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能力ではなく枠番がすべてを決める!/フローラS

  • 2019年04月16日(火) 18時00分

■フローラS(G2・東京芝2000m)フルゲート18頭/登録19頭


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口


 オークストライアルとして、そしてよく「荒れる」重賞として知られるフローラS。昨年も13番人気のパイオニアバイオが2着に激走し、1番人気サトノワルキューレが勝ったにもかかわらず高配当決着となっている。フルゲート以上となる19頭がエントリーしてきたが、抜けた存在はまったく見当たらず、何があってもおかしくない雰囲気だ。

 どんなローテからでも突っ込んでくる難解なレースだが、ハッキリしているのが前走1600m以下戦出走組の弱さ。今年はあまり該当馬がいないが、前走で芝1600m以下戦に出走していた馬はトータル[1-1-2-43]で複勝率8.5%、複勝回収値17とかなり成績が悪い。馬券絡みした4頭はすべて人気サイドで、人気薄は買う価値ナシといっても過言ではない。

 ここは人気も穴も、前走芝1800m以上組を狙ったほうが格段に期待できるはず。とくに人気薄を狙う場合には、徹底的にこだわったほうがいい。前走、重賞で差のないレースをしているパッシングスルーや、阪神ジュベナイルF組であるウインゼノビアは相応に人気を集めそうだが、その扱いに関してはかなり慎重を期するべきだろう。

 あとは、東京芝2000mといえばおなじみの「内枠有利」も、しっかり意識したいデータ。混戦模様になればなるほど大きくなるのが、枠番の影響というものだ。特注データ推奨馬としては、プラス評価となった項目が非常に多かったフェアリーポルカの名前をあげた。内枠を引き当てた場合には、ノータイムで本命を打つ所存である。


【コース総論】東京芝2000m Aコース使用

・コースの要所!


★穴馬の激走が目立つ波乱傾向の強いコース。ふたケタ人気も積極的に買える。
★やはり内枠が有利。真ん中よりも内か外かで、信頼度が大きく異なるコース。
★先行勢も残せるが上のクラスでは差し優勢。上がり最速馬はかなりの好成績。





 中山芝1600mと並んで、内枠有利の代名詞的存在となっている東京芝2000m。1コーナー奥のポケットからのスタートで、直後に急カーブが待ち受けているのだから、コース形態から考えても当然の話だ。外枠から前のポジションを取りにいこうとすると、それだけでかなり脚を使わされてしまう。外枠を引いた時点で、騎手の取れる選択肢が思いっきり限られてしまうコースといえるだろう。

 そのわりに1番人気の成績は優秀だが、全体でみるとかなり波乱傾向が強い。特筆に値するのが13〜15番人気の成績で、トータル[0-2-5-92]で複勝率7.1%と、10〜12番人気よりも複勝率が高かったりするのである。馬券に絡んだ馬の14.1%をふたケタ人気が占めるというのは、ハッキリと異常事態。高配当を狙って、かなり大胆な攻め方ができるコースであるのは間違いない。

 次に枠番。前述したように、形態から内枠有利と断言できるコースだ。ファンにそれが知れ渡ってオッズにも織り込まれているのだが、馬番1〜4番の単勝適正回収値は100.2、複勝回収値は90と、まだまだ十分な高さ。つまり、ファンが思っている以上に、もっと内枠有利だということである。単純に内外で比較したデータにおいても、内有利の傾向はハッキリと見てとれる。

 最後に脚質面だが、目立っているのが最速上がり馬の好成績。コース全体で見ると先行勢がよく残している印象なのだが、全体でも勝率トップは中団待機組だ。最後の直線が非常に長いコースでもあり、クラスが上がるにつれて差し優勢の傾向が強まってくる。3歳牝馬でこの距離だと速い流れにはならないが、それでも勝つ確率が高いのは、中団から鋭い末脚で差してくる組だろう。

【レース総論】フローラS(G1) 過去10年

・レースの要所!

★3番人気以内馬の信頼度や回収値はなかなか優秀。4番人気以下馬は大混戦。
★コースデータ通りに内枠が有利。人気薄で上位に食い込んだ馬も内ばかり。
★勝ち馬のほとんどが上がり2位以内。差し→先行決着と決め打つのもアリ。
★キャリアは3〜4戦がベスト。休養明けや間隔を詰めたローテは大マイナス。








 レースの平均配当は、単勝997円、馬連1万6154円、3連複5万3987円という猛烈な高さ。馬連平均が万馬券というレースは、かなり珍しい。しかも面白いのが、これでいて「人気馬はけっこう強い」という点。3番人気以内馬はトータル[7-5-4-14]と、高確率で馬券絡みを果たしている。つまり、ヒモがメチャクチャ荒れているのだ。

 実際に人気別成績を見ても、7番人気以下馬の信頼度に差が感じられない。それどころか、7〜9番人気よりも10〜12番人気よりも、なんと13番人気以下のほうが複勝率が高いのである。人気薄に関しては本当に「なんでもこい」のレースで、どんなパターンからでも突っ込んでくるのが特徴。下手に絞ると立ち直れないほどのダメージを負うケースもありそうなので、とにかく手広く!がセオリーである。

