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ケイアイファームおなじみの良血牝馬ヴィオリーナ

  • 2019年07月24日(水) 12時00分
●ヴィオリーナ(牝 栗東・中内田充正 父ディープインパクト、母レディアルバローザ)

 ロードアルバータ(17年プリンシパルS-OP・3着)、オールフォーラヴ(18年忘れな草賞-OP)、アルテラローザ(現3戦1勝)の全妹。4分の3同血(父が同じで母同士が親子)にクイーンS(GIII)を勝ったキャトルフィーユがいる。2代母ワンフォーローズは北米で27戦15勝、カナダ最優秀古牝馬に3回選ばれた名牝。

 ケイアイファームが約1億円で購買し、いまや牧場の大きな柱となっている。母レディアルバローザはThe Dancer=Kazadancoa 4×4という全きょうだいクロスが生じる好配合馬で、中山牝馬S(GIII)を連覇したほかヴィクトリアマイル(GI)でも3着と健闘、持続力に秀でたこのファミリーの特長をよく表現した馬だった。本馬の「ディープインパクト×キングカメハメハ」の組み合わせは、ダービー馬ワグネリアン、ジャパンC(GI)2着のほか重賞を2勝したデニムアンドルビーが出ているニックス。重賞を狙える好素材だろう。

●ケイマーダ(牡 栗東・音無秀孝 父キングカメハメハ、母ピンクカメオ)

 母ピンクカメオは18頭立ての17番人気でNHKマイルC(GI)を制覇した。パカパカファームが生産した初めての重賞勝ち馬でありGI優勝馬でもあった。その半兄にブラックホーク(99年スプリンターズS-GI、01年安田記念-GI)、半妹にカウアイレーン(10年クイーンS-GIII・3着)がいるように、2代母シルバーレーンの一族は活力にあふれている。

 後者は本馬の4分の3同血(父が同じで母同士が親子)でもある。全姉カプアは2着が最高着順で未勝利に終わり、全兄ピノクルは現在3着が最高着順と、いずれも惜しいところで勝ち上がっていない。決して配合が悪いわけではなく、馬のデキひとつなので期待したい。

●サトノフラッグ(牡 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母バラダセール)

 母バラダセールはアルゼンチン産で、同国で亜オークス(G1・ダ2000m)、亜1000ギニー(G1・ダ1600m)などを制し、3歳牝馬チャンピオンとなった。日本に輸入されたあと、3年連続でハーツクライと交配し、ダンサール(現3勝)、バラダガール(2勝)などを産んでいる。

 本馬の父はディープインパクト。「ディープインパクト×Not for Sale」の組み合わせはこれまで2頭出走し、2歳牝馬チャンピオンのダノンファンタジー(18年阪神ジュベナイルフィリーズ-GIなど重賞3勝)が出ている。本馬とダノンファンタジーはいずれもLyphardクロスを持つ、という共通点がある。芝向きの中距離タイプだろう。

●ポテンシャルリアル(牡 栗東・西村真幸 父リアルインパクト、母アドマイヤヒラリー)

 母アドマイヤヒラリーはダートで2勝。その父Nashwanは英2000ギニー(G1・芝8f)、英ダービー(G1・芝12f)、エクリプスS(英G1・芝10f)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)などを制した名馬で、名牝Highclereの孫にあたる良血馬。

 父リアルインパクトは現役時代に安田記念(GI)とジョージライダーS(豪G1)を勝った一流馬で、現2歳の初年度産駒はすでに中央5勝を挙げている。父の父ディープインパクトはHighclereの直牝系から誕生しているので、本馬はBurghclere≒Height of Fashion 4×3という4分の3同血クロスを持つ。このほかBlushing Groom、Nureyev、Lyphardといったディープインパクトと相性がいい血を抱えていることも好感が持てる。芝向きのマイラー〜中距離タイプ。

●レシステンシア(牝 栗東・松下武士 父ダイワメジャー、母マラコスタムブラダ)

 母マラコスタムブラダは南米アルゼンチンでヒルベルトレレナ大賞(G1・芝2200m)を4馬身差で圧勝。このレースはサトノダイヤモンドの母マルペンサが勝ったレースでもある(同馬が勝ったときは芝2000mで施行)。マラコスタムブラダはNumber≒Sadler's Wells 3×3という4分の3同血クロスを持ち、デインヒルとSadler's Wellsを併せ持つのでヨーロッパの主流血統の影響が強い。母の父Lizard Islandは2歳時にレイルウェイS(愛G2・芝6f)を勝ちヴィンテージS(英G2・芝7f)で2着となった早熟のスピード馬。

 父系はDanehill Dancer→デインヒルとさかのぼる。母方にデインヒルを持つダイワメジャー産駒は連対率19.3%、1走あたりの賞金額244万円。これはダイワメジャー産駒全体の17.7%、170万円を上回る。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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