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順当に収まる予感はしない今年の天皇賞春

  • 2019年04月26日(金) 18時00分

少頭数で極端な波乱にはならないかもしれないが…


 GI馬が1頭のみで、しかも圧倒的人気になるわけではないという状況下での天皇賞春。頭数が13頭なので極端な波乱にはならないのかもしれないが、それでも順当に収まる予感はしない一戦だ。

 唯一のGI馬フィエールマンは昨秋の菊花賞を制し、AJC杯では2着とまずまずの内容。問題は菊花賞で、中盤超スローから実質800mのみの競馬だった。当時は外を回りすぎず直線もうまく中を割ったが、今回ペースが流れて自身が外々を回るような形になるとちょっとリスクがある。菊花賞は上がり最速タイだが、その最速33.9秒が5頭いるという特殊な競馬。それをそのまま評価してしまっていいか分からないし、今回外枠を引いたのも多少気になる。

 その2018年菊花賞で2着だったのがエタリオウ。勝ち味の遅さが指摘されているが、前走は積極的な競馬を試みていた。それでも結局2着だったことを陣営がどう捉えているか。今回は内枠を引いたので同じような競馬をもう一回試したほうが良いというのが筆者の見解。溜めていって進路を見つけるのに手間取ったり手遅れの競馬になるほうが嫌だ。

 菊花賞3着のユーキャンスマイルはその後万葉S2着、ダイヤモンドS1着と長距離戦で好走を続けている。ただいずれも上がり特化型の長距離戦ではあった。母の父ダンスインザダークの影響を強く受けていればいいのだが、他の展開についてはまだやってみないとわからない面がある。

 グローリーヴェイズはディープインパクト×スウェプトオーヴァーボードという配合からして生粋のステイヤーではないが、そもそもいまの日本に生粋のステイヤーはそうそういない、菊花賞は5着で先着された馬がたくさんいる状況だが、他馬が仕掛けどころを間違って直線で末を欠いたときに替わって浮上してくるような形はありうる。

 パフォーマプロミスは相手関係や展開もあって負けてきたが、この相手なら通用する余地はある。上がりの競馬に対応できるので、フィエールマンとは組み合わせになりやすいタイプかと考える。

 メイショウテッコンは逃げ馬の怖さがあるが、今回は武豊騎手でないことと、ロードヴァンドールの出方がどうなるか。相手が控えてくれることが好走の前提条件になる。ロードのほうはどう乗ってもこの距離は厳しいように思うが、長距離の名手が鞍上なので怖さはある。あと大穴でヴォージュ。前2頭を行かせておいて、その後ろからいきなりカマす様な競馬ができたら波乱の立役者になりうる。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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