【宝塚記念】あふれる総合スピード能力こそが真価の中距離タイプ
エタリオウ、マカヒキ…評価を下げたい有力馬などいない
開催最終日。まして梅雨なので高速の芝などということはないが、雨の予報数値が低くなってきた。「良馬場〜稍重馬場」の可能性がある。
芝コンディションもコースも異なるが、キセキ(父ルーラーシップ)は自身でレースを作リ続けた昨秋、ジャパンC2400mで驚異のJRAレコード「2分20秒6」誕生の影の立役者となった際、キセキが先頭でアーモンドアイが並びかけようとした2200m通過は2分08秒6だった。
異常な芝状態だったのは事実だが、自分でレースを作り、「2000m通過1分57秒2→2200m通過2分08秒6→」は、今回のライバルではとても不可能な総合スピードと思える。
不良馬場の菊花賞3000mを3分18秒9(菊花賞レコードは3分01秒0)で差し切り勝ちしているが、あれはみんなが苦しかった3歳限定戦。キセキの本質は、あふれる総合スピード能力こそが真価の中距離タイプなのである。
芝状態も、コースも異なるが、2200mのJRAレコードは2分09秒7。この記録を持つネプチュナイトは、ルーラーシップとサンデー牝馬の組み合わせで、キセキと同配合に近い。また、種牡馬ルーラーシップ産駒のGI〜II連対は12回。うち10回までが2000m〜2500mに集中する記録がある。キセキの対応できる距離の幅は広いが、今回こそベストに近いだろう。
大阪杯のキセキは惜敗続きに終止符を打とうと、あえて先手を主張せず2番手に控えた。だが、2000mの前後半「61秒3-59秒7」=2分01秒0のスローペースを誘発。切れ味負けしたから、結果は不正解。
今回は自身がレースを作らなければさらに緩い流れになる危険がある。もう、戦法の幅を試行する時期でも年齢でもない。1番枠から強気に主導権を主張するはずだ。ジャパンCの再現に徹したい。少し時計を要する良馬場、稍重馬場くらいが理想だろう。
相手の筆頭はエタリオウ(父ステイゴールド)。ステイゴールド産駒は宝塚記念5勝、有馬記念4勝。2つのグランプリ計9勝の大変な種牡馬記録を持っている。2位のサンデーサイレンスが8勝、ヒンドスタンが7勝。ディープインパクトはまだ3勝。
この不滅の記録はまだ伸びる可能性がある。依頼された横山典弘騎手がどう乗って【1-7-0-3】のエタリオウを目覚めさせるか。キセキの2番手追走もありえる。
評価を下げたい有力馬などいない。相手妙味は変に動かず、追い込み策に徹するはずのマカヒキ。