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ローズキングダムも暮らすヴェルサイユファーム(3)クラウドファンディングで広がる馬産地の新しい未来

  • 2019年05月14日(火) 18時00分
第二のストーリー

ヴェルサイユファームで暮らすタイキシャトル(提供:ヴェルサイユファーム)


やんちゃなタイキシャトル、心優しいメイショウドトウ…


 タイキシャトルとメイショウドトウは、種牡馬を引退した後、認定NPO法人引退馬協会のフォスターホースとなってイーストスタッドで余生を送っていたが、昨年の11月29日にヴェルサイユファームへと居を移した。

 タイキシャトルは今年25歳になった。1997年スプリンターズS、1997年、98年とマイルCS連覇、1998年に安田記念、そしてフランスのGIレース、ジャックルマロワ賞優勝と、輝かしい成績を残し、種牡馬になってからも、NHKマイルCのウインクリューガー、フェブラリーSのメイショウボーラーのGI馬や、JpnIのJBCスプリントを勝ったサマーウインドをはじめ、レッドスパーダなど数多くの活躍馬を輩出している。

 現役時代はヤンチャだったと聞いたことがあるが、現在はどうなのかヴェルサイユファームの岩崎崇文さんに尋ねてみると、最初に返ってきた答えが「噛みます(笑)」だった。それは甘噛みという可愛いものではなく、本気噛みのレベルだそうだ。

「うっかり背中を向けると襲われます(笑)」

 そう言いながら、岩崎さんは電話の向こうで楽しそうに笑っている。年を重ねて25歳となった今も、現役時代と変わらないヤンチャなシャトルのままのようだ。

 一方、メイショウドトウは今年23歳。競走馬時代はテイエムオペラオーと何度も死闘を繰り広げ、そのたびにオペラオーの前に屈し続けていた。だが2001年の宝塚記念でついにテイエムオペラオーを破って、GIタイトルを手にしたのだった。引退後は種牡馬入りしたが、重賞勝ち馬が2009年の大井記念を制したライジングウェーブ1頭と伸び悩み、2017年に種牡馬を引退している。

「人懐っこくて可愛いです」と岩崎さんが言うように、ドトウはシャトルとは対照的な性格だ。

「人にも馬にも優しいですし、ヤギと一緒に放牧されていても平気です。この間は馬房に紛れこんだエゾタヌキと一緒に一夜を過ごしたみたいですしね(笑)」

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北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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