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熱気に包まれたうらかわ馬フェスタ2019【後篇】

  • 2019年08月07日(水) 18時00分

人間もゆるキャラも浦河の地を駆け抜ける


 前回に引き続き、うらかわ馬フェスタについて書かせて頂く。7月28日(日)、朝から太陽が照りつけ、日高地方ではめったにないほどの高温になった。

 この日も、会場内では様々なイベントが目白押しで、子供たちを対象にした「キッズ冒険ランド」では、ボールプールやふわふわ迷路、大型滑り台の「スクリーマー」が朝から稼働を始めた。装蹄師会による蹄鉄打ち実演と蹄鉄を使ったコースターづくり、無料馬車や無料乗馬、BTCからは木馬が持ち込まれ、子供たちに勝負服を着せて記念写真を撮るコーナーもあれば、ステージ上では、KUROさんによるマジックとジャグリングのショーや、メイプル超合金によるJRAトークライブあり、と盛りだくさんの内容であった。

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無料で楽しむことができるポニー馬車

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勝負服を着て記念写真が撮れるコーナー

 昨年まで浦河競馬祭が行なわれていた1600mダートコースでは、草競馬に代わるイベントとして、「ウラカワサマーダッシュ」なる「人間競走(リレー)」が実施された。

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リレー形式による人間競走「ウラカワサマーダッシュ」では熱戦が繰り広げられた

 事前に申し込みを受け付けたところ、100m(25m×4)の小学生の部には8チーム、200m(50m×4)の中高生の部に3チーム、同じく、18歳以上を対象にした大人の部には実に14チームが参戦。それぞれ熱戦が展開された。

 とりわけ注目を集めたのは、大人の部であった。というのは、BTC周辺にて騎乗技術者として働くインド人たちが数多く参加したからである。現在、浦河町には、約160人のインド人が居住しており、各育成牧場にて就労している。1着賞金4万円に魅力を感じたのかどうか定かではないが、牧場ごとにチームを組み、出場する人々と同胞を応援する人々とで、浦河中のインド人たちが集結したのではないかと思えるほどであった。

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「ウラカワサマーダッシュ」へ出走するインド人参加者

 さながら日印対決のような様相を呈した。午後1時。まず小学生の部、続いて中高生の部が走り終わり、いよいよ大人の部の発走時刻となった。ダートコース一杯に14チームが並ぶ。女性は15メートルのハンデをもらい男性よりも短い距離で済むことから、女性の混じるチームも多かった。

 普段は馬の走るコースで、多くの人々がリレーをする図はなかなか見応えがある。炎天下、どのチームも必死に砂の上を走り抜け、優勝したのは遠く八雲町から参加した男性4人のチームであった。2着に入った某育成牧場チームは、途中でインド人ランナーがバトンを落とすミスがあり、あえなく失格となった。

 いずれ、改めてインド人騎乗者のことを書きたいとは思っているが、彼らは言語や宗教、生活習慣(食習慣)の違いなどから、浦河町に住んでいるとはいえ、一般町民と密接にかかわるまでには至っていない(と思われる)。BTCが休日の日曜日には、よく馬運車用の駐車場で仲間同士が集まりクリケットをしている姿が見られるが、町民が彼らと触れ合えるような適当な場があれば、それこそ日印文化交流ができるようになると思われる。

 さて、この28日には、恒例のJRA馬事イベントとして、アンダルシアン3頭による演技や、JRAキャラクターのターフィー君による障害飛越演技なども行なわれ、多くの観客を湧かせた。馬産地とはいえ、こうした機会はめったになく、毎年好評を博している。

 アンダルシアンはスペイン原産の馬種で、ひじょうに大人しく従順で賢いのが特長だという。今回は、3頭(3騎)が、ぴったりと呼吸を合わせながら、妙技を次々に披露し、会場を囲んだ人々を魅了していた。

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華麗な演技で会場を魅了するアンダルシアン3頭

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とても賢く人間の指示にも従順だというアンダルシアン

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人間にも負けず劣らずの飛越を披露するターフィーくん

 ところで、こちらも恒例となった「全日本馬キャラダービー選手権」なるイベントもお昼休みに行なわれた。地元浦河から「うららん」と「かわたん」、ホッカイドウ競馬から「ナナセちゃん」と「ホクトくん」、JRAから「ターフィー」、そしてばんえい帯広から「リッキー」の6頭?が出走し、芝生に設けられた50mのコースを一斉に走った。

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芝生コースを颯爽と駆け抜けるゆるキャラの6頭?

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「全日本馬キャラダービー選手権」へ参加したゆるキャラたち

 折しもこの日、大阪・枚方市で、着ぐるみショーの練習を行なっていた若者が亡くなるという出来事があった。いくら北海道とはいえ、冒頭でも触れたように、この日は異例の暑さになり、ゆるキャラの中に入って走らされた方々はさぞ大変な思いを味わったことであろう。いうまでもなく、夏の時期はこの手のイベントは本当に要注意だ。外見の愛くるしさや可愛らしさについつい目を奪われてしまいがちだが、中に入る人は本当に死ぬ思いであろうと思う。

 ジョッキーベイビーズ北海道地区予選は、浦河ポニー乗馬スポーツ少年団所属の大池晴駈(はるく)君(小5)が、予選、決勝といずれも1着で見事に代表の座を勝ち取ったことは前回触れた通り。今年は、10人がエントリーしたものの、予選でフライングにより、ぶっちぎりで先行した2頭がともに失格になったり、またスタート直後に、逆走してしまった馬もいたりと明暗を分ける結果となった。地区代表を決める段階から、子供たちの戦いはなかなか熾烈なのである。

 最後に、このイベントの由来となっている五冠馬シンザンについて少し。シンザンは1961年(昭和36年)、浦河町の松橋牧場にて出生した。来年は生誕60周年で、シンザンも還暦を迎える(生きていれば、の話だが)。何か記念行事を考えなければならないのではなかろうか、と個人的には感じている。

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岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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