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【紫苑S】オークス上位馬有利が近年の傾向

  • 2019年09月06日(金) 18時01分

重賞に昇格後は秋華賞の重要な前哨戦に


 1996年に創設されたGI「秋華賞」では、長いあいだ(2013年まで)関東で施行される紫苑Sの出走馬は、一度も連対したことがなかった。

 しかし、近年の紫苑S(秋華賞トライアル)は、本番のGIに向けた重要な前哨戦に変化している。14年ショウナンパンドラ(紫苑S2着→秋華賞1着)、16年ヴィブロス(2着→1着)、16年パールコード(5着→2着)、17年ディアドラ(1着→1着)。

 紫苑Sが重賞に昇格した時期とほぼ呼応するように、最近5年間の紫苑S出走馬から秋華賞の勝ち馬が3頭(2着馬も1頭)出現している。

 出走権確保のためと同時に、本番好走馬は重賞になったからこそ遠征してくる関西馬だけではあるが……。レースレベルが格段に上がったのは事実で、17年の勝ち馬ディアドラ(父ハービンジャー)は、ナッソーS(英)快勝につづいて、15日のアイリッシュチャンピオンS(愛)に出走する予定。

 オークス馬ラヴズオンリーユー(4戦4勝)は、秋華賞に直行の予定とされる。12番人気でオークス2着のカレンブーケドール(関東馬。父ディープインパクト)は、ここで実力上位を確かなものにしたい。オークス上位馬有利が近年の傾向でもある。

【血統診断】上がりがかかるレースほどパフォーマンスを上げるカレンブーケドール

 母ソラリア(父スキャットダディ、祖父ヨハネスブルグ)は南米チリ産。牝系は約一世紀もアルゼンチンで発展したあと(サトノダイヤモンドの牝系も同国育ち)、祖母の代からチリに移っている。

 ソラリアは、牝馬ながらチリダービーに相当する2400mのGIなど11戦7勝のチリの年度代表馬。カナダ産、仏産、USA産、アルゼンチン産の種牡馬が配された牝系はタフな一族。それがオークスで開花した源になったのだろう。早めにスパートしてラヴズオンリーユーとクビ差の惜敗。高速馬場だったとはいえ、2分22秒8は底力を秘める証拠だった。

 ただ、必ずしもオークスのように早め早めに動くとはいえないので、前回と同じように強気に先行して出走権確保に出ると思えるパッシングスルー(父ルーラーシップ)から入る手がある。前回の福島2000m(稍重)2分00秒9(59秒7-61秒2)は、同日の七夕賞が1分59秒6(58秒0-61秒6)なので、必ずしもハイレベルとはいえないが、七夕賞の最後が「12秒3-13秒0」だったのに対し、パッシングスルーのレースは「12秒5-12秒4」。抜け出したこの馬は最後に突き放して3馬身差。ラップの鈍らない圧勝だった。3馬身差2着の6歳牝馬ハギノカエラ(父ハービンジャー)は非常にしぶとい馬で、次走の栗子特別2000mを2馬身半差で楽勝した。

 もちろん、カレンブーケドール中心が妥当だが、上昇のパッシングスルーに期待したい。渋い牝系のイトコにハクサンルドルフ(6歳の5勝馬)がいる。

 穴馬には、重馬場の1勝クラスの勝ち方が印象的だったスパークオブライフ(父ルーラーシップ、3代母トゥザヴィクトリー)と、横山典弘騎手を配してきたローズテソーロ(父ハーツクライ。桜花賞馬の祖母オグリローマンはオグリキャップの半妹)を加えておきたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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