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長いスランプからようやく脱出の気配/エプソムC

  • 2019年06月08日(土) 18時00分

4歳馬でも「再出発」組には怪しい一面も


 過去10年、4歳馬が【7-5-2-18】と圧倒的な成績を残す。4歳馬はこれから充実の完成に近づくシーズンであり、全体の世代交代の波も確実に押し寄せることになっている。まして現4歳世代はレベルが高い。

 ただし、3勝クラス(1600万下に相当)もそうだが、クラス再編成システムがなくなったばかりの今年は、年齢と実力のバランスに難しいところがある。好成績が目立つといわれる4歳馬は、今年、牝馬サラキア(条件賞金1950万円)と、レイエンダ(条件賞金2600万円)の2頭だけ。今年はオープン馬に相違ないが、昨年までだと獲得賞金が半額に減じられ、サラキアは1000万下から。レイエンダは1600万条件から「再出発」になった馬であること。サラキアは3歳牝馬限定のローズSを2着してオープンに出世したが、そのローズSを含めオープンでは【0-1-0-3】。

 牡馬のレイエンダもそっくり同じ。セントライト記念2着でオープン馬となったが、そのセントライト記念2着を含めオープンでは【0-1-0-3】。調子の波もあるだろうし、なにより「上昇の魅力」もあるが、4歳馬【7-5-2-18】の記録の元になった4歳馬は、ここに至るまでの過程が、獲得賞金が半額になってもやっぱりオープンクラスに編入されたバリバリのオープン馬が大半だった。今後しばらくは「4歳馬の成績がいい」とされるレースでは、(素質、上昇度は別にして)ちょっと怪しい一面があることは承知しておきたい。

 復活の兆しがみえた5歳ブレスジャーニー(父バトルプラン)に注目したい。休み明けの前回、高速上がりのレースを3ハロンNo.1の33秒1で伸びて、今回も対戦する2着カラビナとは0秒2差だけ。長いスランプからようやく脱出の気配があった。その5着を含め、東京コースに限れば【3-0-1-1】。3代母ダイナカールの牝系から本来は成長力こそが真価の一族。超高速馬場ではなくなりそうな馬場も合うだろう。

 父バトルプランの評価はそう高くなかったが、輸入の大きな理由の一つは、エンパイアメーカー産駒であると同時に、USAの代表的名馬を集めた牝系の魅力。ここまでは平凡だったが、今年、4歳ライオンボス(新潟で快時計2連勝)、4歳モジアナフレイバー(大井記念圧勝)、3歳エムエスクイーン(東海で10戦10勝)などの出現で、産駒が勢いに乗っているプラスもある。戸崎騎手はエプソムC【2-0-1-3】。

 最近はさんざんな成績だが、昨年2着の6歳ハクサンルドルフ(父アドマイヤムーン)は、いつにも増して素晴らしい動きをみせているから侮れない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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