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【騎手の証言、テン乗りと連続騎乗】(第3回) 中谷雄太騎手/後編「ひとりの騎手が乗り続ける最大のメリット」

  • 2019年08月19日(月) 18時01分
ノンフィクションファイル

▲後半では“テン乗り”のメリットとデメリットを語ります (C)netkeiba.com


ここ数年でジョッキーの起用法に変化が現れ、テン乗りや乗り替わりが当たり前の時代となりました。それと同時に、1頭の馬に一人のジョッキーが乗り続けることが貴重となり、そのコントラストは年々強くなっています。

その是非はともかく、やはりジョッキーたちのレースに対する向き合い方も変わってきているはずです。そこで今回は、テン乗りと連続騎乗のメリットとデメリットをどう捉え、どう戦っているのか、様々な立場・年代の現役ジョッキー4人を含む5人のホースマンに直撃取材を敢行。それぞれの感性とスタンスを通して、今を戦うジョッキーたちのリアルに迫ります。

証言者は、前回に続き中谷雄太騎手。後編では、自身の具体的なレースをもとに“点”が“線”になる過程を語ってくれたほか、中谷騎手が考える「1頭の馬にひとりの騎手が乗り続けること」の最大のメリットを明かしてくれました。

(取材・文=不破由妃子)


テン乗りでもむしろ、先入観を持って乗ります


──前編では、連続騎乗のメリット、デメリットについて、中谷さんの経験に基づいたご意見を伺いましたが、テン乗りの戦い方については何か持論を持っていらっしゃいますか?

中谷 テン乗りのメリットとして、先入観がないことを挙げるジョッキーが多いと思いますが、成績が出ている馬や期待が持てそうな馬の場合、僕はむしろ先入観を持って乗ります。当然、過去のレース映像は見るので、そこからイメージ的にどういう馬で、どういうパターンで負けるのかを一番重要視しますね。

──“負け方”を頭に入れておくわけですね。

中谷 はい。どう乗ったら負けるのかを情報として入れておいて、そういう競馬にならないように乗るという感じです。

──逆に、あまり成績が出ていない馬のテン乗りは?

中谷 そういう馬の場合は、先入観を持って乗らないようにしています。成績が悪いレースはあまり見たくないですからね。だから、過去のレースをあえて見ないケースのほうが多いです。

──中谷さんの今年の勝ち鞍を見ると、前走テン乗り→連続騎乗で勝利というパターンが3つもあって、その内容に注目すると、テン乗りのデメリットと連続騎乗のメリットが凝縮されているようにも思えました。まずはディーパワンサ。テン乗りで4着に負けた際(3月30日・阪神10R・仲春特別)、「追ってからがもうひとつだった」というコメントを出していらして、次走はそれを踏まえて早めに捕まえに行く競馬で勝ちましたよね。

中谷 ディーパワンサは、もともと能力のある馬ですけど、テン乗りのときはちょっと手応えに騙された感じがあって。

──「手応えに騙される」というのは、ジョッキーたちからよく出てくるフレーズですよね。たとえそういう馬だという情報を聞いていても、テン乗りではなかなか見抜けないものですか?

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