラドラクマの全弟、先日3歳500万下を勝ったセプタリアン(父キングヘイロー)の半弟。母リビングプルーフは芝短距離で3勝を挙げた。父ルーラーシップは二冠馬ドゥラメンテの4分の3同血にあたる良血で、現役時代に香港でクイーンエリザベス2世C(G1・芝2000m)を勝つなど重賞を5勝した。菊花賞馬キセキ、アメリカJCC(GII)と京都記念(GII)を勝ったダンビュライト、オークス(GI)2着馬リリーノーブルなどを出して種牡馬としても成功している。

 母方にサンデーサイレンスとFairy Kingを併せ持つルーラーシップ産駒は4頭中3頭が勝ち上がり、テトラドラクマのほかにマーガレットS(3歳OP)など5戦4勝のディアンドル、1戦1勝のヒシゲッコウが出ている。鉄板のニックスだ。配合的な信頼性が高いので全姉と同様に出世街道を歩む可能性が高いと思われる。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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