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ここから頂点を目指す、クリソベリルVSヴァイトブリック/第20回兵庫チャンピオンシップ

  • 2019年05月01日(水) 18時00分

3歳馬による今後を占う一戦


 ゴールデンウイークに行われるダートグレード競走2戦目は5月2日(木)園田競馬場で行われる『第20回兵庫チャンピオンシップ(1870m)』。3歳馬によるダートグレード戦線はここからスタート、7月のJpnI・ジャパンダートダービーを目指します。

 過去の勝ち馬の中にはコパノリッキー(2013年)、ケイティブレイブ(2016年)のような多くのGI・JpnIを制したチャンピオンホースも誕生。この勝利が先々まで繋がっていく重要な戦いです。

13年優勝馬コパノリッキーは、GI/JpnI11勝の名馬へと成長した(写真は17年引退式時、撮影:高橋正和)



16年優勝馬ケイティブレイブも、JpnI3勝を含む重賞9勝の実績を持つ(写真は19年川崎記念出走時、撮影:高橋正和)



 創設以来、地方馬が勝利したのは第1回ミツアキサイレンス(笠松)と第2回ロードバクシン(兵庫)のみで、昨年までJRA勢が17年連続優勝中。しかも近年は上位独占で、地方勢の3着以内は2011年2着ホクセツサンデー(兵庫)まで遡らなければなりません。そろそろ地方勢の活躍にも期待したいところですが、今年もメンバーを見渡すとJRA勢が中心となりそうです。

 クリソベリルはキャリア2戦2勝の無敗馬(2戦とも阪神ダート1800m)。全兄にクリソライト(2013年ジャパンダートダービー、2016年コリアC他多数のダートグレード競走で活躍)、半姉にマリアライト(2015年エリザベス女王杯、2016年宝塚記念)がいる超良血。昨年9月のデビュー戦から524kgという雄大な馬体で、追われることなく持ったまま圧勝。

 前走3月の3歳500万下では5か月半ぶりプラス16kg(540kg)とさらに馬体を増やして登場。勝負所で早めに先頭に立つと、直線でもそのまま伸びて7馬身差。2戦目ではさすがに追われましたが、それでもノーステッキでの快勝。レースを見た印象では底知れない能力の高さを感じさせる走りで、先々は兄や姉に負けない活躍が期待できそうです。

 初めての小回り・地方競馬のコースへの対応がカギとなりますが、鞍上にこちらも絶好調のルメール騎手(今年すでに桜花賞、皐月賞、天皇賞春と国内GI3勝)を迎え、ここは通過点となりそう。

底知れない能力を感じさせる超良血馬クリソベリル(写真は19年500万下優勝時、(C)netkeiba.com)


 ヴァイトブリックは前走・ヒヤシンスSで2着。昨年10月のデビュー戦では出遅れながらも早めに動き、直線では外から手応え良く抜け出して大差勝ち。続く12月の2歳500万下では道中内々の4番手を追走し、直線でやや外に出すとそのまま突き抜けて1着。

 3戦目となったヒヤシンスSでは直線で先頭に立ったもののオーヴァルエースに3/4馬身交わされて2着。それでも最後まで食い下がり、勝負根性のあるところを見せてくれました。

 3着だったデルマルーヴルは全日本2歳優駿2着馬、4着マスターフェンサーは5日(日本時間)に行われるアメリカ・ケンタッキーダービーに出走予定と、ハイレベルなメンバーで戦った経験はこの時期の3歳馬にとって貴重。こちらも首位候補です。

ハイレベルなメンバーで行われたヒヤシンスSで2着の実績を持つヴァイトブリック(写真は18年2歳500万下優勝時、撮影:下野雄規)



3着デルマルーヴルは全日本2歳優駿2着、その後UAEダービーGIIへ出走し4着(写真は19年UAEダービーGII出走時、撮影:高橋正和)



4着マスターフェンサーは伏竜S2着、さらに今週ケンタッキーダービーに出走予定(写真は19年3歳500万下優勝時、(C)netkeiba.com)



 ゴールドラグーンは前走・伏竜Sで逃げて7着。このレースだけを見るとちょっと負け過ぎの感がありますが、昨年のキャベンディッシュ(3着)、2017年のノーブルサターン(2着)も同じく前走・伏竜S7着からの臨戦で、着順だけでは侮れない存在。

 兵庫チャンピオンシップは昨年のビッグスモーキー(2着)、2017年のノーブルサターン(2着)、2016年のケイティブレイブ(1着)と逃げたJRAの馬が連対しており、おそらく逃げると思われるこの馬にとっては好材料。初めてのコースで自分の競馬ができれば自ずと結果が出るはず。

逃げ馬と好相性のレースで巻き返しを狙うゴールドラグーン(写真は19年3歳500万下優勝時、(C)netkeiba.com)


 メスキータはここまでキャリア5戦、うちダートで4戦2勝。勝った2戦はともに後方からの競馬で、直線外から差し切っての勝利。ゴール前でじりじりと伸びてくる脚が実にしぶとい馬。展開次第では非常に面白い存在。

堅実な差脚を持つメスキータ(写真は19年3歳500万下優勝時、(C)netkeiba.com)


 ダイシンインディーはここまで7戦、うちダートで5戦2勝。前走は芝の重賞・ニュージーランドトロフィーに出走しての13着で参考外。勝った2戦は逃げて結果を出しており、ダートに戻って先行できれば好走の可能性も。

2勝を挙げているダートに戻って好走が期待されるダイシンインディー(写真は19年3歳500万下優勝時、写真奥・撮影:下野雄規)


 地方勢からは地元兵庫のエナキョウ。JRAからデビュー、2月に未勝利戦(京都・ダート1800m)を勝ったのち2戦して6着、11着。兵庫に転入初戦となった前走・菊水賞(兵庫3歳3冠レースの1冠目)で3着。今回、ダートグレード競走での経験が今後の地元での戦いの糧になりそうです。

地元兵庫から出走するエナキョウの戦いにも注目(写真は中央在籍時の19年3歳未勝利優勝時、(C)netkeiba.com)



【今回のイチオシ馬】
・クリソベリル
未だ底を見せていない迫力ある走り。雄大な馬体、血統的にも未来のスターホースの資格十分。

【気になる馬】
・メスキータ
差し馬が届く展開になれば、馬券的に面白い存在。

 レース経験の浅い3歳馬たちの戦い。JRA勢はお互いに対戦した経験も無く、力の比較は至難の業ですが、すべての馬にとってここは試金石。ここでどんな戦いをするのか、今後を占う意味で重要な一戦です。

 そう遠くない未来に勝ち馬がGI・JpnIホースになった時、「ああ、あの馬なら兵庫チャンピオンシップの時から見ていたよ!」と言える可能性があるのも競馬ファンにとってはこの上ない幸せ。若駒たちの飛躍する姿にご注目ください!

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埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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