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もし“あの世”で“新盆競馬”が行われていたら…?

  • 2019年08月17日(土) 12時00分

一方で“この世”の競馬も豪華メンバー


 ウオッカ、ディープインパクトの後を追うようにして、今度はキングカメハメハがこの世を去りました。今年はなんという年なのでしょうか…。

 ご存知のように、キングカメハメハはNHKマイルCと日本ダービーのダブル制覇を果たしました。それはタイヘンな快挙ですが、どちらもアッサリ勝っちゃったという印象が残っています。

 なにしろ、NHKマイルCは2着に5馬身差を付けた圧勝。日本ダービーも直線入り口で早々に先頭に立ち、坂を上がってからは同馬の独壇場になりました。最後に大外からハーツクライが飛んできたものの、すでに勝負あり。着差は1馬身半しかありませんでしたが、これも完勝だったと思います。

 アッサリ勝った(ように見える)ことこそ、同馬の強さの証し。手綱を取った安藤勝己騎手がビッグタイトルを獲得したのに妙に淡々としていたことも、アッサリ感を増幅したのかもしれません。もし“あの世”で“新盆競馬”が行われていたら、今年はものすごいレースが繰り広げられたでしょうね!?

 それはさておき、今週は札幌記念。ダービー馬ワグネリアン、有馬記念優勝馬ブラストワンピース、菊花賞と天皇賞春の“2冠馬”フィエールマンらが顔をそろえ、“この世”の競馬も超豪華なメンバー構成となりました。

「ウイニング競馬」でおなじみの大久保洋吉先生も9日付けの日刊スポーツ関東版に書かれていましたが、札幌記念のG1昇格は検討されていいと思います。

 2009年から去年までの10年間の出走メンバーを見ると、ほとんど毎年、G1優勝経験馬が複数、名を連ねていたことがわかります。

 ざっと調べたところでは、2014年が最も豪華で、桜花賞を勝ったハープスターと、皐月賞、菊花賞、有馬記念、宝塚記念(連覇)を制したゴールドシップ、さらにヴィクトリアマイル優勝馬ホエールキャプチャ、朝日杯と皐月賞の勝ち馬ロゴタイプが出走していました。

 他にも、09年はブエナビスタとマツリダゴッホ、13年はロゴタイプ、トーセンジョーダンにレインボーダリア、16年はモーリスとヌーヴォレコルト、去年もマカヒキとモズカッチャンが“激突”しています。もちろん、それらの馬の結果はマチマチですが、出走メンバーはかなりハイレベルです。

 一方、G1優勝経験馬が出走していなかったのは、ここ10年では2017年の1回だけ。1頭しか出ていなかったのも1回(11年。秋華賞馬のレッドディザイアのみ。この時に勝ったトーセンジョーダンは同年秋の天皇賞を制覇)きりでした。

 札幌記念のG1昇格には国際機関の認定が必要ですが、JRAには申請を前向きに検討してほしいと思います。大阪杯→札幌記念→天皇賞・秋という、春夏秋の2000メートルG1体系が確立されるわけですからね。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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