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2019サマーセール始まる

  • 2019年08月21日(水) 18時00分

上場頭数は4日間で1270頭を予定


 国内で最大規模の1歳馬市場「サマーセール」が、今週月曜日から新ひだか町静内の北海道市場で始まっている。19日〜22日(木)までの4日間の日程で、連日300頭前後の上場馬が登場する。

 現在、2日目を終了した時点でこの原稿を書いているのだが、初日、2日目ともに、かなりの長丁場で、やや疲労が抜けない感じだ。名簿上の上場予定頭数は、4日間で1270頭。それをほぼ均等に4日間で振り分けるため、1日当たり315〜20頭もの上場頭数になる。午前8時より始まる比較展示は正午近くまでかかり、セリ開始は正午である。そこからノンストップで、延々とセリが行なわれる。

 売却率は昨年とほぼ同じく70%を超えている。初日が301頭の上場で、215頭が落札され、売却率は71.42%。2日目は294頭の上場で211頭の落札、売却率は71.76%である。また平均価格は初日が572万円、2日目が604万円と、昨年の初日(543万円)、2日目(499万円)よりも高くなっている。

 昨年は初日(8月20日月曜日)に「サマープレミアムセール」と称する選抜セールが行なわれ、通常のサマーセールは2日目〜5日目の4日間で開催された。曜日では火曜日〜金曜日になり、セリ期間の長さが課題になっていた。

 そこで今年は、新たに「セプテンバーセール」を創設し、来月中旬の9月17日(火)、18日(水)の2日間、北海道市場で開催されることになっている。上場頭数は528頭の予定で、一日あたり260〜268頭である。

 当初、主催者であるHBAは、サマーセールとセプテンバーセールの両方にある程度頭数が均等に振り分けられたら助かる、という思いがあったらしいが、いざ蓋を開いてみたら、サマーセールへの申し込みがほぼ例年並みの1270頭に達してしまったという経緯がある。一方で、期間短縮は喫緊の課題であったために、金曜日まで延長することもできず、1270頭を4日間の日程に「圧縮」せざるを得なくなったのである。

 そこには生産牧場の事情が透けて見えてくる。販売用の1歳馬を抱えている生産牧場は、できるだけ早い時期に売ってしまいたいのが本音で、できることなら、7月のセレクションセールが理想的だが、当然のことながら申し込みが殺到し、厳しい選抜をクリアしなければ上場できない。そこで次善策としてサマーセール上場を考える。

 サマーセールは申し込みさえすれば全馬が上場できるので、ここで勝負をかけたいのだ。8月中に売ってしまいたい生産牧場が、現在、行き先の決まっていない1歳馬をまとめて連れてくることになるのである。

 日高の市場では、セレクションセール→サマーセール→オータムセールと時期が遅くなればなるほど平均価格が下降して行く傾向が顕著なことも、なるべく早い時期に決めてしまいたいという心理に繋がっている。9月には今年生まれた当歳馬の離乳が始まり、種付け料の支払いも待っている。じっくり馬の成長を待ってから売却すれば良い、という余裕を持てないのが現実なのだ。

 それにしても、1日300頭というのは、かなりの多頭数だ。セリは、平均すると1時間当たり40頭〜45頭ほどのペースで進行する。とはいえ、中には高額馬もいるし、価格はそれほど高くならなくとも小刻みに複数バイヤーがじっくり時間をかけて競り合う上場馬の数多くいるので、とにかく時間がかかっている印象が強い。初日の終了時間は午後7時20分、2日目も、午後6時40分であった。夏至の時期から比べると日没がずいぶん早くなっているので、セリが終わる時間帯にはもう市場の外は真っ暗である。

 まだ折り返したばかりなので、半分残っているが、現時点での最高落札価格馬は、初日に上場された207番ピュアブラウンの2018(牡黒鹿毛、父キズナ、母の父Indian Charlie)の2200万円(税込2376万円)。むかわ町・(有)上水牧場の生産、販売申込馬で、飼養者は(有)パイオニアファーム。落札者は本田恒雄氏。

生産地便り

207番ピュアブラウンの2018落札場面

生産地便り

207番ピュアブラウンの2018立ち写真

 また牝馬では、やはり初日に上場された289番ユーアーマインの2018(牝黒鹿毛、父シニスターミニスター、母の父ディープインパクト)の2000万円(税込2160万円)が今のところ、最高価格である。生産、販売申込者は新ひだか町・飯岡牧場。落札者は(有)吉澤ステーブル。

生産地便り

289番ユーアーマインの2018落札場面

生産地便り

289番ユーアーマインの2018立ち写真

 残り2日間を見て、来週もう一度サマーセールを振り返る予定でいる。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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