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英国女王の名のもとに

  • 2019年05月11日(土) 12時00分

波乱だけでない 何かが生まれるヴィクトリアマイル


 英国の女王の名を冠した牝馬のGI戦と言えばエリザベス女王杯と、その30年後に創設されたヴィクトリアマイルとがあるが、そのずっと以前にあったビクトリアカップのことは忘れられている。3歳秋の、牝馬の菊花賞に相当するレースとして1970年に京都の2400米戦として創設されたが、その5年後、エリザベス女王が来日されたのを記念して、76年からエリザベス女王杯と改称、新たに第一回のレースとして行われていた。

 以後、95年まで一貫して3歳牝馬の秋のタイトル戦として行われていた。その後、距離体系が確立され、古馬牝馬の活躍の場となるように96年から3歳以上牝馬の距離2200米のGI戦に衣替えし、そのときに3歳牝馬三冠目の一戦として秋華賞が誕生している。

 エリザベス女王の名はずっと継続してきたが、一度消えたビクトリアの名は、2006年にヴィクトリアマイルが新設されてよみがえったことになる。このオークス一週間前の古馬牝馬によるタイトル戦は、この5年一番人気が5連敗しているように波乱が多い。

 過去13年、必ず、なんらかの記録が生まれていて、それが今年はなんであるかを見つけるレースでもある。勝ち馬を見ながら振り返ってみると、ダンスインザムード、コイウタは騎乗した騎手がGI初制覇、ウオッカ下して勝ったエイジアンウインズは初のGI勝ち、その翌年ウオッカは雪辱したが武豊の史上初の牝馬GI完全制覇が生まれている。

 続くブエナビスタは、圧倒的人気に応えて単勝150円と最低払戻し、翌年これを破ったアパパネは4歳春でのGI5勝が史上最速を記録、ホエールキャプチャは惜敗続きにピリオドを打ち6度目で待望の初栄冠、続くヴィルシーナも初のGI馬、翌年が初の連覇、続いて連覇したストレイトガールは、初の高齢による優勝で、最初の2015年は3連単2070万円を超える記録を生んでいた。そして2年前のアドマイヤリードは、条件からの上昇一途で初GI制覇、昨年のジュールポレールは8番人気、重賞初勝利がGIレースになっていた。

 今年はどのケースにあてはまるか、第一回のダンスインザムードなら、同じ藤沢和きゅう舎のソウルスターリングが輝きを取り戻すことになる。いずれも2年前の桜花賞馬でありオークス馬だ。その他のGI馬は、いずれも4歳。中でラッキーライラックは、阪神JF1着馬だから2年前のGI馬だ。どちらかにするのも面白い気がするのだが。初GI制覇が多い中、ちょっとひねって考えてみた。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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