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【函館記念】巴賞組が9頭参戦、重賞組との取捨は?

  • 2019年07月12日(金) 18時00分

1ハロンの違いが結果に違いをもたらす


 今年の函館記念には巴賞組が大挙9頭出走。火曜に「回収率向上作戦」で書いた通り、巴賞組は例年だとあまり買いたくないグループ。しかしこれだけ数がいるとどれかは絡んできそう。本命党の方は重賞組を軸にとってヒモに巴賞組を入れるのがよさそう。穴党は巴賞組で人気のないところを決め打ちで軸にして長打を狙うのも手だ。

 まずはその巴賞組から。当時はかなりの差し競馬で、1-3着馬はいずれも3角で10番手以降にいた馬。掲示板に載った中で道中の位置がいちばん前だったのは通過順9-7-9-9のアストラエンブレム(今回不出走)だった。

 もう一度同じような競馬になればもちろん当時の上位馬がもう一回……ということもあり得るのだが、巴賞→函館記念は昔から連動しない傾向のほうが強い。1ハロンの違いが結果の違いをもたらすのが面白いところなのである。

 そう考えると、前走で損な位置取りにいた当時の上位人気馬を見直したくなる。1頭はマイスタイルだろう。58キロ→56キロというのも良い材料で、他馬との斤量差というよりは前走が未知の絶対値だったので、背負いなれた斤量に戻るのが良い。

 ただマイスタイルは今回もある程度人気になりそう。もっと攻め込むならカルヴァリオ。さすがに軸にしろとは言えないが、血統を考えると2000mが悪いとも思えない。ここまでの使われ方は気性ゆえだと思うので、うまく運べた場合の一発はあると思う。

 重賞組では、ステイフーリッシュが上位人気に推されそう。ハンデが微妙なのと単勝を買いづらいタイプではあるが、重賞実績ではこの馬を無視するわけにはいかない。はじめての函館だが、速い時計の決着は避けたいタイプなので、プラスに働くと見ている。

 エアスピネルも1番人気争いになるだろう。5戦連続でマイル戦を使われたが、菊花賞でも3着していて2000mが無理ということはない。休み明けであることと、このあと札幌記念などを控えていることを考えるとここがメイチということはないだろうが、地力だけで押し切ってしまっても不思議ではない。

 レッドローゼスはとにかく安定感のある馬。前走を勝って2キロ増ではあるが、こういうタイプは斤量と関係なく差のない競馬をしてくる。どんな競馬もできる馬だが、今回は1番枠ということで窮屈になったり持ち出すのに苦労したりするのは避けたいところ。相手の出方を見ながら位置を取っていけばよいのではと思う。

 ポポカテペトルは距離短縮でここを選んできた。目黒記念からは過去10年で3頭の勝ち馬が出ている。一見距離不足に見えて通用してしまうのが目黒記念組の怖さなので、この馬にも警戒が必要だ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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