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【アイビスSD】カルストンライトオの53秒7が千直を乗り切るモデルパターン

  • 2019年07月27日(土) 18時00分

勝利へのカギは前後半のバランス


 この直線1000mの重賞を2勝している騎手は4人。今年も騎乗するのはM.デムーロ(2015,2016年)と、西田雄一郎(2010、2017年)の2人。とくに西田騎手(44)が「直線1000m=男」として脚光を浴びるのは、単に新潟1000mになるとふだんより成績が良くなるからだけではない。2010年にケイティラブで逃げ切った際のダッシュは「11秒6(最速タイ)→21秒5(最速タイ)→31秒8(最速)」だった。

 逆に、2017年にラインミーティアで猛然と伸びて差し切った際の後半3ハロン「31秒6」も、アイビスサマーD勝ち馬としては史上最速タイ記録である。行くときは果敢に行く。控えるときは我慢する。思い切りの良さがきわだっている。

 最速ダッシュに最速上がりを足すと「21秒5+31秒6」=53秒1。いつかこれに近い記録が誕生するかもしれない。

 過去18回、「53秒台」の勝ち時計は計6回。カルストンライトオの53秒7のレコードの中身が、直線1000mをうまく乗り切るためのモデルパターンとして知られる。理想のバランスに近いという意味もある。

 「12秒0-9秒8-10秒2-9秒6-12秒1」=53秒7。中間3ハロン「29秒6」の驚異のスピードに驚くが、前後半バランスが素晴らしい。大きな緩急をつけ「21秒8-(10秒2)-21秒7」=53秒7だった。

 今年のライオンボスは、逃げ切って「22秒1-(10秒5)-21秒5」=54秒1。

 慣れて飛ばした2戦目は「21秒7-(10秒2)-22秒0」=53秒9だった。2戦目はやや飛ばしすぎの印象もあり、まだアンバランス。時計短縮は可能だ。

 ダイメイプリンセスは昨年、残された数字は「22秒0-(10秒3)-21秒5」=53秒8となる。リプレイを見ると前半はもう少し遅く推定22秒2くらいとも映るが、馬群の中なので測定角度もあり0秒2ぐらいは誤差の範囲内。正式な記録を利用したい。6歳牝馬で休み明け、内を引いた不利もあるが、まだ時計短縮可能だろう。M.デムーロでもある。

 前回ライオンボスの2着したカッパツハッチ(父キンシャサノキセキ)は、2戦目の直線1000mを54秒0(21秒7-32秒3)なら、十分に争覇圏だが、ダイメイプリンセスと同じで枠順は味方しなかった。

 これなら、西田騎手の3着ミキノドラマー(父ショウナンカンプ)。自己最高の54秒2の中身は「22秒4-31秒8」。後半31秒8は自身の最速タイであり、スタートで出負けするロスがあった。馬場が渋るようだと一気の浮上がある。ショウナンカンプの祖母の父は、第3回(69年)のスプリンターズS(重)を62kgでレコード勝ちしたタケシバオーである。

 好気配のアルマエルナトはすでに8歳だが、こちらも多少でもタイムのかかる馬場になれば幸運の外枠が味方する。

 札幌の「クイーンS」は、同型馬はいるが全兄と同様に洋芝で一変しそうなエイシンティンクル(武豊騎手)の先行スピードに期待したい。直前はごく軽めだが、「時計を出さないのも調教のうち」の金言がある。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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