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混戦ムードでも結局は堅く決まる!/優駿牝馬(オークス)

  • 2019年05月12日(日) 18時00分

■オークス(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録23頭


【特注データ】3行でわかる! レース攻略の糸口



 オークスの特徴はいくつもあるが、馬券攻略にもっとも繋がりそうなポイントとして、「決め脚の重要性」をあげたい。牝馬クラシック第1冠の桜花賞もそうだが、最後の直線で速い上がりを繰り出せるかどうかが超重要。最後の直線が長い東京芝で、しかも3歳牝馬では前々からの競馬で最後まで粘りきるのは非常に難しく、自然と差し優勢になるのだと思われる。

 掲載したのは、前走での上がり3F順位別でのデータ。前走でのそれが「3位以内」だったか「4位以下」だったかで、非常に大きな成績差が出ている。ご覧の通り前者のほうが連対率20.0%、複勝率27.7%と圧倒的に好成績で、単勝適正回収値112.3と回収値ベースの数値も優秀。上がり3F順位が前走、前々走と連続して「3位以内」だった馬になると、信頼度や回収値はさらにアップする。

 ちなみに、この「2走連続で上がり3位以内」という条件を満たし、実際にオークスで好走しているのは、前走が桜花賞・忘れな草賞・フローラSだった馬のみ。ここに限ればトータル[8-3-3-13]で連対率40.7%、複勝率51.9%、単勝適正回収値143.0、複勝回収値114という、さらに素晴らしい成績となる。

 今年の登録馬でこれらの好走条件をすべて満たしているのは、ウィクトーリア、エールヴォア、クロノジェネシス、シゲルピンクダイヤ、シャドウディーヴァ、ラヴズオンリーユーの6頭。その他のファクターも加味して、今回はクロノジェネシスとシゲルピンクダイヤの2頭を「特注」評価とした。


【コース総論】東京芝2400m Bコース使用


★人気サイドの信頼度が高めのコース。妙味があるのは4〜6番人気の中穴か。
★平均人気の差は大きいが、それを加味しても内枠有利&外枠不利のコース。
★全体でも差し優勢。鋭い決め脚がないと、勝ち負けに持ち込むのは難しい。





 正面スタンド前からスタートして、広々とした東京コースをぐるりと1周する東京芝2400m。しかし、最初のコーナー進入までは約350mと長くはなく、さらに1コーナーの角度がけっこう鋭角だったりもするので、序盤でいいポジションを取れるかどうかはかなり重要となる。ペースは序盤〜中盤とゆったり流れて、勝負所から一気にラップが加速する「上がり勝負」となるケースが多い。

 まずは人気別だが、1番人気の信頼度はけっこう高く、回収値ベースの数値も優秀。対照的に人気薄の信頼度は全体的に低く、爆発力にも欠ける印象である。全体としては人気サイドのほうが優秀な内容で、配当的な妙味がもっともあるのは4〜6番人気の中穴ゾーン。極端な穴を狙うよりも、こちらをターゲットとしたほうが効率はいいはずだ。

 続いて枠番だが、こちらは内枠有利かつ外枠不利というのが結論。平均人気の差が非常に大きく、内枠のほうが好成績になって当然ではあるのだが、連対率で5%前後、複勝率で8%前後も中枠や外枠を上回っているのだから、文句なしに優秀。回収値ベースの数値が「内>中>外」の順で綺麗に並んでいるのも、内枠有利&外枠不利なコースであることの証明といえる。

 最後に脚質だが、直線の長い東京コースらしく差し優勢の傾向が強い。全体では先行勢もけっこう粘れている印象だが、こちらはクラスが上がるごとに厳しくなってくる。上がり3F順位の上位馬が好成績であることからも、勝ち負けに鋭い決め脚が求められるコースであるのは間違いなし。中団から差せる馬を重視したい。

【レース総論】オークス(G1) 過去10年

・レースの要所!

★1番人気は連対率70.0%と超優秀。相手も大きく紛れるケースは考えづらい。
★コースデータとは異なり外枠のほうが好成績。最速上がり馬は超優秀な内容。
★馬券絡みした馬の3分の2がキャリア4〜5戦組で、上位独占も十分にありうる。
★完全に「継続騎乗>乗り替わり」のレース。関東所属騎手の成績はイマイチ。








 レースの平均配当は、単勝921円、馬連6508円、3連複9189円と、かなり低めの水準。それもそのはずで、1番人気の信頼度が[5-2-1-2]で連対率70.0%と非常に高く、2013年以降は連続して馬券に絡み続けている。相手が大きく紛れたケースもなく、ふたケタ人気馬はなんと全滅。かなり順当決着傾向が強いレースだといえる。

 コースデータと対照的な結果が出ているのが、枠番データだ。コースは「内枠有利&外枠不利」という結論だったが、レースデータでもっとも優秀な内容であるのは、外枠である馬番13〜18番。信頼度に関しては内枠である馬番1〜6番も互角だが、平均人気の差や、ギャップ値がマイナス1.6と非常に悪いのを考えると、過信は禁物である。ひとケタ人気に限定したデータでも、やはり外枠のほうが優秀という結論となった。

