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とにかく内枠はぜんぶ買うべし!/天皇賞・春

  • 2019年04月24日(水) 18時00分

■天皇賞・春(G1・京都芝3200m外)フルゲート18頭/登録15頭


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口



 距離が距離だけに意外な気がするが、天皇賞・春の特徴として顕著なのが「前残り傾向の強さ」と「内枠の強さ」の2点である。先週の東京・フローラSでも似たようなことを述べたが、人気薄の強さも含めて、この2レースの「ツボ」は本当によく似ている。さすがにG1なので勝ち負けに一定以上の能力は必須だが、枠番と脚質が能力よりも重要──といっても過言ではないレースなのだ。

 それをよく証明しているのが、特注データとして掲載している「前走での4コーナ通過順位別」成績。ここで前に行く馬は前走でも前に行っている可能性が高いわけで、実際に調べてみたところ、その結果は予想通り。少頭数で行われたレースが多く含まれてるとはいえ、前走4コーナーを5番手以内で通過した先行勢のほうが、ここは圧倒的に成績がいい。過去10年の勝ち馬は、そのすべてが前走4コーナーを6番手以内で通過していた。

 ここに天皇賞・春での枠番をプラスすると、データの信頼度はさらにアップ。好成績である「前走4コーナー通過5番手以内組」であっても、外枠である馬番13〜18番に入るとサッパリの成績で、内枠〜中枠を引いた馬だけを選びたいところ。「前走先行×馬番1〜6番」という組み合わせに限ると、複勝率33.3%、単勝適正回収値238.5、複勝回収値312という素晴らしい結果に。信頼度の高さと爆発力の強さを兼ね備えている。

 あとは、人気薄の激走率が高いコース&レースであるのも大きな特徴。ふたケタ人気の超穴馬でも、内枠に入った場合はけっして侮れない。「内枠&先行&人気薄」の3条件をしっかり意識して、馬券を組み立てるべき一戦といえる。



【コース総論】京都芝3200m外 Cコース使用

※今回は京都芝2200m以上の「外回りコース」すべてが集計対象です

・コースの要所!

★人気薄の強さが目立つコース。買い材料があればふたケタ人気でも狙える。
★完全に内枠有利かつ外枠不利。真ん中よりも内の馬番を引けた馬を中心に。
★後方待機組の不振が目立つ。最後の直線は長いが、追い込みは決まらない。





 施行レース数があまりにも少なく、そのままでは分析不可能である京都芝3200m外。かなり「雑」なデータになってしまうが、今回は芝2200m以上の外回りコースに限定したデータを元に分析を行っている。いつも以上に、当たるも八卦当たらぬも八卦──といったテイストになるが、集計対象とした4コースは意外なほど共通項が多かったりするので、けっこうアテにできそうである。

 まずは人気別成績。ぱっと見で感じるのが、人気薄で激走した馬の多さだ。人気サイドの信頼度はソコソコといった印象で、内容がいいのは4〜6番人気や10〜12番人気など、総じて人気薄。さすがに13番人気以下になると率が落ちるが、それでもまったく買えないという内容ではない。意外に波乱含みのコースといえそうだ。

 そして、メチャクチャ極端な結果が出ているのが枠番データ。ここまでハッキリと「内枠有利かつ外枠不利」と断言できるコース条件は珍しい。顕著なのが勝率における差で、馬番1〜4番は勝率10.5%という飛び抜けた高さ。連対率や複勝率の高さや、回収値ベースの数値の高さも目立っている。平均人気にも大きな差があるとはいえ、それを考慮しても間違いなく内枠が超有利。外枠から勝つのはかなり厳しい。

 最後に脚質。これについては「後方に置かれたらアウト」というのが適切な表現だろう。最後の直線が長い外回りコースだが、4コーナーを11番手以下で回った馬は勝率0.8%、連対率2.1%と大不振。単勝適正回収値16.4、複勝回収値15と、回収値ベースの数値も地べたを這っている。つまり、勝負になるのは先行勢と中団待機組だけ。後方から一気の脚で追い込むようなタイプは、ここでは評価を大幅に割り引くべきなのだ。

【レース総論】天皇賞・春(G1) 過去10年

・レースの要所!

★2〜4番人気は強いが1番人気はサッパリ。人気薄の激走が非常に多いレース。
★コースデータ以上に内枠有利&外枠不利で好走した穴馬はほとんどが内枠。
★ダート短距離のような前残りの多さ。4角では前を射程圏に入れる必要あり。
★7歳以上の高齢馬はイマイチで6歳以下馬だけ買いたい。臨戦過程は不問か。








 レースの平均配当は、単勝2639円、馬連1万1446円、3連複5万1680円。2012年ビートブラックや2009年マイネルキッツの「一発」が大きく影響しているが、それ以外にも波乱となった年は多い。ここ2年ほど穏やかな決着が続いているが、レース傾向から考えるとこれはレアケース。今年あたり、再びドカン!と荒れそうである。

 人気別成績で目立つのは、なんといっても1番人気の弱さ。2017年はキタサンブラックが勝利、昨年もシュヴァルグランが2着に好走と持ち直し気味ではあるが、まだまだ信用できないというのが正直なところだ。面白いのが、7番人気以下での成績差が非常に小さいという点。通常であれば7〜9番人気や10〜12番人気のほうが高信頼度なのだが、このレースは13番人気以下の超穴馬との差がほとんどない。積極的に穴馬が狙える舞台だ。

