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新人騎手が続々勝利

  • 2019年04月30日(火) 18時00分

噂以上の活躍にあっぱれ!


 今年は中央も地方も新人ジョッキーが豊作だ。デビューした人数自体も近年になく多く、中央の7名は同じ7名だった2011年度以来。地方の10名は2014年の12名以来(いずれも外国などですでに免許を受けていた騎手や、免許再取得の騎手は除く)。さらに地方競馬では半年ごとの候補生募集が再開されていて、今年は10月にも新人騎手がデビュー予定となっている。

 3月にデビューした中央の新人騎手では、7名のうちすでに6名が初勝利(中央の成績は4月29日現在)。中でも新人らしからぬ活躍を見せているのが斎藤新騎手だ。デビュー前に中央の記者から「斎藤新はすごいかもしれない」という噂は聞いていたが、噂以上にあっぱれ!な活躍だ。ここまで96戦11勝、2着8回、3着7回。勝率11.5%、連対率19.8%というのもすごいが、2着や3着より1着の数のほうが多いというのは、リーディング上位を争う騎手の特徴ともいえる。

 一方、4月にデビューした地方騎手も10名のうち、すでに8名が初勝利を挙げている(地方の成績は4月30日現在)。

 地方競馬は所属競馬場の開催日程によってデビューを迎えるのはまちまちだが、初勝利1号となったのは笠松の東川慎(ひがしかわ・しん)騎手。笠松競馬の新年度初日の4月2日、つまりデビューしたその日のメイン第10レースで、直線で先頭に立っていた1番人気馬を見事に差し切り、5戦目での初勝利となった。

 高知では3名の騎手がデビュー。新年度開催初日となった4月13日の第2レースで、多田羅誠也(たたら・せいや)騎手が初騎乗・初勝利。直線、兄弟子である赤岡修次騎手との一騎打ちとなって、その追い比べを半馬身差で制した。続いたのは妹尾将充(せのお・まさちか)騎手で4月20日の第7レース、18戦目での初勝利。さらに、続く第8レースでは濱尚美(はま・なおみ)騎手も12戦目での初勝利。このレースでは、2着に多田羅騎手、3着に妹尾騎手が入り、デビュー3日目の開催にして、新人騎手がワンツースリーというめずらしい記録となった。さらに、続く第9レースでは多田羅騎手が1番人気にこたえて2勝目を挙げ、新人騎手3名が3レース続けて勝利という記録にもなった。また濱騎手も28日に2勝目を挙げている。

 金沢で4月1日にデビューした兼子千央(かねこ・ちひろ)騎手は、20戦目となった4月14日第6レースで初勝利。デビュー戦で騎乗して2着だったオーミプレストで逃げ切り、2着に5馬身差をつける圧勝だった。なお兼子騎手は4月29日までに4勝。この原稿が公開される30日にも金沢競馬の開催があり、さらに勝ち星を伸ばしている可能性もある。

 北海道の小野楓馬(おの・ふうま)騎手は、ホッカイドウ競馬の開幕2日目となった4月18日の第2レース、単勝1.4倍という断然人気馬で、直線離れた3番手から差し切り、デビュー6戦目での初勝利となった。ホッカイドウ競馬の4月の開催は4日間だが、19回騎乗してすでに3勝、2着4回。勝率15.8%、連対率36.8%は素晴らしい。

 4月8日に大井でデビューした大木天翔(おおき・かける)騎手は、14戦目となった4月24日、大井第4レースで初勝利、続く第5レースも勝利して2連勝とした。そしてその勝ち方が印象的だった。まず初勝利は、15頭立て13番人気、単勝72.6倍のシャイニーパンサーに騎乗し、馬群をさばいて内から突き抜けた。2着は1番人気の森泰斗騎手だった。そして2勝目も7番人気での勝利。直線単独で先頭に立っていたのは1番人気に支持されていた兄弟子の御神本訓史騎手で、大木騎手は4コーナー8番手という位置から今度は大外を追い込み、クビ差とらえてのゴールとなった。1番人気に支持されていた、地方競馬を代表するトップジョッキーを2戦続けて2着にしりぞけての勝利ということでは、あっぱれ!と言っていいだろう。

 10人のうちでもっとも遅いデビューとなったのは、浦和の福原杏(ふくはら・まい)騎手。前述のとおり、新年度の浦和開催初日が、平成最後の日となった4月30日だったため。その第3レースを、3番人気馬で見事に逃げ切って見せた。鞍上はデビュー2戦目での初勝利だが、馬はなんとデビュー52戦目、6歳での初勝利だった。

 さて、3年目を迎えるヤングジョッキーズシリーズは、今年は6月11日の金沢競馬場から始まる。中央も地方も新人騎手が多いということで、当然のことながら出場騎手も過去最多。2017年は45名(うち地方23名)、18年は41名(うち地方22名)だったのが、今年は51名によって、まずトライアルラウンドが争われる。そのうち地方騎手が29名と増えているのは、減量規定の変更によって減量が復活した騎手もいるため。特に地方の東日本は5競馬場を舞台に15名で争われるため、計画どおりであれば5戦に騎乗できる2名以外の13名は4戦のみの騎乗予定。「上位の得点を得た4競走分の合計得点により順位を決定」というルールのため、4戦しか騎乗できない騎手にとっては、1戦も失敗できないという状況。当然のことながらレースを経験していな競馬場での騎乗もあり、特に地方の新人騎手にとっては厳しい戦いになるかもしれない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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