相手は強敵だが、両馬とも大いにチャンスがありそう
武豊騎手、クリストフ・ルメール騎手が揃って参戦する仏国版オークスのGIディアヌ賞(芝2100m、シャンティー競馬場)の開催が、今週日曜日(16日)に迫っている。
武騎手が騎乗するのは、アマレナ(牝3、父ソルジャーホロウ)だ。
母アムアージュは独国産馬で、1戦0勝の成績に終わった後に繁殖入りし、母として産んだ8番仔がアマレナだ。
父ソルジャーホロウはインザウィングスの直仔で、現役時代はGIローマ賞(芝2000m)、GIバイエルンヅフトレエネン(芝2000m)という2つのGIを含めて8つの重賞を制している。08年に独国で種牡馬入りし、GIバイエルン大賞(芝2400m)勝ち馬チンギスシークレット、GIバーデン大賞(芝2400m)など4つのGIを制した他、ジャパンCにも来日したアイヴァンホーらを輩出している。
独国のヘンク・グレーヴェ厩舎に所属したアマレナは、4月14日にデュッセルドルフで行われたメイドン(芝2100m)でデビューし、ここを制して緒戦勝ち。続いて出走したのが、5月4日にパリロンシャンで行われたLRラセーヌ賞(芝2200m)で、ここも2.1/4馬身で制して2連勝を飾った。
その後、松島正昭オーナーが同馬を購買し、仏国の小林智厩舎に移籍。仏オークスへは追加登録を行っての出走となる。
一方、ルメール騎手が騎乗するのは、カルティエム(牝3、父ケイプクロス)だ。
仏国と豪州で走り、豪州でGIランヴェットS(芝2000m)など3つのGIを制したマニガーの近親となる同馬は、アルカナ・ドーヴィル10月1歳市場にて14万ユーロ(当時のレートで約1873万円)で購買され、ジャン・クロード・ルジェ厩舎に入厩。
昨年9月にコンピエーニュのメイドン(1600m)を制してデビュー2戦目で初勝利を挙げて2歳シーズンを終了。今季初戦となったサンクルーの条件戦(芝2100m)を制して2勝目を挙げると、5月1日に同じくサンクルーで行われたGIIIペネロープ賞(芝2100m)に駒を進め、ここも勝って重賞初制覇を果たしている。
両馬ともに仏オークスの距離(2100m)で勝ち鞍があり、近走の内容も良く、大いにチャンスのある馬たちと言えそうだ。ルメール騎手はもちろんのこと、武騎手もシャンティーの馬場は熟知しており、その手綱さばきが大いに注目されている。
クラシックレースだから当然のことではあるのだが、相手も強い。
当日1番人気が予想されるのは、シヤラフィナ(牝3、父ピヴォタル)である。
LRバガテル賞(芝1600m)勝ち馬シエニカの2番仔となる同馬は、アガ・カーン殿下の自家生産馬。叔父に、GIジャンルクラガルデル賞(芝1400m)勝ち馬で、現在はトップサイヤーとして活躍するシユーニがいる牝系を背景に持つ。
アラン・ド・ロワイヤデュプレ厩舎の管理馬となり、今年4月4日にサンクルーのメイドン(芝1600m)でデビュー勝ち。続いて4月28日にパリロンシャンで行われた条件戦(芝1600m)に駒を進め、ここも白星で通過すると、続いて出走したのが5月26日にパリロンシャンで行われたGIサンタラリ賞(芝2000m)だった。
すなわち、重賞初挑戦がいきなりGIだったわけだが、シヤラフィナはここも中団から堅実な末脚を繰り出して1馬身差の優勝。GI初制覇を果たしている。
更に、カルティエムと同じジャン・クロード・ルジェが管理するエトワール(牝3、父シユーニ)も強敵だ。
アルカナ・ドーヴィル8月1歳市場にて16万ユーロ(当時のレートで約2080万円)で購買された同馬は、GIIIレゼルヴォワ賞(芝1600m)4着馬ミレナズドリームの2番仔。
今年1月にカンスメールのメイドン(芝1500m)でデビュー勝ちを果たすと、2月に同じくカンスメールで行われた条件戦(芝1500m)も連勝。重賞初挑戦となったのが、4月7日にパリロンシャンで行われたGIIIヴァントー賞(芝1800m)で、ここでプラタネの首差2着に敗れて初黒星を喫したが、続いて出走した5月20日にサンクルーで行われたGIIIクレオパトレ賞(芝2100m)では、好位から抜け出す安定したレースぶりで快勝。重賞初制覇を果たしている。
16日の仏国版オークスに、日本の競馬ファンの皆様もぜひご注目いただきたい。