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【宝塚記念】「レース選びは知恵くらべ」臨戦過程にも目を向けたい

  • 2019年06月22日(土) 12時00分

知ることでレースの見方が一歩前進する


「レース選びは知恵くらべ」と、かつての名騎手であり調教師だった野平祐二氏は述べていた。その立場によって意味は異なるが、言わんとしたことは分かる。どう知恵を出してレースに臨んできたか、それを知ることでレースの見方が一歩前進する。宝塚記念をこの観点から見てみたい。

 調教師なら何を考えて阪神内回り2200米に出走させてきたか。騎手ならどういうイメージを抱いて戦おうとしていたかなど、前もって推量しておくことで、その結果の受け止め方が違ってくる。少なくとも、この次への収穫があることは間違いない。そして、前もって推量することでレースへの期待が大きくなっていく。もちろん、その中には個々の馬がどう戦うか、こう走ってくれないかという期待も含まれる。

 2年前の菊花賞馬キセキは、昨年秋のGI3連戦から川田騎手が手綱を取り、それまでとは異なり、先行するようになっていた。その中でも速いペースで先頭に立って2着に粘ったジャパンカップは、その健闘ぶりが一段と輝いていた。前走の大阪杯でも2着と踏ん張ったことで、この戦い方でもトップクラスの力があることを改めて証明できたが、ルーラーシップの産駒だからこの距離が一番いい筈だ。

 同期のダービー馬で、昨秋の天皇賞を勝ち有馬記念2着と国内ではくずれることのないレイデオロ、手堅い戦い方が印象的なエリザベス女王杯馬リスグラシューなどは、前を行くキセキを目標にできるが、やはりカギを握っているのはキセキだ。長く脚を使えても速い脚のないレイデオロには、早めに動くシーンが考えられる。

 馬場が少し重くなりそうな点も考えておくべきだが、そうなるとステイゴールド産駒に目が行く。ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴル、ゴールドシップとこの10年で宝塚記念を5勝している。

 今年のエタリオウには、横山典騎手が初めて乗り、思い切ったレースが期待できる。11戦8連対の最強の1勝馬をどう走らせるか。ここは強気なプレイで攪乱してくる。このグループには、正政法で戦うアルアインもいるが、先行勢が過激な動きで競り合った時、早目に追い掛ける人気どころよりも、あくまでも他力本願型を少し考えておきたい。もう一頭のステイゴールド産駒、ショウナンバッハがその場合の穴馬にどうか。12頭立てだから、相手の動きがよく見えるだけ面白い一戦になる。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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