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エアグルーヴ一族の良血牝馬レッドルレーヴ

  • 2019年08月28日(水) 12時00分
●スカイグルーヴ(牝 美浦・木村哲也 父エピファネイア、母アドマイヤセプター)

 母アドマイヤセプターは気性難に苦しみながら京阪杯(GIII)2着、スワンS(GII)3着など重賞で健闘した。その全弟ドゥラメンテは皐月賞(GI)と日本ダービー(GI)の二冠を制覇。2代母アドマイヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯-GI)、3代母エアグルーヴ(年度代表馬)、4代母ダイナカール(83年オークス)という超良血で、母の4分の3同血にはルーラーシップ(12年クイーンエリザベス2世C-香GIなど重賞5勝)がいる。

 本馬は母の2番仔。父エピファネイアは新種牡馬で、現在JRAの2歳種牡馬ランキングで第5位、新種牡馬ランキングでキズナに次いで第2位と上々の成績を挙げている。母の気性的弱点が伝わらなければ大仕事も可能だろう。芝向きの中距離タイプ。

●セウラサーリ(牝 栗東・西園正都 父オルフェーヴル、母サマーナイトシティ)

 2頭のGI馬、サダムパテック(父フジキセキ/マイルCSなど重賞5勝)とジュールポレール(父ディープインパクト/ヴィクトリアマイル)を兄姉に持つ良血馬。

 父オルフェーヴルはエポカドーロ(18年皐月賞-GI)、ラッキーライラック(17年阪神ジュベナイルフィリーズ-GIなど重賞3勝)、ロックディスタウン(17年札幌2歳S-GIII)、サラス(19年マーメイドS-GIII)と4頭の重賞勝ち馬を出しているが、これらは母方にMr.Prospectorを持っているという共通点がある。

 オルフェーヴルは「ステイゴールド×メジロマックイーン」というスタミナ色が強い血統なので、配合相手に適しているのはスピード豊かなアメリカ血統。本馬は2代母の父がMr.Prospectorで、他にSeattle SlewとFairy King(Sadler's Wellsと同血)を持っており、ラッキーライラックと重なる部分が多い配合構成。芝中距離でいいところがありそうだ。

●リベリアスハート(牡 美浦・上原博之 父フェノーメノ、母ニシノマイヒメ)

 ニシノオウガイ(3勝クラス/父ロージズインメイ)、ニシノゲンキマル(2勝クラス/父デュランダル)の半弟。

 母ニシノマイヒメはニシノフラワー(92年桜花賞-GI、92年スプリンターズS-GI)の半妹で、現役時代にダート短距離でオープンまで出世した。ネロ(16、17年京阪杯-GIII)やニシノデイジー(18年東京スポーツ杯2歳S-GIII、18年札幌2歳S-GIII)など、このところ活躍馬が目に付く活力あるファミリーだ。

 父フェノーメノは現役時代に天皇賞・春(GI)を2連覇するなど重賞を5勝した名馬。晩成型のスタミナタイプだけに、Mr.ProspectorとDanzigを併せ持つ母は父の弱点をカバーした理想的な配合相手といえるだろう。「ステイゴールド系×フォーティナイナー」なので皐月賞馬エポカドーロを連想させる配合でもある。5月5日生まれで父も晩成型なので、早い時期から走ってくるタイプではないかもしれないが、後々の楽しみが大きい芝向きの中距離タイプだ。

●レッドジョコンダ(牝 美浦・藤沢和雄 父Frankel、母モナリザ)

 ここ数年、Galileo産駒の大物は、GleneaglesやChurchillのようにStorm Catを抱えたものが目立つ。Galileoの息子Frankelも、Storm Catを抱えた配合は成功し、とくに日本においてはモズアスコット(18年安田記念-GI)、ミスエルテ(16年ファンタジーS-GIII)と2頭の重賞勝ち馬が出ている。「Galileo+Storm Cat」はヨーロッパの重い芝を走るにはやや迫力に欠け、2歳から3歳春までが旬、という傾向が見られるものの、軽いスピードがモノをいう日本ではちょうどいいという印象だ。

 本馬はこれによく似たパターンなので期待できる。軽さ一辺倒ではなく、オペラハウスと同じ一族でクラシック向きの重厚さを確保し、なおかつ異系色の強い血を導入しているのは好感が持てる。父Frankelによく似た発達したトモが印象的。距離は万能だろう。

●レッドルレーヴ(牝 美浦・藤沢和雄 父キングカメハメハ、母ラストグルーヴ)

 ランフォザローゼス(19年青葉賞-GII・2着、19年京成杯-GIII・2着)、リシュブール(現2勝クラス)の全妹。

 母ラストグルーヴはセレクトセールで1歳馬としては史上最高の3億7800万円(税込)で落札され、まったく仕上がっていない状態で3歳最後の新馬戦に出走したところ、楽々と勝ってしまい、管理する藤原英昭調教師が驚嘆したというエピソードがある。残念ながら競走馬としてのキャリアはこの1戦で終わってしまったが、素質の面では全姉グルヴェイグ(12年マーメイドS-GIII)に引けを取らないものを持っていたと思われる。

 2代母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑。本馬はヴァナヘイム(16年京都2歳S-GIII・2着)と同血(父が同じで母同士が全姉妹)で、ルーラーシップ(12年クイーンエリザベス2世C-香GIなど重賞5勝)の3/4同血(父が同じで母同士が親子)、二冠馬ドゥラメンテの7/8同血。全兄ランフォザローゼスと同様の活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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