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リステッド競走のゼッケン配色変更に伴い、ゼッケンの製作現場に潜入!

  • 2019年06月09日(日) 18時01分
哲三の眼

▲今回新たに“黒地に黄文字”となるリステッド競走ゼッケンのサンプル(写真提供:JRA)


6月16日に行われる阪神11R・米子Sから、リステッド競走のゼッケンの配色が従来の“黒地・白文字”から“黒地・黄文字”に変更となります。そこで今回は、意外と知られていないゼッケンの秘密や完成するまでの過程を、製作を管轄しているJRAファシリティーズ東京事業所の担当者様、作成に携わるスタッフの方々にご協力いただき、実際の作成現場から、その一部始終を皆さんにお見せしちゃいます!

(取材・文=netkeiba編集部)


わずか5時間あまりで、翌日出走する全頭分のゼッケンを


 私たちが実際にレースで目にするゼッケンが製作されるのは、東京競馬場内にあるゼッケン印刷室というところ。ここでは3人のスタッフが、あらかじめ発注された馬番が書かれているゼッケンの下地に、馬名をプリントして貼り付ける作業を行っていきます。

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▲こちらがゼッケン印刷室 東京競馬場内にあるこちらの部屋で週末に作業が行われる


 ゼッケン完成までの一連の作業を、JRAファシリティーズ東京事業所の担当者様に伺ったところ、ゼッケンの製作過程は、タイトなスケジュールで行われていることが明らかに。

「3人のスタッフが実際に製作を開始するのは、枠順確定後にデータがこちらのパソコンに入ってきた10時30分ごろからになります。そこから納品期限の15時30分までに、翌日に行われる東京競馬12R分すべてのゼッケンを作成していきます」

 ちなみに取材時の6月1日(土)は、翌2日(日)の東京競馬12Rに出走する馬は全部で171頭。毎週この程度の量を、およそ5時間で、3人のスタッフが流れ作業で作成するというハードな工程となっています。

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▲あらかじめ発注されたゼッケンの下地 ここに上から馬名を貼り付けていく


 ゼッケンが完成するまでには主に3つの工程があり、まずはゼッケンに貼る馬名のプリント部分を、黒い大きなシートからカッティングプロッターという機械で切り出していきます。機械の先端に針がついており、この針がミシンのような動きで、大きな黒いシートに馬名の形に沿って、切り出しを行っていきます。

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▲こちらがカッティングプロッター 機械の先端についている針が自動で馬名の形に切り抜いていく


 同じ機械が2台並んでいるのは、ゼッケンには両面に馬名を入れているため、1頭につき2枚分のプリントが必要になるため。一枚のシートで8頭ずつ馬名の切り出しが行われていきます。

 次に、カッティングプロッターから馬名の切り出しが行われた黒いシートを、手作業で丁寧に剥がしていきます。その際、馬名のプリントから濁音のひとつが取れていないか、馬名の一部分がなくなっていないかなどを入念に確認。

 ちなみにカッティングプロッターの先端についている針は消耗品のため、使い続けると切れ味が悪くなり、手作業では剥がしづらく大変なことも。

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▲1枚1枚入念にシートを剥がしていき、馬名が浮き彫りに


 そして最後に、手作業で馬名の形に剥がされたプリントを、転写機で熱を加えゼッケンの下地に貼り付けていきます。ここまでがゼッケン完成までの一連の作業となります。

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▲こちらの転写機でプリントされた馬名が貼り付けられ完成!


 この工程を繰り返し、全頭分のゼッケンが作成されると、そのまま車で検量室へ運ばれ納品となります。検量室のなかには、レース毎にゼッケンを管理する指定の棚があり、順番に並べられてレース当日に使用されるまで保管されます。

 そしてなによりも大事なのが、ゼッケンの馬名が間違って表に出ないこと。ゼッケンが完成してから納品されるまでの間に、度重なる検品が行われていきます。

「ゼッケンの製作過程でもスタッフによる確認作業が行われるのに加え、実際に我々JRAファシリティーズの社員でも、ゼッケンが完成された段階で一頭一頭馬名を読み上げ、プリントされた一部が剥がれていたり、捲れていないかを入念に確認してから納品を行います。

 絶対にミスはあってはならないことですので、レース当日の朝8時にもJRAの職員によって再度検品が行われ、最終的に問題なければ納品書をいただくことになっております。これまで何十年もの長い間、馬名が間違って表に出たことはありません」

 このように、レース前日から作成されるゼッケンは、作成から何重もの確認を含めた工程で、てきぱきとぬかりなく行われ、お披露目されることとなります。

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▲今回特別にネットケイバ唯一のゼッケンを作成して頂きました!


ゼッケンは100%競馬場産のペットボトルから!


 JRAファシリティーズでは清掃作業も担当しており、毎週こちらで作成されているゼッケンは、下地からすべて競馬場内で回収されたペットボトルを再利用したものとなっています。

「こちらで製作しているゼッケンは、すべて東京競馬場と中山競馬場で出たペットボトルを綿になるまで粉砕して色を付け、フエルトの状態にして、その原綿が長野県にある障がい者施設に届き、そこで裁断され、番号と滑り止めが付けられて下地が完成していきます。

 その下地を我々の方で、番組表をみて開催ごとに発注をかけ、ゼッケン印刷室にストックしておくという形になっております」

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▲ゼッケン印刷室には大量のストックが! 開催ごとに下地の発注をかけているのだとか


 ゼッケン1枚につき、必要になるペットボトルはおよそ6本。週末の1場2日間(計24R分)で出走する馬がだいたい350頭と計算すれば、毎週2000本を超えるペットボトルが必要となるも、競馬場内で出されたペットボトルですべてのゼッケンがまかない切れており、いわば100%競馬場産のゼッケンが大量に毎週作成されているのですね。

 最後に、今回リステッド競走のゼッケン配色が変更になった経緯について尋ねると、

「従来のリステッド競走のゼッケンは、特別競走と同じ“黒地に白文字”となっておりましたが、リステッド競走がよりひとつランクが上であるということを、お客様に分かりやすく伝えるため“黒地に黄文字”に変更となりました。ファンサービスの一環として、また認知度や注目度の向上を図るため、JRAさんの方から依頼を受けて、我々の方でお作りさせていただいております」

 他にも、ゼッケンにはレースのランクによって多くの色分けが行われており、

・一般競走→白地に黒文字
・特別競走→黒地に白文字
・そして今回新設されたリステッド競走→黒地に黄文字
・そのうえのGIII→緑地に白、GII→赤地に白、GI→紫紺に白

 と大まかに分けられています。さらにGIのなかでも、クラシック競走は“紫紺に黄色”、ジャパンカップには“LONGINESのロゴや出走馬の国旗”、日本ダービーは昔からの伝統を踏襲し白地に黒文字となっているも、一般競走との区別をつけるために、“金のステッチや折り返しをつけ、生地も従来より厚め”となっているなど、細かな違いが存在しています。

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▲昨年ジャパンカップを制したアーモンドアイ ゼッケンにはLONGINESのロゴと出走馬の国旗が(撮影:下野雄規)


 そんな多くの色や細かい違いがあるゼッケン、それらがすべて競馬場内のペットボトルでまかなわれているなら、もしかしたらあなたが飲んだペットボトルが名馬のゼッケンになっているかも? この機会にレースだけでなく、ゼッケンにも着目してみてはいかがでしょうか。

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