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ダノンプレミアムを支えるプロの流儀―(前編) 長谷川孝文装蹄師インタビュー

  • 2019年04月17日(水) 18時02分
ノンフィクション

▲ダノンプレミアムを支えるプロの技術とは?(撮影:高橋正和)


9カ月半ぶりながら金鯱賞で勝利を収めたダノンプレミアム。ちょうど1年前、皐月賞を目前に挫跖してからの詳しい状況については以前、猿橋照彦調教助手に詳しくお話いただきました。そこから見えてきたのは、ダノンプレミアムのチーム力。金鯱賞のレース後に川田将雅騎手が「スタッフ全員でこの時を待っていました」と話したように、中内田充正調教師を始めとする厩舎スタッフに加え、装蹄師や獣医師との細やかな連携によって金鯱賞での復活劇は果たされました。

 今回は、普段はあまり表舞台に出ることのない装蹄師と獣医師にダノンプレミアムとどのように関わってきたのかを詳しく語っていただきました。まずは装蹄を担当する長谷川孝文装蹄師。蹄のプロが「初めて経験した」と驚く出来事とは。

(取材・構成:大恵陽子)


走る馬だからこその悩み…


――金鯱賞での勝利、おめでとうございました。長期休養明けであの強さには鳥肌が立ちました。

長谷川孝文装蹄師(以下、長谷川装蹄師) ありがとうございます。調教に騎乗している猿橋調教助手から「大丈夫」と聞いていましたし、僕自身もいい状態だと思っていましたが、長期休養明けで半信半疑な部分もないこともなかったです。勝ってくれて、言葉が出ないというか、感動しました。

――改めて、蹄のプロである装蹄師から皐月賞前に挫跖した時の状態について教えていただけますか?

長谷川装蹄師 朝、馬房でツメを浮かしたり、負重するのを嫌がっている状態でした。それで、いろいろと原因を探ったんですけど、最初は「ここ」って場所が分からず、あとになってだんだん蹄尖(せんてい)部というツメの先に痛みがあると判明しました。そこに膿が溜まるんですけど、排膿するのが遅くなったんですよね。それでちょっと重症化してしまいました。抜けてからも良くはなっていったんですけど、普通の馬よりは良化がゆっくりでした。

――挫跖の原因というのは?

長谷川装蹄師 挫跖ってツメの中で内出血が起きるんです。石を踏んだり、蹄鉄がズレてアクシデントが起きたり、後ろ脚でぶつけても起こります。プレミアムは厩舎もいろいろ原因を探って、場所からもおそらく追突(後ろ脚を前脚の蹄にぶつけること)かな、と。でも正直、原因は分からないんです。ただ、追突だろうと厩舎も僕も想像して、乗る時には脚あてなどで保護をしています。

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▲ダノンプレミアムはこのように脚あてをしている


――後ろ脚で前脚を蹴ってしまうということは、それだけ後ろ脚の入りが大きいんでしょうか? その昔、三冠馬シンザンは飛びが大きくて前脚と後ろ脚の蹄がぶつかるため「シンザン鉄」が開発されました。

長谷川装蹄師 後ろ脚の入りが強いんでしょう。ダイナミックなフォームで、

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