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【宝塚記念】アーネストリーで人気馬撃破! 佐藤哲三元騎手が考える宝塚記念の攻略ポイント(無料公開)

  • 2019年06月16日(日) 18時02分
GIドキュメント

▲2011年にアーネストリーで宝塚記念を勝利した佐藤哲三元騎手 (C)netkeiba.com


実際にそのGIを勝ったことのある騎手に、コースの特徴や攻略方法を教えていただく、GI恒例の「コース解説」企画。春競馬を締めくくる宝塚記念編に登場するのは、2011年にアーネストリーで勝利し、現在は競馬解説者として活躍中の佐藤哲三元騎手です。

緻密な戦略で、“ならでは”の勝利を数多く積み上げた哲三氏。「梅雨時期に行われる阪神2200m」という特徴的な条件から、好走させるポイントがあると言います。ブエナビスタを破ったアーネストリーを例に、詳しく解説します。

(取材・文=赤見千尋)


むらっけのある馬が、集中して走るパターンも


 阪神の2200mというのは先行有利だったり差し有利だったり、特徴がはっきりと出やすいイメージです。そして、タフ寄りにスピードがある馬の方がいいのではないかと。

 その中の要因の一つには、まず季節があります。秋の阪神2200mを走るのと、今の時期では芝の質が全然違います。

 梅雨時期で湿気が多く、芝の根付きもみっちりというよりは緩やかに根付いている感じで、馬にとってはタフさ、我慢強さというものが求められてくる。それでも時計は出るわけで、タフな馬場だけどスピードも求められるというのは相当キツイ競馬です。

 僕の中では、普段ちょっと飽き性のようなところがある馬が頑張ったりする印象がありますね。実はタップダンスシチーやアーネストリーもそういう一面があったんですけど。

 飽き性だと周りに集中し過ぎないのか、その分余分なことをしないで体力が温存されるのかもしれないです。俗に言う『むらっけ』のある馬で、いつも集中力に欠けるのに、その時だけ集中してしまったらものすごく走る、という感じで。

 もちろんレースの答えはその時の状況で変わるので一概には言えませんが、例えばアーネストリーやメイショウドトウのように初めてGIを勝つとか、久しぶりに好走するとか、そういうことが多い舞台だと思っています。

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▲アーネストリーは、この宝塚記念が初めてのGI勝利だった (C)netkeiba.com


 コース的な特徴としては、外回りがない時は内が荒れやすくて先行馬は厳しいイメージがありました。でも今は外回りが出来て芝のレースが分散されるので、そこまで荒れることが少ないように思います。しかもBコースに替わって2週目ですから、1週目の週末に雨が降らなければ内有利になるのではないでしょうか。

アーネストリーが相手に与えた、小さなロスの積み重ね


 僕自身の話をすると、2011年の宝塚記念でアーネストリーに乗って勝った時には6番人気で、他にGIを勝っている馬たちがたくさんいました。その中でポイントにしたことはいくつもありますが、特に大事にしたのがコーナーの入り方と出方です。

 先行していて、コーナーに入って急にペースを落とすのではなくじわっと落とす。後ろの馬たちが引っ張りやすく、抑えやすいようなペースを作って、しっかりブレーキを掛けてもらうことを心がけていました。

 何故かというと、この時期は馬場や天気、気温なども含め、普段の季節よりも伸びが遅れるイメージがあって。他の季節だったらそのブレーキが一瞬でパンと瞬発力に変わりやすいけれど、この時期は一瞬間がある印象で。その間というのは0.1秒もないのかもしれないけれど、その間があるのとないのでは大きく違います。

 3コーナーで追いかけて行った方がいいのか、それとも動かない方がいいのか、一瞬でも考えさせたらそれは相手の間になるわけで、その間を作らせるためにコーナーのペースが大切だと思っていて。

 その間のあいだに、こちらは先に動いて行く。最後に少々脚が止まっても、タフさが求められる芝で、切れ味だけでは勝てない距離なので、いつもよりも止まってもいいから、後ろとの距離を離すことを考えました。そういうことが成り立つのが、今の時期の阪神2200mだと思います。

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▲コーナーで後続に与え続けた「間」が、最後の直線では大きな差となった (C)netkeiba.com


 差し馬に乗っているとしたら、大事にしていたのは3コーナーからどういう角度で走らせるか。馬によって回り方で走り方をカバーすることが出来るのが阪神内回りのコーナーで、キレイに回った方がいい馬もいれば、ゆったりだったり、窮屈だったりの方がいい馬もいる。例えば後ろ脚が甘い馬も、その角度によっては甘さをカバーして走ることが出来るんです。

 外回りは馬の力が大きいけれど、内回りは騎手の思惑と馬の走りが一致したら、いつも以上の走りが可能なコースです。

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