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雌雄を決する大一番になる安田記念

  • 2019年06月01日(土) 12時00分

アーモンドアイが令和の名牝と称えられる存在になれるか


 雌雄(しゆう)を決すると言えば威勢よく聞こえて、魅力的だ。すべからく勝負事はかくあってほしい。競馬も、もちろんそういうところに面白さがある。アーモンドアイにダノンプレミアム、同世代のこの牡牝は初めて対戦するので、雌雄を決するを地で行くようなもの。安田記念で久しぶりに対決シーンが見られるのがうれしい。

 これまでに話題になった対決レースといえば、2009年のウオッカ、ディープスカイの新旧ダービー馬3度目のレースが安田記念でみられた。平成の名牝ウオッカと言えば、64年ぶりに牝馬によるダービー制覇を達成していたが、それ以降7連敗し、2008年の安田記念で復活、秋の天皇賞も勝っていた。その年のダービー馬がディープスカイで、秋は天皇賞でウオッカの3着、ジャパンCがウオッカの3着に対しこちらは2着と先着、対戦成績はそれまで5分だった。

 そして迎えた3度目の対決は、前走ヴィクトリアマイルを圧勝したウオッカの単勝が1.8倍、大阪杯2着とひと叩きしたディープスカイが3.7倍でこれに次ぎ、他を圧して人気を集めていた。雌雄を決する対決人気、春のマイル王決定戦と叫ぶ声にも力が入っていた。

 この時のスタンドの声援は凄かった。直線半ば、それまでスムーズに走っていたウオッカの進路がふさがれ、行き場を失っているのを横目にタイミングよくスパートしたディープスカイが残り200米で先頭に。この時スタンドは悲鳴があがり、それが絶叫に変わった残り100米、ウオッカが馬群をこじあけて一気にディープスカイをかわしていたのだ。勇猛果敢に不利をはねかえした武豊騎手への大歓声も鳴りやまず、ウオッカの安田記念連覇、GI6勝目を称えていた。

 対決人気で、それにふさわしいレース内容で本命馬が勝利する、競馬が一番盛り上がる条件に応えた瞬間にいたという実感は、今でもこの全身に残っている。ウオッカはその後、ジャパンカップを勝ってGI7勝と女傑ぶりを発揮したが、今年のアーモンドアイが、国内外のGI5連勝中の記録を伸ばして令和の名牝と称えられる存在になれるかどうか。

 朝日杯FSの勝ち馬でマイルは3戦3勝、トータル7戦6勝のダノンプレミアムが新しいマイル王として頭角をあらわすか。久々に雌雄を決する大一番になるのか、期待するところ大な安田記念だ。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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