 次に枠番だが、コレがもうシャレにならないほどの内枠パラダイス。馬番1〜6番はトータル[7-4-4-45]で連対率18.3%、複勝率25.0%、単勝適正回収値193.3、複勝回収値230と、中枠や外枠とは比較にならないほどの強さを見せている。もっとシャレにならないのが、7番人気以下の人気薄に限定した枠番データ。なんと、激走馬8頭のうち7頭までが馬番1〜6番なのである。つまり、人気薄は内枠だけを狙えばオッケイ──ということだ。

 そして脚質面も豪快な偏りっぷり。まるでダートの短距離戦という様相で、過去10年の連対馬20頭のうち16頭が4コーナー6番手以内。後方からはもちろん、中団からの差しですらめったに届かないという、芝の中長距離戦とは思えない結果が出ている。勝負所からポジションをまくり上げられるような馬でなければ、後方待機組は買う価値ナシ。最悪でも、4コーナーでは前を射程圏に入れておく必要がある。

 年齢別成績からは、6歳以下であるのが好走の必要条件といえそう。カレンミロティックのように、高齢になってから好走している馬もいるのはいるが、打率の低さからオススメはしかねる。前走レース別では、前走大阪杯からのローテが好成績だったりするのだが、今年の登録馬には該当例なし。日経賞組と阪神大賞典組との成績差が小さいことから、今年はローテに関してはほぼ不問でいいと思われる。

【血統総論】


 種牡馬データからは、ディープインパクトとステイゴールド、ダイワメジャーの産駒をプラス評価の対象とした。意外だったのがダイワメジャー産駒の強さで、前に行ける脚質の馬に限れば超優秀。今回ロードヴァンドールがどのような競馬をするかは読みづらいが、横山典ジョッキーが内枠からスッと前付け──なんて展開になると、最後の最後まで粘り切ってしまう可能性がある。血統面からの注目馬にあげておこう。

★天皇賞・春 総論×各論

 ここにシャケトラの姿がないのは本当に残念だが、それでも昨年の菊花賞馬であるフィエールマンや、「最強の1勝馬」としての地位をすっかり確立しているエタリオウなど、中長距離路線の主役級がエントリー。ダイヤモンドSを制して勢いに乗るユーキャンスマイルや、日経賞を逃げ切ったメイショウテッコン、日経新春杯で初重賞制覇を果たしたグローリーヴェイズなど、4歳馬はかなりの強力ラインナップだ。

 混戦模様で馬券的にも間違いなく面白くなるが、最大の問題点は「枠番の影響が大きすぎるレース」であること。枠番未決定の現段階では何ともいえない部分が大きすぎて、評価に序列をつける意味がほとんどないのである。また、今開催の京都芝が超高速馬場であり、先行勢がそれなりの上がりを使うと届かない馬場であるのも重要な要素。けっこう差せてはいたが、今週末がどうかはフタを開けてみないとわからない。

 ……と泣き言ばかりでも仕方がないので、現時点での「各論」に入ろう。プリンスオブペスカは登録はするも回避予定とのことで、おそらく今年は13頭立て。先行勢の少なさが目立つ組み合わせで、しかも有力馬は総じて差し馬でもあり、落ち着いたペースで淡々と流れる展開となりそうである。

 ならば、ここはメイショウテッコンをトップに評価したい。このレースの前残り傾向の強さは前述した通りで、しかもこの組み合わせならば、思い通りに自分のレースができるはず。当然内枠のほうがベターだが、ハナを切るならば中枠でも大丈夫そうだ。初コンビ予定の福永ジョッキーが、この馬でどんな競馬を見せてくれるのか楽しみ。好スタートからの積極的な競馬に期待する。

 以下はレース傾向から、人気薄を重視するスタンスにて評価。「内枠から前に行く」という条件をを満たせば、人気薄でも侮れないのがヴォージュカフジプリンスロードヴァンドールの3頭である。いずれも長距離実績がある阪神大賞典組で、自分のカタチに持ち込めれば力を発揮できるタイプ。内枠を引くという条件付きで、中間の陣営のコメントを注視しておく必要もあるが、狙ってみる価値は十分にあると判断した。

 1番人気になるであろうフィエールマンは、このレースにおける1番人気の弱さが大敵。前が止まらない展開&馬場になっても差し切れるほど、絶対的な存在ではないはずだ。同じ人気馬でも評価はエタリオウのほうが上で、勝てるかどうかはともかく、上位争いできる可能性はこちらのほうが高いはず。あくまで枠番抜きでの話にはなるが、人気サイドにおける二番手評価はこの馬である。

 あとはとにかく内枠重視。「馬番1〜6番はすべて買う」のがセオリーで、前に行けそうな馬ならば絶対に押さえておく必要がある。波乱決着と読むならば、「真ん中よりも内」を引き当てた馬のボックスで手広く勝負するのもアリ。能力よりも枠番と脚質を重視するスタンスを、最後の最後まで貫くべきレースだろう。


■総論×各論・先々週の馬券回顧




単勝を買えば17着(#^ω^)ビキビキ

 勝ったサートゥルナーリアではなく、僅差3着のダノンキングリーでもなく、大負けをぶっこいたニシノデイジーの単複勝負ではドモナラズ。皐月賞がここまで紛れのない結果に終わるとなると、ダービーはどうなっちゃうというのだ(遠い目)。上位3頭の強さはホンモノだろうし、別路線組から勝負するのもなあ……う〜ん、悩ましいっすね。

※コース&血統データは2013年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気-平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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