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夏の上がり馬に思いを寄せて

  • 2019年08月31日(土) 12時00分

3頭の菊花賞馬を回顧して見える共通点


 そろそろ夏の上がり馬に思いを寄せるときだが、かつてこんな馬がいた。2008年の菊花賞馬オウケンブルースリで、内田博幸騎手に初めてクラシック制覇をもたらしていた。典型的な夏の上がり馬で、デビューは4月の福島と遅く、初勝利が6月の中京2000米。続く阪神2400米で2勝目、そして8月の新潟の阿賀野川特別2200米で勝って3連勝を達成していた。ジャングルポケットの産駒で中距離での活躍は期待できたが、神戸新聞杯では待機策から上がりナンバー・ワンをマークして3着で菊花賞出走の切符を獲得し、デビューから184日目の最短記録で栄冠をかち得ていた。

 似たケースでは、2010年の菊花賞馬ビッグウィークがいた。7月阪神1800米で初勝利、8月小倉で同じ1800米で2勝目、そして小倉の玄海特別2000米で3連勝。神戸新聞杯3着から本番を迎えていた凱旋門馬バゴが父馬、川田騎手が手綱を取っていた。夏の上がり馬で菊花賞に結びつく馬の共通点が見えてくる。ウオッカが引退してアイルランドに行った年で、同じ谷水オーナーの馬だったので、特に印象深く記憶している。

 最近では、2年前の菊花賞馬キセキも夏の上がり馬だった。ルーラーシップ初年度産駒で、「遅れてきた大器、GIの舞台に立つ」と言われ、極悪馬場を大きなストライドで力強く駆け抜け、M.デムーロ騎手に外国人初の牡馬三冠ジョッキーの栄誉をもたらせていた。春はクラシックは不出走、4か月の休養の後、7月の中京2000米で2勝目、8月に新潟の信濃川特別2000米で3勝目と急上昇し、神戸新聞杯2着から菊の栄冠に浴している。夏以降の3戦全てで最速の上がりを記録していた。

 夏に、古馬相手に2000米以上の特別で健闘した3歳馬を、菊花賞に向けての上がり馬として捉え、その中で神戸新聞杯で出走権利を獲得するものがいたら、それは是非ともマークしたい。

 今年の夏の上がり馬としては、まず新潟の信濃川特別で出遅れながら僅差で3着に入ったパラダイスリーフが、まだ3戦2勝のキャリアから可能性を秘めている。さらに、距離をのばして真価を発揮しているホウオウサーベルを。阿賀野川特別を勝って5戦3勝、この次が楽しみだ。あと一頭、札幌の阿寒湖特別2600米で古馬を一蹴して4戦3勝のヒシゲッコウも加えておきたい。それぞれの父馬は、ディープインパクト、ハーツクライ、ルーラーシップで、大きく飛躍しても不思議ではない。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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