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【英・インターナショナルS】日本馬として初めて参戦したゼンノロブロイ 元厩務員が明かす遠征の舞台裏

  • 2019年08月18日(日) 18時01分
海外競馬通信

▲現在はグルーミングインストラクターとして活動している川越靖幸さん(撮影:佐々木祥恵)


イギリス伝統の一戦・インターナショナルS(8/21)にシュヴァルグランが挑戦します。 日本馬による挑戦はゼンノロブロイ以来14年ぶり2度目。今回はロブロイの元厩務員である川越靖幸さんにお話を伺いました。

前年には年度代表馬に輝いた、ロブロイの新たなる挑戦。遠征中の調整過程やレース当日のやりとりなど、当時を振り返って頂きました。イギリス遠征を通して学んだこと、そして日本馬が海外で活躍するために大事なこととは何なのでしょうか?

(取材・文=佐々木祥恵)

人が馬にしてあげられることはごくわずか


――2005年にゼンノロブロイでインターナショナルSに出走して14年という年月が流れました。今どんなお気持ちですか?

川越 ついこの間の出来事のようにも感じますけど、牧場見学した知人から送ってもらった写真を見ると、ロブロイも年を取ったなと思います。まあ自分も年を取っているのですけどね。

 中学を出て牧場で働いて、その頃から馬しか知らない。馬のおかげで食べていますし、馬にお世話になりっぱなしの人生だなと思います。これからも馬にお世話になっていくだろうし、ほんの少しでも馬に恩を返していきたいなと思っています。人が馬にしてあげられることはごくわずかです。

 ついこの間もディープインパクトやキングカメハメハが亡くなりましたけど、あの馬たちをはじめとして馬が人に与えてくれるものは、とても大きいです。馬は人のためにお金をたくさん稼いできてくれ、我々の日々の生活や人の一生を支えてくれていると思うんですよ。でも人は馬の一生を支え切れませんから。そんなことを最近よく考えています。


――当時ロブロイにとっては初の海外遠征でした。何か不安はありましたか?

川越 あの馬の性格からして、遠征は全然問題ないと思いました。遠い海外だからとか皆いろいろ考えるとは思いますけど「馬は飛行機に乗ってどこにでも移動できる生き物だ」と藤沢調教師からよく聞かされていましたし、馬が遠くに連れて行かれるということに関しては不安はありませんでした。ただ遠征中のアクシデントなどには、十分気をつけなければならないと思っていました。


――川越さん自身、ゼンノエルシドの香港遠征(01年香港マイル・G1・14着)以来、2度目の海外ということで、不安は感じませんでしたか?

川越 不安に感じるか感じないかは、普段どれほどのことをやっているかだと思うんです。藤沢調教師と僕は釣りという共通の趣味があるのですけど、一緒に釣りに行った時に「これで釣ってみろ」と初めて使う釣り道具を渡されたんです。

 その時、できるかな、釣れるかなと僕が不安を口にしたら、「普段から雑なことをやっていると、不安や緊張に繋がるんだ」と言われたんですよね。競馬とは関係ないことですけど、それもあって、普段から一生懸命やっていましたし、不安はありませんでした。
海外競馬通信

▲04年天皇賞・秋でGI初制覇を飾ったゼンノロブロイ(撮影:下野雄規)



環境の変化でロブロイは更に大人に


――遠征時の具体的なスケジュールを教えてください。

川越 成田から出発して、アンカレッジ経由でイギリスに入りました。温度が24度設定だったのでロブロイには少し寒いのではないかなとか、飛行機では空調が気になりました。機内では頻繁には様子は見に行けないのですけど、馬自身は落ち着いていました。

 イギリス滞在は1か月ほどで、ロブロイは

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