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35歳の新人騎手、藤井勘一郎騎手に直撃!

  • 2019年04月30日(火) 18時00分

世界を肌で感じてきた苦労人 日本競馬の魅力とは…


職人

今年JRA騎手として新たなスタートを切った藤井勘一郎騎手


 平成最後の記念すべきコラムです。

 宮中三殿「賢所」へ天皇陛下が天皇退位の儀式に向かわれる様子をTVで拝覧しながらコラムを書いてます。

 歴史のことはよく理解できないけど、ひな人形のような出で立ちの天皇陛下と、後からおいでになる十二単の皇后さまを見ることができるのも、歴史が動いていると感じます。

 皆さんにとって平成は、いかがでしたか?

 そして…新たな元号「令和」へ期待したいですね。

 僕にとって平成は、波乱万丈でした。命を丸儲けしたことに感謝し、再び馬に乗れ、思いっきり命と戦いながらも、命があるだけでは生きていけないと感じ、手探りながら平成を必死の思いで生きてきたなと感じています。

 新たな元号「令和」で記憶障害ゆえに苦戦している「経路を覚える」ことを克服し、麻痺と向き合って難関に挑戦です。

 令和元年「挑む」――パラリンピックにむけて、5/1からドイツのマンハイムへ渡航。乗馬レッスンと、大会に出場してきます。いいお知らせができるように頑張ってきます。ちょっと応援してください。

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職人

平成最後の天皇賞


 平成最後の天皇賞・春(京都・GI・芝3200m)で、やはり記録を残したフィエールマン号とルメール騎手。昨年の菊花賞に続くGI2勝目。ディープインパクトとの父子制覇。

職人

堂々たる天皇賞馬フィエールマン


 ルメール騎手はこの勝利で8大競走(皐月賞・ダービー・菊花賞・桜花賞・オークス・有馬記念・そして春と秋の天皇賞)完全制覇。そして翌29日にはJRA通算1000勝を成し遂げ充実の平成だったでしょうね。

 天皇賞を生観戦しましたが、激しい追い比べに思わず僕自身も必死で馬を追ってるような感覚になりました。それぐらい凄かったです。4コーナーでヒヤッとした場面があっただけに、ゴールへ飛び込んできたときは「強い!うまい!すごい!」と声が出ました。

 終わってみればルメール騎手は春のGIを3連勝。おめでとうございます!

 戦っている時の厳しい顔から、満面の笑みに変わる瞬間を見ることができるのは生観戦ならではの醍醐味です。新しい挑戦、そして今後の活躍が楽しみですね。

職人

お互いを称えあう戸崎騎手(左)とルメール騎手(右)(c)netkeiba.com


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 平成に「新しい挑戦」をした藤井勘一郎騎手に取材しました。

 35歳の新人騎手です。「今年デビューするヤングに負けない様に新たな気持ちで頑張ります」と笑いを入れながら話してくれました。

 その笑いの奥には、想像を絶する苦労もあったとか。そのあたりを突っ込もうかな…。

職人

調教を終えて戻ってきた藤井勘一郎騎手


常石 アポなしですが、取材お願いできますか?

藤井 ちょうど調教の合間なので大丈夫ですよ。

常石 皆さんにいっぱい聞かれていると思いますが、どうしてデビューはオーストラリアだったのですか?

藤井 日本では体重が重くて競馬学校の受験を断念しましたが、どうしても騎手になりたかったので、15歳の時に単身でオーストラリアの競馬学校へ行きました。

常石 英語は話せたんですか?

藤井 全くダメだったので、学校へも行き勉強をしました。日本とは違い、騎手になるのは意外と簡単なんですが、騎手として生き延びるのは厳しいです。毎年60人くらいデビューしてくるんです。広大な土地があり、のびのびしている為か、幼いころから乗馬をする子供たちが多いので…厳しかったです。

常石 騎手になろうと思ったきっかけは、何だったんですか?