 人気薄を取捨するうえで、もっとも機能するのは「枠番」だろう。コースデータの通りにかなり内枠有利の傾向で、馬番1〜6番は複勝率23.7%、複勝回収値191、ギャップ値プラス0.8という超優秀な内容。中枠や外枠よりも人気になっているのは事実だが、それ以上の結果を出しているのだから文句なしだ。9番人気以下に限定したデータでも、真ん中よりも内か外かで露骨なまでの成績差が出ている。

 脚質も、基本的にはコースデータの通り。馬券絡みが多いのは4コーナーを6番手以内で回った先行勢だが、この勝ち馬に関しては完全に差し優勢。4コーナー13番手以下から追い込んで勝った馬が3頭もいる。上がり3F順位の上位馬が好成績である点も、コースデータとまったく同じ。「差し→先行」決着を前提に、馬券を組み立てたい。

 近年はレースを使うことでの消耗を避ける考え方が強まっており、キャリアの浅い素質馬のほうが総じて好成績。ただし、キャリア2戦以下で好走したのは2014年の1着馬サングレアルだけで、それ以外はすべて4着以下に終わっている。キャリアに関しては、3〜4戦での出走がベスト。あとは、ここまでに7戦以上を消化している歴戦の猛者も、意外に侮れない面がある。

 最後にローテだが、簡潔にいえば「前走からの間隔が長すぎても短すぎてもダメ」というのが結論。中3〜8週の馬がトータル[8-9-7-94]と、馬券絡みした馬のほとんどを占めた。序列をつけるならば「中3〜8週>休養明け>連闘〜中2週」といったイメージ。あとは、関東馬と関西馬がほぼ互角の成績であるのも覚えておきたい。

【血統総論】


 けっこう多めになってしまうが、今回は4種牡馬の産駒をプラス評価の対象とした。なかでも注目は、ギャップ値がプラスで信頼度も高いヴィクトワールピサ産駒。勝率こそ低めだが、複勝率38.3%、複勝回収値108という超優秀な内容だ。ディープインパクト産駒の強さはここでも健在で、過剰人気ではあるが信頼度の高さは文句なし。爆発力のあるハービンジャー産駒、スクリーンヒーロー産駒も要注目である。

★フローラS・総論×各論

 枠番がすべてを決めるレース──といっても過言ではないフローラS。ただでさえ内が有利な東京芝2000mで、しかも開幕週。そして、どんぐりの背比べ的な出走メンバー。競走能力「以外」のファクターが大きな影響を持つのも、いわば納得の条件なのだ。今年は500万特別を快勝してきた組が人気の中心となりそうで、実際にレース傾向的にもこの組が上位を争いそうだが、ヒモに何を連れてくるかはサッパリ読めない。

 出走馬や枠番が決まる前段階でのトップ評価は、特注データ推奨馬にあげたフェアリーポルカ。2走前に出走した若駒Sはヴェロックスの3着だったが、ここはそれなりにレベルが高いメンバー構成。次走の君子蘭賞でキッチリ2勝目をあげて、中3週でここに照準を合わせてきた。好位で流れに乗れる競馬センスのいい馬で、1着は取りこぼすかもしれないが、3着以内に入る確率はもっとも高そう。コース替わりも問題ない。

 二番手評価にウィクトーリア。平場500万下を逃げ切ってオープン昇級を果たしたが、相手関係が揃っていたレースを完勝した内容は高く評価できるものだ。逃げて結果を残してきた馬だけに、このコース&この相手でどう乗るかが難しくなるが、能力や適性は十分に通用するはず。ヴィクトワールピサ産駒というのも追い風で、内枠から好スタートを決めてハナを奪えば、そのまま鮮やかに逃げ切ってしまうかもしれない。

 三番手評価に「ド穴」のイノセントミューズ。賞金的に除外される可能性もあるが、出走が叶って「真ん中よりも内」の枠番に入れば、一発が期待できるかもしれない。プラス評価となった項目は意外なほどに多く、ウィクトーリアと同じくヴィクトワールピサ産駒というのもプラス。相手なりに走れるタイプで決め脚もソコソコあるので、内々でうまく立ち回るような競馬ができれば面白い。

 四番手評価にエアジーンで、以下はあまりに混戦であるため、序列をつける意味なし。あえて言うなら「馬番1〜9番までに入ったふたケタ人気馬」だろうか。アモレッタ、セラピア、フォークテイルなどのキャリア2戦以下馬は、人気であろうがサクッと「消し」勝負の予定。高配当を狙ってナンボのレースなので、実馬券もダイナミックに振り回していく所存である。


■総論×各論・先々週の馬券回顧




サクラチル(#^ω^)ビキビキ

 上位に評価したメイショウケイメイがなんと最低人気!これ幸いとばかりにいっぱい馬券を買い……そして散ったよね(呆然)。それにしても、グランアレグリアは強かった。次走はどうやらNHKマイルCのようですが、この時期の3歳牝馬同士ならば、個人的にはオークスに向かっても面白かったと思うんだけどなー。

※コース&血統データは2015年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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