東京の広く、直線の長いコースはディープ産駒のいい面を発揮できる
今年前半のGI競争が終わり、その半分がディープインパクト産駒の勝利だった。現役時代は体の柔らかさとその低く無駄のない走法から、持久力と瞬発力に優れていたが、産駒にもそれが受け継がれている。GIの検討には、ディープ産駒は外せない。
皐月賞以来の勝利で大阪杯でよみがえった5歳馬アルアイン、3歳の1月にデビューし菊花賞馬となり、今年、AJC杯2着から3ヶ月ぶりの実戦で春の天皇賞馬になったフィエールマンはわずか6戦目でのGI2勝目と、その蹄跡も様々。
多々あるディープインパクトの良さの、そのいずれかを持っていて、それがレースに反映されたと言えるのだが、中でも、騎手に出すゴーサインにすぐさま反応する精神力には、他にないものがある。この気性に関しては、闘争心が旺盛ゆえに激しすぎる面があるが、桜花賞を勝ったグランアレグリアのようにわずか4戦目、4ヶ月ぶりの中112日の実戦でも、巧くかみ合えば栄冠をつかむことができる力を秘めている。
この類稀な素養は、クラシックを戦う場面で、それまでのタイトル馬にはあまり見られないものを見せてくれる。
オークスを勝ったラヴズオンリーユーは、カワカミプリンセス以来13年ぶりの無敗、4戦4勝で、その前走は忘れな草賞だった。またダービー馬ロジャーバローズは、京都新聞杯2着で出走権を得て、6戦3勝目がダービーだった。オークス馬は、ディープ産駒の牝馬らしく手足が軽く、その分切れる脚を持っているし、ダービー馬は、一瞬の切れではなく長くいい脚を使うという特徴を生かしていた。
この両馬ともレースレコードで勝っていて、スピードでも他にまさっていた。東京の広く、直線の長いコースはディープ産駒のいい面を発揮できるし、阪神の外回りの直線ならマイルでも切れを活かすことが可能とよく知られているが、今週のエプソムカップでもディープ産駒に注目してみたい。
オークス馬ラヴズオンリーユーの全兄プロディガルサンがその一頭。セレクトセールで1億8千万円がついた注目馬だったが、オープン3戦連続2着とまだ重賞は勝てていない。ゴール前でブレーキをかける気性が、素直に人間の命令を受け入れるものになってくれば、初タイトルをものにできると思うのだが。因みにこの春GI馬を出した種牡馬は、ロードカナロア、ダイワメジャー、ハービンジャー、ステイゴールドの4頭がディープインパクト以外でいた。