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【札幌2歳S】木村哲也厩舎の強力2頭ら好メンバー集結

  • 2019年08月30日(金) 18時00分

意外性こそ真価のゴールドシップ産駒にも注目


 1997年から距離「1800m」になった札幌2歳Sは、2歳初期の仕上がりの早さが最重要ではない。その勝ち馬から、2000年ジャングルポケット(日本ダービー、ジャパンC)、2005年アドマイヤムーン(宝塚記念、ジャパンCなど)、2008年ロジユニヴァース(日本ダービー)、2013年レッドリヴェール(阪神JF)…などが誕生している。

 勝ち馬に限らなければ、1998年ウメノファイバー(オークス)、2000年テイエムオーシャン(桜花賞など)、2003年スズカマンボ(天皇賞.春)、2005年マツリダゴッホ(有馬記念)、2012年ロゴタイプ(皐月賞など)、2014年レッツゴードンキ(桜花賞)……。のちのビッグレースの勝ち馬、快走馬が続出している。ここ数年はのちに出世する馬がやや少ないが、今年は注目馬が多い。

 7月27日の札幌芝1800mを快レコードで大差勝ちしたゴルコンダ(父ヴィクトワールピサ)は文句なしの注目馬。馬場差は大きいが、1分48秒3は、レースレコード1分48秒5(2012年のコディーノ)を上回っている。母ゴレラ(父Grape Tree RoadはCaerleon直仔)の成績は、仏、米のマイル戦を中心に【7-2-5-3】。その4代母Crepellanaは1969年の仏オークス馬。ゴレラの母の半兄マリアジュダムール(父グルームダンサー)も輸入馬。父ヴィクトワールピサの産駒はなぜか牝馬に活躍馬が多い傾向があるが、ゴルコンダはここを突破すると早くも路線に乗れる。

 同厩のダーリントンホール(父New Approach)も、ゴルコンダと芝コースでの追い切りではこちらの方が目を引いたほどだから侮れない。美浦の木村厩舎の2頭はワン=ツー望めるくらいきわめて強力。

 2011年の札幌2歳Sの2着馬はゴールドシップ。今年はその初年度産駒のサトノゴールド、ブラックホールが父に負けないように…と出走してきた。サトノゴールドはこれでは勝てないだろうと映った体勢から、最後に猛然と伸びて勝った。本気で走っていなかった印象もある。サトノゴールドは、父だけでなく輸入牝馬の母マイジェン(父Fusaichi Pegasus)も芦毛馬。それで芦毛を受け継いだので、かつての輸入種牡馬ゼダーンなどのように、芦毛の遺伝子を結合型(産駒はすべて芦毛になる)で受け継いだ可能性を秘めている。種牡馬になれるくらいの活躍をしたい。ブラックホールも2戦目に力強くまくって勝った内容が良く、追いかけて外に回ったため古馬に少しだけ遅れたが、本馬場の動きは文句なしだった。小柄でもさらに良化が望める。

 8月29日終了現在、ゴールドシップ産駒は全国で17頭がデビューして、勝ち馬はJRA所属のこの2頭だけ。そこで、ファーストシーズン種牡馬ランキング11位。同じステイゴールド産駒のオルフェーヴルの出足となんとなく似たような出発になっているが、意外性こそゴールドシップ(父ステイゴールド)の真価。この時点での評価は高くなくとも、レース内容に注目しておきたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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