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2019ホッカイドウ競馬開幕

  • 2019年04月24日(水) 18時00分

待ちかねた多くのファンが競馬場に来場


 今年のホッカイドウ競馬が4月17日(水)に開幕した。これから11月7日(木)まで、15開催80日間の日程でレースが行われる。

 開幕初日の17日は、この時期としては異例の暖かさに恵まれ、門別競馬場には開幕を待ちかねた多くのファンが来場し、昨年11月以来5ヵ月ぶりとなる生の競馬を間近で観戦した。昨年の開幕日は、濃霧により、第7レースまで行なったところであえなく中止の措置が取られ、何ともツキのないスタートとなったが、今年は晴天の下、これ以上ないような絶好のコンディションとなり、予定の全12レース全てを消化できた。

 恒例の全国一早い2歳戦のJRA認定「スーパーフレッシュチャレンジ」競走(1着賞金300万円)も第9レースに組まれ、今年デビューを迎える新種牡馬たちの産駒が出走してきて、注目を集めた。エピファネイア産駒のアイズオンユーが1.4倍の一番人気に支持され、サウスヴィグラス産駒リアリティワードが2.5倍と続き、前評判の高さからこの2頭の一騎打ちムードか、と思われたが、いざゲートが開きレースが始まると、伏兵ヨハネスボーイが直線でこの2頭を置き去りにしてグングン加速。2着以下に7馬身差をつける圧勝劇を演じ、中央地方を通じてこの世代初となる勝ち名乗りを上げた。

生産地便り

スーパーフレッシュチャレンジを制したヨハネスボーイ


 ヨハネスボーイはその名の通り、父ヨハネスブルグ、母レッドアンコール、母の父キングカメハメハという血統の牡栗毛馬で、桧森邦夫厩舎の管理馬、石川倭騎手が騎乗。馬主は森永正志氏、生産は新冠・森永聡氏。なお、2着は1番人気アイズオンユー、クビ差の3着が2番人気リアリティワードであった。

生産地便り

スーパーフレッシュチャレンジ口取り


 開幕日のこの日は、ホッカイドウ競馬で騎乗することになった加藤誓二騎手(名古屋競馬所属、期間限定)と、新人の小野楓馬騎手の2人がファンにお披露目される紹介式が行われた。小野楓馬騎手は、静内農高馬術部の出身で今春デビューを迎え、さっそく開幕翌日の18日(木)に待望の初勝利をマークした。

生産地便り

新人騎手2人の紹介式が行われた


 また、富川高校吹奏楽部によるファンファーレなどもあり、大いに盛り上がった開幕日となった。この日の入場者数は1380人。売り上げは3億7983万円とまずまず順調な滑り出しであった。

 その翌週、23日(火)には、今期初めての重賞サッポロビール杯「第9回コスモバルク記念」が行なわれた。出走メンバーが7頭とやや少なく、寂しい重賞となったが、昨年に続き、圧倒的な1番人気に支持されたスーパーステションが危なげなく勝利を収め、昨年門別で重賞6連勝の実力を如何なく発揮した。

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コスモバルク記念を制したスーパーステション


 スーパーステションは父カネヒキリ、母ワイルドイマージュ、母の父ワイルドラッシュという血統の牡5歳栗毛馬。角川秀樹厩舎所属。阿部龍騎手が騎乗。馬主、生産ともに新ひだか町・(有)グランド牧場。通算成績は25戦15勝。

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コスモバルク記念口取り


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スーパーステション関係者の皆さん



 久々に門別競馬場を訪れると、あれこれ変化が見られ、ひじょうに興味深い。その最たるものは、やはりインド人厩務員の激増であろう。昨年も「ついに門別にもインド人が入った」とのうわさを聞いていたが、実際に見たことはなかった。それが今回、17日の開幕日に行ってみると、いやはやずいぶん大勢のインド人厩務員が馬を引いている。前述のJRA認定「スーパーフレッシュチャレンジ」競走でも、インド人厩務員が手綱を握っていたし、パドックでもレースの度に彼らの働く姿が目に飛び込んできた。

生産地便り

パドックで手綱を引くインド人厩務員


 とある厩舎関係者によれば「門別トレセン全体で20数人いる」とのこと。そのうちの1人に話を聞いてみると、「10日前に来たばかり」という。開幕に合わせて、急きょ来日したようなのだが、おそらく慢性的な人手不足もあり、今後は徐々にその数が増えて行きそうな雰囲気が漂う。

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門別トレセン全体で20数人のインド人厩務員が働いている


 すでに浦河でも、民間の各育成牧場ではかなりの数のインド人が騎乗技術者として働いており、BTCではもうすっかり見慣れた感があるが、こと競馬場では初めてのことで、まだ慣れないせいかいくぶん違和感がないでもない。

 だが、それもおそらく徐々に見慣れた光景になって行くだろう。仄聞するところによれば、帯広ばんえい競馬の厩舎にも今春よりインド人が働き始めているらしいので、この“国際化”の流れは、いずれ全国の地方競馬に波及して行くのではなかろうか。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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