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堅実性と大物感を併せ持つミスビアンカ

  • 2019年08月14日(水) 12時00分
●サトノジヴェルニー(牡 栗東・音無秀孝 父Siyouni、母Bal de La Rose)

 ダルマイヤー賞(独G1・芝2000m)、ラクープ(仏G3・芝2000m)などを制したDanceteriaの半弟。母Bal de La Roseは名種牡馬Lope de Vega(10年仏ダービー-G1、10年仏2000ギニー-G1)の半姉にあたる良血で、現役時代、フランスでアンドレバボワン賞(仏G3・芝2000m)を勝った。これにSiyouniを掛けて誕生したのが本馬。

 父は現役時代にジャンリュックラガルデール賞(仏G1・芝1400m)を勝ち、種牡馬としてはSottsass(19年仏ダービー-G1)、Ervedya(15年仏1000ギニー-G1、15年コロネーションS-英G1、15年ムーランドロンシャン賞-仏G1)などを出して成功している。18年の仏サイアーランキングでは第2位。19年は現時点で首位を走っている。本馬はPivotalやMachiavellianなど日本向きの血が入り、Mr.Prospector 5×5。日本の芝にも対応可能だろう。距離はマイル前後が良さそうだ。

●サマーエモーション(牝 栗東・大久保龍志 父Dubawi、母Midsummer Fair)

 3代母ストームソングは96年のブリーダーズCジュヴェナイルフィリーズ(米G1・ダ8.5f)の勝ち馬で、2代母ストロベリーフェアはイギリスで5戦して2着が最高着順だったが、良血を活かして繁殖牝馬として成功。本馬の母ミッドサマーフェアを産んだ。ミッドサマーフェアはフローラS(GII)を勝ったほかクイーンS(GIII)で3着と健闘した。引退後、ハーツクライを種付けしてイギリスへ渡り、初仔ミッドサマーハウス(現1勝)を産んだ。本馬は2番仔。

 父Dubawiはわずか1世代を残して急逝したDubai Millenniumの代表産駒で、Postponed(15年キングジョージ6世&クイーンエリザベスS-英G1などG1を4勝)、マクフィ(10年英2000ギニー-G1、10年ジャックルマロワ賞-仏G1)、Too Darn Hot(19年サセックスS-仏G1などG1を3勝)をはじめ多くのG1ホースを誕生させている。15年にフランスでリーディングサイアーとなったほか、イギリスやアイルランドではGalileoに次ぐ存在となっている。日本ではフレデフォートやミスドバウィなど短距離向きの産駒が目につくが、本来は底力あふれる中距離タイプだ。母方にKingmamboを持つDubawi産駒なのでPostponedと配合構成が似ている。芝向きの中距離タイプ。

●トウアトリア(牝 栗東・松永昌博 父ノヴェリスト、母ノボリディアーナ)

 母ノボリディアーナはダノンミル(11年若葉S-OP)の半妹で、現役時代に府中牝馬S(GII)や白百合S(OP)を勝った。2代母スターリーロマンスはフジキセキの全妹にあたる良血。本馬は母の初仔。父ノヴェリスト(13年キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなどG1を4勝)はドイツの歴史的名馬の1頭。ラストドラフト(19年京成杯-GIII)、コスモカレンドゥラ(18年ホープフルS-GI・4着)、ローゼンクリーガー(19年ファルコンS-GIII・3着)などを出している。前述のとおり本馬は2代母がフジキセキの全妹なので、「ノヴェリスト×フジキセキ」のローゼンクリーガーと配合構成が似ている。重賞を勝った母のポテンシャルがうまく伝われば芝中距離で活躍できるだろう。

●ミキノエイトビート(牝 栗東・大橋勇樹 父キズナ、母アイアムネオ)

 ダートで2勝を挙げているアイアムジュピター(父ルーラーシップ)の半妹。母アイアムネオはフェアリーS(GIII)2着、フローラS(GII)4着などの成績を残した活躍馬で、2代母イクスペクトトゥシャインは「Mr.Prospector×Nureyev」という組み合わせ。Mr.ProspectorもNureyevも2代父ディープインパクトと相性のいい血で、名血Numbered Accountにさかのぼるファミリーは質が高い。本馬はサンデーサイレンス3×3。気性面の問題がなければ芝向きのマイラーとしておもしろい。

●ミスビアンカ(牝 栗東・高橋義忠 父ロードカナロア、母シャトーブランシュ)

 母シャトーブランシュは現役時代にマーメイドS(GIII)を勝ったほか、ローズS(GII)でも2着と健闘した。本馬が初仔。父ロードカナロアはアーモンドアイ(牝馬三冠、18年ジャパンC-GI、19年ドバイターフ-首G1)を筆頭に、サートゥルナーリア(19年皐月賞-GI、18年ホープフルS-GI)、ステルヴィオ(18年マイルCS-GI)など多くの活躍馬を出している。

 本馬は母方にサンデーサイレンスとNureyevを併せ持つ配合。このパターンは成功している。重厚なファミリーから誕生しているので母はキングヘイロー産駒にしては中距離向きに出た。ロードカナロアとの配合ではそうしたタイプのほうがいい。堅実性と大物感を併せ持ち、芝向きのマイラーとして大成しそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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