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【サセックスS展望】「グロリアス・グッドウッド」のメインイベントを制するのは!?

  • 2019年07月31日(水) 12時00分

マイル路線における世代間を越えた戦いが始まる


 英国の競馬カレンダーの中でも最も美しい開催の1つと言われる、グッドウッド競馬場を舞台とした「グロリアス・グッドウッド」が真っ盛りである。

 30日(火曜日)にスタートし、8月3日(土曜日)までの5日間開催で、日本の競馬ファンの皆様の目は言うまでもなく、ディアドラ(牝5、父ハービンジャー)が出走する1日のG1ナッソーS(芝9F197y)に集まっておいでのことと思うが、開催のメインイベントと言って差し支えないのが、日本時間の今夜(7月31日、23時35分)に発走の時を迎えるG1サセックスS(芝8F)である。

 先週末に行なわれたG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)が、12ハロン路線における3歳と古馬の精鋭が初めて顔を合わせる機会だったのに対し、マイル路線における世代間を越えた戦いが始まるのがサセックスSだ。

 日本時間の20日(月曜日)の18時に最終登録のステージが設けられおり、ここで古馬勢・3歳勢それぞれ4頭ずつの、合計8頭が出馬登録を行った。すなわち、数の勢力でいえば両陣営は互角なのだが、ブックメーカーのオッズを見ると、上位3番人気までを3歳世代が占めている。

 各社2.0〜2.25倍のオッズを掲げて1番人気に推すのは、ジョン・ゴスデン、フランキー・デトーリという乗りに乗るコンビが送り出すトゥーダーンホット(牡3、父ドゥバウィ)だ。

 ご存知、昨年の無敗の2歳チャンピオンで、この春のクラシック戦線の主役と見られていた馬だが、肝心な時に管骨瘤をいためてしまい、3冠初戦のG1英二千ギニー(芝8F)出走を断念。目標をG1英ダービー(芝12F6y)に切り換えるべく、前哨戦のG2ダンテS(芝10F56y)に向かったところ、スタミナ不足を明確に露呈する内容で2着に敗れ、連勝がストップ。そこから中8日で挑んだG1愛二千ギニー(芝8F)が2着、ロイヤルアスコットのG1セントジェームズパレスS(芝7F213y)が3着と3連敗を喫し、「普通の馬」になってしまったかと、ファンを心配させた。

 しかし、ようやく「らしさ」の片鱗を見せたのが、7月7日にドーヴィルで行われたG1ジャンプラ賞(芝1400m)で、いささか相手は軽かったものの、2着以下に3馬身差をつける快勝。連敗を3で止めるとともに、2度目のG1制覇を果たすことになった。同時に、平坦で負荷の軽い馬場の1400〜1600m戦なら、依然として高い能力の持ち主であることを実証。

 コースの8の字部分に起伏はあるものの、直線はおおむね緩い下りで、英国の中では比較的イージーとされるグッドウッドの馬場なら、力を発揮出来ると見て、サセックスSにエントリーすることになったものだ。

 オッズ3.0〜3.5倍で2番人気につけているのが、エイダン・オブライエンが送り込むサーカスマキシマス(牡3、父ガリレオ)だ。

 シーズン開幕当初はG1英ダービーが目標で、前哨戦の1つであるチェスターのLEディーS(芝10F70y)を始動戦に選択。ここを鮮やかに制したため、次走はG1英ダービーとなったが、ここでは勝ち馬アンソニーヴァンダイクに5.1/4馬身遅れた6着に敗退。

 陣営が出したのは、同馬の適性はもっと短い距離にあるという結論で、ロイヤルアスコット初日のG1セントジェームズパレスSに4万5千ポンドの追加登録料を払って出走。陣営の戦略が見事に図に当たり、ここでG1初制覇を果たすことになった。そして、ここサセックスSも、7万ポンドの追加登録料を支払っての出走となっている。

 そして、6.0〜7.0倍のオッズで3番人気に推されているのが、フェニックスオヴスペイン(牡3、父ロペドヴェガ)だ。

 2歳時は5戦し、ヨークのG3エイコムS(芝7F)を含む2勝。ドンカスターのG1フューチュリティトロフィー(芝8F)2着の成績を残し、世代のトップグループを形成する1頭となった。そして迎えた今季初戦、カラのG1愛二千ギニーで2着トゥーンダーンホットに3馬身差をつける強烈なパフォーマンスを見せ、クラシック制覇を果たしている。

 ところが、前走のG1セントジェームズパレスSでは一転して、勝ち馬サーカスマキシマスから3.1/4馬身遅れた6着に敗退。意外な脆さを見せている。

 古馬勢では、春のG1ドバイターフ(芝1800m)3着馬で、ロイヤルアスコット初日のG1クイーンアンS(芝8F)をオッズ15倍の6番人気という低評価を覆して制し、G1初制覇を果たしたロードグリッターズ(セン6、父ウィッパー)が、9.0〜11倍のオッズで4番人気。

 続いて15〜17倍のオッズで5番人気に推されているのが、5月にロンシャンのG1イスパーン賞(芝1850m)を制しG1初制覇を果たしたザビールプリンス(セン6、父ロペドヴェガ)だ。

 その後、10F路線ではG1プリンスオヴウェールズS(芝9F212y)7着、G1エクリプスS(芝9F209y)8着と結果を出せず、ここで、これまで挙げた6勝のうち半数以上の4勝を挙げている、8F前後の距離に戻ることになったものだ。

 残念ながら日本ではG1サセックスSのテレビ中継はないが、ぜひご注目していただきたい一戦である。

 なお、ディアドラが出走する8月1日(木曜日)のG1ナッソーSは、グリーンチャンネルの「ALL IN LINE!〜世界の競馬〜(23時〜24時放送)」の中で中継する予定なので、ぜひライヴでご覧をいただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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