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魅力いっぱいの牧場版ハローワーク、BOKUJOBをレポート!

  • 2019年07月02日(火) 18時01分
 宝塚記念の熱気に包まれた阪神競馬場。

 セントウルガーデン脇のアメニティホールで「馬と生きる。牧場のしごと発見プロジェクトBOKUJOB2019」が開かれました。最近、競馬ファンのみなさんにも定着しつつあるBOKUJOBは、いわば「牧場版ハローワーク」。多種多様な牧場での仕事を詳しく知ることができたり、気になる牧場の方と直接話したり、研修機関などの相談ブースもあります。

 会場に足を踏み入れると想像以上に若い人たちで溢れていました。初潜入のBOKUJOBをレポートします。

馬ニアックな世界

▲BOKUJOB入口のパネル


両親と訪れた小学生


 BOKUJOB2019関西フェアに出展したのは、関西を中心とした10の牧場と、生産・育成技術を学べる生産育成技術者研修を主催する日本軽種馬協会(JBBA)、競走馬として調教する技術を学べる育成調教技術者養成研修を主催する軽種馬育成調教センター(BTC)、国内の高校で唯一サラブレッドを生産する北海道静内農業高校、移住後の住環境アドバイスなどを行うJAしずない。

 前日の土曜日は各ブースがずっと相談中の状態で、宝塚記念当日の日曜日もひっきりなしに人が訪れていました。

 特に目立ったのは、小学生〜高校生やその保護者の姿。「乗馬を習っていて、馬の仕事はどんなものがあるのか気になって」と、ご両親と一緒にブースを訪れた小学生の女の子もいました。

馬ニアックな世界

▲多くの人で賑わう各牧場ブース


 入口でアンケートを記入してから中へ案内されるのですが、「中学生以下の方には静内農業高校のブースに案内することもありますし、詳しい仕事内容が分からないという若い方には研修を行っているBTCやJBBAを案内したりします。逆に、『この牧場が気になる』と指名される方もいますね」とはBOKUJOBの担当者さん。

 ひと言に「牧場」といっても中身は多種多様。種牡馬のいるスタリオン、繁殖牝馬や仔馬を世話する生産牧場、デビュー前の若馬を調教する育成牧場、現役競走馬を扱うトレセン近郊牧場など、牧場によって役割が異なります。

 それゆえ、自分自身の個性によってどの牧場が合っているかも変わってきます。

 たとえば、「牧場で仕事はしたいけど、体格が大きいんです」という方には種牡馬を扱う仕事もあります。女性の場合は、女子寮の有無や女性従業員の人数なども選択の一つになりますし、自分にとってやり易い環境かを感じて頂くためにインターンシップを取り入れている牧場も多数あります。馬術部出身の方は、同じく馬術出身の人がいる牧場の方が合っている場合もあるかもしれません。

 そういったマッチングができるのもBOKUJOBの魅力の一つでしょう。

 もちろん、若い方だけでなく社会人経験のある方もBOKUJOBを訪れますし、中にはご夫婦で移住を検討されていて、住環境にまつわる相談をJAしずないブースですることも可能です。

「担当した馬がレースで走るだけで嬉しい」


 ブースの相談員にもひと際若い方を発見しました。信楽牧場に勤める林彦輝さん(21歳)と新田一輝さん(20歳)。

馬ニアックな世界

▲信楽牧場の林彦輝さん(右)と新田一輝さん(左)


 林さんは「競馬が好きで、高校3年生の時にBOKUJOBのパンフレットをたまたま見て、話を聞きにきてみました。その時は大学に進学することとかも考えていたのですが、BOKUJOBに来て『この道にいこう』って決めたんです。それまではどんな仕事をするのか分からなかったんですが、楽しくてやりがいを持てそうって思いました」

 高校卒業後にBTC研修を受け、インターンシップを経て信楽牧場へ。

 牧場での仕事は朝が早かったり、拘束時間が長いこともありますが、「そういったことよりも担当した馬がレースで走ってくれるだけでやりがいがありますし、勝ったらなお嬉しいです。今日も担当した馬が走ってくれて、それだけで嬉しいです」と笑います。

 新田さんも中学生の頃からBOKUJOBに足を運び、職業体験やインターンシップを経て信楽牧場へ就職しました。

 2人とも「雰囲気がいい牧場です」と話します。この“雰囲気がいい”というのは、人によって捉え方が変わるもの。そのため、多くの牧場ではインターンシップを導入していて、実際に牧場の雰囲気を感じることができます。

 また、BTC研修の元教官で現在は湖南馬事研修センター講師の齋藤昭浩さんは「牧場への就職を呼びかけるだけでなく、就職後の教育にも力を入れていきたい」と話します。騎乗技術の指導、先輩からのフォロー、気軽に相談できる雰囲気や体制づくりなど、各牧場で取り組んでいっています。

 華やかな舞台で活躍する競走馬を支える牧場での仕事。

 気になる方はぜひBOKUJOBイベントに足を運んでみてください。

【今後の開催予定】
7月6日(土)、7日(日) 中京競馬場
7月23日(火)、24日(水) 御殿場市馬術スポーツセンター
※こちらでは、木馬(時田馬具さんご提供)で騎乗姿勢を実際に体験することもできるようです。
8月10日(土)、11日(日) 札幌競馬場
8月25日(日) JRA宮崎育成牧場
8月31日(土)、9月1日(日) 小倉競馬場

詳しくはBOKUJOBのホームページにて。
https://bokujob.com

競馬リポーター。競馬番組のほか、UMAJOセミナー講師やイベントMCも務める。『優駿』『週刊競馬ブック』『Club JRA-Net CAFEブログ』などを執筆。小学5年生からJRAと地方競馬の二刀流。神戸市出身、ホームグラウンドは阪神・園田・栗東。特技は寝ることと馬名しりとり。

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