藤井 奈良県に生まれたので馬にはあまり馴染みがないですが、サンデーサイレンス初年度産駒の代表馬フジキセキのレースを見て騎手に憧れを持ちました。その後、ダンスパートナーやジェニュインを見て日本の競走馬はすごいなと感じました。

常石 サンデーサイレンスは、日本を代表する種牡馬の1頭ですね。ジェニュインは「正真正銘、本物の」という意味を持ってるそうですよ。藤井騎手は、騎手として正真正銘、夢を叶えられましたね。

藤井 いやいや、これからが勝負です。6回目の挑戦でやっとJRA所属としてデビューできたのですが、通過点です。ゴールではないので、自分をアピールしていきたいと思います。JRAの皆さんや家族など、多くの方に応援してもらいやっとここまで来ました。これからが大事なので、感謝の気持ちを忘れず頑張りたいと思います。

常石 すごい覚悟ですね。尊敬します。これから世界で活躍するには語学も必須になってきますね。僕もドイツへ行ったんですが言葉が全く通じなくて、迷子になった時に苦労しました(苦笑)ホテルの写真を持っていたので帰ることができたんですが、ヒヤッとしました。藤井騎手は韓国で活躍されたんですよね。

藤井 色々な国へ行き騎乗してきましたが、韓国リーティングのキム調教師に出会い、16年にコリアCをクリソライト号で勝利。18年にはコリアスプリントをモーニン号で勝つことができました。オーストラリアでは、南半球のシャトル種牡馬となっていたフジキセキの産駒に騎乗させていただきました。不思議な縁を感じましたね。競馬の面白さや魅力は、こんなところにもあるのだと思いました。

常石 海外で様々なご経験をされていますが、日本競馬の魅力はどんなところですか?

藤井 日本競馬界のシステムがすごいと思いました。世界にはこれほど考えられたシステムはありません。ファンにとっても、騎手にとっても、安心して騎乗できるのは素晴らしいです。

常石 施設などがどんどん良くなっていますよね。競走馬についてはどうですか?

藤井 500万クラスの馬でもいい馬がいっぱいいます。

常石 活躍する為に何か工夫されていることはありますか?

藤井 乗せて頂いた馬全てのレースリプレイを見たり、次のレースへのシミュレーションをし、馬の能力を100%出せるようにしたいと考えています。世界の競馬を肌で感じてこれたこともいい経験になっています。

常石 ところで…ハイランド真理子さんをご存知ですか?

藤井 はい!お世話になりましたよ。

常石 僕は2回の落馬で引退したんですが、1回目の時にハイランド真理子さんと出会い「オーストラリアで見習い騎手をしながら調整をしないか?」とお声をかけていただきました。頼りになる方ですよね。

藤井 多くの騎手を育てていらっしゃいますね。

常石 競馬のほかに何かしていますか?趣味などはありますか?

藤井 バランス感覚や筋トレなどにプラスになるかと思ってボクシングをしています。ストレス発散にもなりますよ(笑)

常石 気持ちいいでしょうね。他の騎手もやっていると聞いたことあります。最後に、これからの抱負を込めてファンの方へメッセージをお願いします。

藤井 新人として再デビューです。ご縁をいただき、須貝調教師の下や矢作厩舎で研修させて頂けました。勉強することが日々山積みですが、チャンスをくれた皆さんに感謝して頑張ります。ここまで長かったから、やっとの思いで…毎日乗れるのがうれしいです。

常石 馬乗りは、馬に乗れることがうれしいですよね。とある記事で、キム調教師が「馬に折り合いをつけるのが上手い騎手だよ。馬の分析や研究もしてレースに挑み、作戦が違ってもレースの状況に合わせて乗り工夫が多い。頼もしい騎手だよ」と応援していました。信頼されているんだなと思いました。

藤井 日本でも、信頼される騎手を目指していきたいと思います。よろしくお願いします。

常石 いろんな話が聞けてよかったです。調教時間ですね。また機会が有れば、海外競馬のことなど教えてください!ありがとうございました。

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 今は単身赴任で競馬に集中しているそうですよ。にこやかに話題豊富に話してくれました。インタビュー第2弾も計画したいと思っています。活躍が楽しみですね。

 様々な騎手がデビューし、豊かで面白いレースが展開されることが予想されます。ぜひ、長ーい連休に競馬場へ出かけて、生観戦してください。

 退位の瞬間も見届けてくださいね。(余談ですが兄のバースデイなんです(笑)。記念すべき日になるかな?)

 つねちゃんこと常石勝義でした。

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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