【北九州記念】札幌記念も注目だが、人気割れの馬券の妙味は…
ペースはきつくとも、簡単には失速しない総合力秘める
札幌記念と北九州記念の重要度はもちろんGIIの前者。フィエールマン、ブラストワンピースの2頭はこのあと凱旋門賞挑戦を展望している。したがって、ここはまだ万全の仕上げではないから、狙いは順調なグループという狙い方はあるが、ほかの各馬も夏から秋にかけ、なにもこの札幌記念が最大目標というわけではない。実力馬の展望は秋のGIシリーズ。
展開有利なクロコスミア、今度は行けそうなエイシンティンクルを買いたいが、それ以上にここまで2つのGI制覇を含め【4-2-0-0】のフィエールマンに、さらにスケールアップの力強いレースを期待したい。9分程度仕上がりでもこの相手に苦戦するようでは、ちょっと凱旋門賞は……だろう。フィエールマンから先行できそうな伏兵を買い、最後は力ずくのフィエールマンに注目したい。
人気割れの馬券の妙味は北九州記念。必見の好カードであると同時に、JRA最速の1200m重賞が近年のこのGIIIの特徴。
2006年から現在の距離になり、過去13回の勝ちタイム平均は、「1分07秒38」。なかに1分06秒台が3回も含まれる。同じ距離のGIスプリンターズSの平均は「1分07秒85」にとどまる。
快時計を生む大きな理由は、小倉1200mは前半がなだらかな下り。13年間に前半3F32秒台が10回も記録され、平均は「32秒63」。そのうえ最後の直線に阪神や中山のような上り坂はなく平坦。そこで上がり3F平均「34秒75」。ハイペースでも後半の失速がないから、全体が高速になる。
ハナに行きたいモズスーパーフレア(父Speightstown)は、前半33秒0以内(32秒3-33秒0)の記録が計4回もある。このケースは4戦全勝。逆に並みのペース(33秒1以上)だと、離せないうえに他馬の追走が楽になるから、差されての敗戦が多い。過去13年間にこの重賞で逃げ切り勝ちはないが、モズスーパーフレアが1分06秒台で押し切れるなら、スピード能力爆発の逃げ切りは可能だろう。
父母両系ともにアメリカ血統の典型で、Raise a Native、Northern Dancer、再び主流に戻ったBold Ruler、その産駒Secretariatの強力なクロスがある。行く一手は死角だが、行き切ってしまえば、ペースはきつくとも簡単には失速しない総合力を秘めている。
重賞レースながら、18頭中13頭が前回とは乗り替わりのジョッキー。何がなんでもの強引な先行策は取らないと思える。松若騎手=モズスーパーフレアはテン乗りではない。小倉1200mの新馬を勝ったコンビでもある。もまれない外枠からグングン強気に行ってくれるはずだ。