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スワーヴリチャードの4分の3妹ルナシオン

  • 2019年06月12日(水) 12時00分
●アイアムイチリュウ(牡 美浦・奥平雅士 父ルーラーシップ、母アイアムカミノマゴ)

 2代母アイアムザウィナーはアメリカから輸入した外国産馬。フェアリーS(GIII・芝1200m)4着、クリスタルC(GIII・芝1200m)5着などの競走成績がある。「Danzig Connection×Mr.Prospector」というスピード型の配合だったことが幸いし、繁殖牝馬としてもコンスタントに活躍馬を送り出して成功した。

 本馬の母アイアムカミノマゴが阪神牝馬S(GII)を、アイアムアクトレスがユニコーンS(GIII)を勝ったほか、アイアムエンジェルがファルコンS(GIII)2着、アイアムツヨシが京王杯2歳S(GII)3着、アイアムアドーターが準OPまで出世した。母アイアムカミノマゴは繁殖牝馬としてはすでにダノンフェイス(父キングカメハメハ/ジャパンダートダービー-Jpn1・5着)を出すなど、JRAで走った4頭中3頭が勝ち上がっている。

 本馬はダノンフェイスの3/4弟。「ルーラーシップ×アグネスタキオン」の組み合わせはサンリヴァル(18年皐月賞-GI・2着)、イブキ(16年新潟2歳S-GIII・3着)、ドラウプニル(18年サウジアラビアロイヤルC-GIII・4着)、フェアリーポルカ(19年フローラS-GII・5着)などコンスタントに活躍馬が出ている。芝向きの中距離タイプ。

●サンクテュエール(牝 美浦 藤沢和雄 父ディープインパクト、母ヒルダズパッション)

 ジークカイザー(1600万下)、ヴェルテアシャフト(1000万下)の全妹、Yoshida(米G1ウッドワードS/父ハーツクライ)の4分の3妹。母ヒルダズパッションはバレリーナS(米G1・ダ7f)など5重賞を制し、ガルフストリームパークのダート7ハロンのトラックレコード(1分20秒45)を樹立した。

 スピード馬だがNureyev≒Sadler's Wells 4×3という重厚な4分の3同血クロスが核となっており、それがYoshidaのような一流馬を出せる繁殖能力の担保ではないかと思われる。全兄2頭は重賞クラスに届いていないが、母の能力が高いのでもっと上のクラスの競走馬を出せる可能性は十分ある。牝馬なので、もし兄よりも柔らかく出てしなやかな末脚を繰り出すことができればGIも狙える。

●ドミナシオン(牡 栗東・藤岡健一 父エスケンデレヤ、母アンフィルージュ)

 母アンフィルージュは芝短距離で3勝。2代母ウメノファイバーはオークス(GI)など3つの重賞を勝ち、3代母ウメノローザは牝馬ながら南関東のビッグレースのひとつグランドチャンピオン2000を制した。近親にヴェルデグリーン(14年アメリカJCC-GII、13年オールカマー-GII)がいる。

 父エスケンデレヤはアメリカで通算6戦4勝。ファウンテンオブユースS(G2・ダ9f)を8・1/2馬身差、ウッドメモリアルS(G1・ダ9f)を9・3/4馬身差で圧勝し、ケンタッキーダービーの最有力候補だったが、左前肢に異状が生じたため以後出走することなく引退した。種牡馬としてはメトロポリタンH(米G1・ダ8f)を勝ったMor SpiritとMitoleを出しており、後者は現在2つのG1を含めて7連勝中(通算11戦8勝)と快進撃を続けている。

 2016年から日本で供用を開始し、現2歳世代がわが国におけるファーストクロップ。産駒は馬格がありダート向きの産駒を多く出すと思われるが、配合次第では芝向きの産駒も出せる。本馬は母が「アグネスタキオン×サクラユタカオー」なので芝・ダート兼用のマイラーだろう。

●ビオグラフィー(牝 栗東・藤岡健一 父ロードカナロア、母チアズメッセージ)

 目黒記念(GII)を勝ったクリプトグラム(父キングカメハメハ)の4分の3妹。母チアズメッセージは京都牝馬S(GIII・芝1600m)の勝ち馬でチアズブライトリー(04年七夕賞-GIII、03年京阪杯-GIII)の全妹と、華やかな牝系に属している。父ロードカナロアは基本的にHyperion色の強い繁殖牝馬と相性が良い。

 本馬の2代母チアズダンサーはHyperion 5・6×5・5。いかにもロードカナロアと合いそうな配合構成だ。「ロードカナロア×サンデーサイレンス」はアーモンドアイ(牝馬三冠、18年ジャパンC-GI、19年ドバイターフ-首G1)などが出て成功しており、4分の3兄が重賞を勝っているので信頼性は高い。芝向きのマイラー。

●ルナシオン(牝 美浦・藤沢和雄 父ディープインパクト、母ピラミマ)

 大阪杯(GI)を勝ったスワーヴリチャード(父ハーツクライ)の4分の3妹、きさらぎ賞(GIII)2着馬バンドワゴン(父ホワイトマズル)の半妹にあたる。母ピラミマは現役時代2戦未勝利ながら繁殖牝馬として大成功。Lucky Spell≒Star Fortune 3×3が配合上の鍵だと思われる。

 本馬は「ディープインパクト×Unbridled's Song×General Meeting」という組み合わせなので、ダノンプラチナ(14年朝日杯フューチュリティS-GI、15年富士S-GIII)と8分の7同血。全姉ルナステラは小柄で詰めの甘さがあるため現在9戦2勝だが、もう少し馬格と決め手が備わっていれば重賞で活躍してもおかしくない血統背景だ。ディープインパクトとFappiano系は相性がいい。桜花賞向き。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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