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もはやセールでの馬選びは「デキ」以外が焦点に!?(須田鷹雄)

  • 2019年08月27日(火) 18時00分

買い手にとってしんどい状況は価格の上昇より…


 サマーセールに行ってきた。今回はPOGというより、リアル馬主に関わる話だがご容赦いただきたい。

 買い手目線だと曜日と時間帯によってはやや競りやすいシーンもあったが、全体としてはまだ売り手相場。売却率は昨年の69.9%から71.8%に盛り返し、平均価格・中間価格も上昇した。

 実は価格の面でサマーセールの指標はそこまで大きく動いておらず、売却率20%台をさまよっていた2000年代も平均価格は500万円台でいまと大きくは変わらなかった。その後、売却率が上がるのと引き換えに価格が下がり、5〜6年前からは「売却率も価格も上がる」という流れになっている。いずれにしても買い手にとってはしんどい状況が続く。

 実は買い手にとってしんどいのは、平均価格や中間価格の上昇より、売却率の上昇(主取率の低下)だ。競る人間が1人か2人かによって、価格は大きく変わる。これが3人でも4人でも、結局は最強の買い手がいくらまで出せるかという話だから実は話はそう違わない。

 「単独指名」は高くてもリザーブ価格で落ちるわけで買い手にとってはベストのシナリオだが、それが近年のセリではなかなか無くなっているというわけだ。

 こうなると、馬を評価するというよりも「他の買い手はなにを評価基準としているのか」を研究したほうがよいかもしれない。その逆を突いて、「他の買い手に評価されにくい特徴を持った馬だが、それは特に問題ない」と判断できれば、そしてその判断が正しければ、単独指名もしくは他のプレイヤーが深追いしてこない馬を買うことができる。

 では多くのプレイヤーはなにを拠り所としているのか。あいまいな概念だが「デキ」なのだと思う。今回象徴的な1頭を見て改めて感じた。番号や血統は言えないがブラックタイプは真っ白に近い馬で、父も地味なのでリザーブかそれに近い水準で落ちる可能性もあるのではと思っていたのだが……セリが始まってみると大盛況。1000万円まではいかなかったが、参加したプレイヤーの数はかなり多かった。

 玄人筋が多いサマーセールならではの話だが、こうなると玄人ではないプレイヤーは「デキ」以外の評価基準を持たねばならないということになる。それには具体的にどのような手法があるか……という話は、長くなるので次回のこのコラムに持ち越したい。価格が反映されないPOGのプレイヤーにとっては関係ない話が続いて恐縮だが、POGが馬主シミュレーションということを考えると、このようなテーマにも関心を持っていただきたいのである。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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