 その要因となっていると思われるのが、脚質別成績だ。この時期の3歳牝馬だと、やはりスタミナや持久力勝負になると分が悪い様子。中団〜後方からの差しや追い込みが、コースデータ以上に決まっている。注目すべきは、最速上がり馬の[7-3-2-1]という超優秀な成績。複勝率92.3%というのは驚異的な数値で、「前が崩れて差し優勢→外枠が有利に働く」のではないかと推測される。

 かなり重視したいのがレースキャリアで、キャリア4〜5戦の組が図抜けて好成績。この組を狙っているだけで馬券が当たる──といっても過言ではないほどだ。そして騎手関連データでは、鞍上が乗り替わった馬の不振が目立つ。過去10年の勝ち馬は、すべて鞍上が継続騎乗していた。鞍上がレーン騎手に乗り替わる予定のコントラチェックは、1着では狙いづらいパターンといえるだろう。

【血統総論】


 今回は、ディープインパクト産駒とルーラーシップ産駒をプラス評価の対象とした。ディープインパクト産駒の強さは今さら強調する必要もないが、驚いたのがルーラーシップ産駒が見せている驚異的な強さ。勝率24.4%、連対率36.6%、複勝率41.5%と、いずれもディープインパクト産駒を大幅に上回っている。フェアリーポルカとメイショウアステカには、ぜひ抽選を突破してもらいたいものだ。

★オークス 総論×各論

 桜花賞馬グランアレグリアがマイル路線に駒を進めたことで、確たる中心を欠く混戦模様となった今年のオークス。シゲルピンクダイヤ、クロノジェネシス、ダノンファンタジーといった桜花賞の上位馬が強いのか。それとも、今年はコントラチェック、ラヴズオンリーユー、ウィクトーリアなどの別路線組が台頭してくるのか? オッズもかなり割れて、波乱の気配が漂う一戦となりそうだ。

 しかし総論、各論ともに「ここは堅い」というのが結論。上位人気同士の組み合わせで意外に配当がつくパターンはありうるが、波乱はないとみている。混戦ムードでも結局はキッチリ決まるのがこのレースで、なんだかんだで桜花賞組が強いというのは、過去のレース結果からも明白。登録各馬をデータ面から精査しても、紛れようがないというのが現時点でのジャッジである。

 トップ評価はクロノジェネシス。桜花賞では3着に終わったが、中団から上がり32秒9の上がりを繰り出しているのだから大したもの。道中でスムーズさを欠いての結果だったことを考えると、なおさら見直す価値がある。前走で減っていた馬体の維持が課題とはなるが、距離延長や東京替わりはプラスで、買い材料の多さも文句なし。樫の盾にもっとも近い存在は、この馬だ。

 二番手評価にシゲルピンクダイヤ。ついに出た「シゲル」の大物候補で、桜花賞では最後方から強烈な末脚を繰り出して2着に好走。チューリップ賞に続いて結果を出したのだから、その能力を疑う余地はない。スタートで常に後手を踏むのがネックだが、東京芝2400mならば大きな問題とはならないはず。ダイワメジャー産駒であるのも、3歳牝馬限定のオークスでは気にならない。

 三番手評価にウィクトーリア。前走のフローラSでは、中団から差す競馬で結果を出した。この収穫は非常に大きく、オークスでの勝ち負けに大きく前進したといえるだろう。母ブラックエンブレム、父ヴィクトワールピサという血統から、距離延長に対する不安がまったくないのは大きなプラス。冒頭の「特注データ」好走条件もクリアしており、別路線組ではもっとも期待できる存在である。

 四番手評価にラヴズオンリーユー。超良血らしい素晴らしいキレ味の持ち主で、デビューしてからの3戦はいずれも最速上がり。しかも、その走りにはまだまだ余裕が感じられる。こちらも距離延長はまったく問題ないはずで、前走を叩かれての上積みに期待が持てる、余裕のあるローテも好印象。素質の高さは間違いないだけに、あとは桜花賞組との力関係だけだろう。

 以下はエールヴォア、シャドウディーヴァ、ダノンファンタジー、ビーチサンバ、フェアリーポルカという評価の序列。人気の一角となりそうなコントラチェックは、プラス評価となった項目の少なさから「消し」ジャッジだ。レーン騎手が鞍上とのことでなおさら人気しそうだが、東京替わりや脚質、気性など、気がかりな点も多い一戦。過信は禁物とみている。


■総論×各論・先々週の馬券回顧



令和だから「018」ですか(#^ω^)ビキビキ

 単勝1.5倍の圧倒的人気となった07グランアレグリアの「消し」は大正解も、その後が間違っていた(痛恨)。18ケイデンスコール、10カテドラルのどちらも買えずではドモナラズであります。今年は意外に堅いんじゃないかという各論のほうを信頼してみたんですが、やっぱり荒れるレース傾向のほうが正しかったのね……。

※コース&血統データは2013年以降、レースデータは2009年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。

【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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