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芝中距離で活躍が期待できるアナバチャーレ

  • 2019年07月17日(水) 12時00分
●アスターホルン(牡 栗東・中竹和也 父Speightstown、母Arania)
 
 トーキョーシティーC(米G3・ダ12f)を勝ったCampaignの半弟。2代母Auroraはヤマニンパラダイス(94年阪神3歳牝馬SーGI)の全妹で、名種牡馬Green Desertと4分の3同血、ジェンティルドンナの母の父Bertoliniと同血(父が同じで母同士が全姉妹)。同じくAuroraを2代母に持つアルビアーノ(15年スワンS-GII、15年フラワーC-GIII)と本馬は従兄弟同士の関係だ。

 父Speightstownは現役時代にブリーダーズCスプリント(米G1・ダ6f)など重賞を4勝した一流馬で、04年に米最優秀スプリンターに選出された。パワーを帯びたスピードを武器としており、日本で走った産駒は24頭中19頭が勝ち上がる堅実ぶり。リエノテソーロ(16年全日本2歳優駿-Jpn1など重賞3勝)をはじめ、マテラスカイ(18年プロキオンS-GIII、19年ドバイゴールデンシャヒーン-首G1・2着)、モズスーパーフレア(19年オーシャンS-GIII)、ドスライス(11年クラスターC-Jpn3)などコンスタントに活躍馬を誕生させている。本馬はマイル以下のダートがベストだが、スプリント戦なら芝も行けそうだ。

●アナバチャーレ(牡 栗東・斉藤崇史 父ハーツクライ、母アナアメリカーナ)

 半兄メイソンジュニア(父Mayson)はニュージーランドT(G2)2着、ファルコンS(G3)3着など、スピードを活かして早い時期に活躍した。全姉アメリカンウェイクは素質の高さから大きな期待を背負っていたものの、喉の疾患でデビュー戦を大敗し、手術のため10ヵ月の休養に入った。普通の馬ならその時点でアウトだが、3歳6月に遅ればせながらしっかり勝ち上がっている。まともならクラシック戦線で活躍できたのではないかと思われる。

 母アナアメリカーナはサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)3着馬で、2代母、3代母もフランスで重賞を勝っており、牝系の質は良好。「ハーツクライ×American Post」の組み合わせはリスグラシュー(19年宝塚記念ーGI、18年エリザベス女王杯ーGIなど重賞4勝)と同じ。芝中距離で活躍を期待したい。

●アロハヌイロア(牝 栗東・角居勝彦 父キンシャサノキセキ、母ヴィアメディチ)

 アドマイヤマーズ(父ダイワメジャー/19年NHKマイルC-GI、18年朝日杯FS-GI)、フレッチア(父Dansili/現3勝クラス)、Via Pisa(父Pivotal/15年リディアテシオ賞-伊G1・3着)、Via Firenze(父Dansili/17年ベルトランドタラゴン賞-仏G3・2着)などの半妹。母ヴィアメディチはリューリー賞(仏G3・芝1600m)の勝ち馬。母の父Mediceanは現役時代にエクリプスS(英G1・芝10f)とロッキンジS(英G1・芝8f)を制し、種牡馬としては中堅級ながら、Machiavellianの息子で堅い馬場を得意とするので日本向きの血といえる。

 母ヴィアメディチはMachiavellianを介したHaloクロス、という繁殖牝馬として高い成功率を誇る配合構成。このパターンの繁殖牝馬には他にハルーワスウィート(ヴィルシーナ、ヴィブロス、シュヴァルグランの母)、プチノワール(ローブティサージュの母)、ルミナスポイント(ジューヌエコールの母)、ライツェント(ディアドラ、オデュッセウスの母)などと同じ。キンシャサノキセキに父が替わった本馬は芝向きのスプリンターからマイラーだろう。

●ウインマリリン(牝 美浦・手塚貴久 父スクリーンヒーロー、母コスモチェーロ)

 母コスモチェーロは現役時代に芝1勝。繁殖成績は優秀で、ウインマーレライ(父マツリダゴッホ)がラジオNIKKEI賞(GIII)を勝ったほか、マイネヒメル(父ロージズインメイ/準OP)、ウインヴォラーレ(父ステイゴールド/3勝)、イペルラーニオ(父ディープインパクト/現3勝)など、JRAでデビューした4頭がすべて勝ち上がっている。

 本馬の父はスクリーンヒーロー。Danzigクロスを持つスクリーンヒーロー産駒なのでジェネラーレウーノ(18年セントライト記念-GII、18年京成杯-GIII)と同じパターン。切れ味よりもスピードの持続力で勝負するタイプで、芝中距離がベスト。
 
●リリレフア(牝 栗東・矢作芳人 父ロードカナロア、母リリサイド)

 リスグラシュー(父ハーツクライ/19年宝塚記念-GI、18年エリザベス女王杯-GIなど重賞4勝)、プルメリアスター(父ゼンノロブロイ/3勝)、レイリオン(父ダイワメジャー/2勝)、アラスカ(父オルフェーヴル/現1勝)の半妹にあたる。父ロードカナロアはアーモンドアイ(牝馬三冠、18年ジャパンC-GI、19年ドバイターフ-首G1)を筆頭に、サートゥルナーリア(19年皐月賞-GI)、ステルヴィオ(18年マイルCS-GI)など多くの活躍馬を出している。

 サンデーサイレンスを持たない配合構成だけに、母方にサンデーを抱えた配合は順当に走っている。本馬は母が輸入繁殖牝馬だけに、サンデーサイレンスを持っていないが、リスグラシューを出した名繁殖牝馬なので期待できる。芝向きのマイラーだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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